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神に楽しめと言われた。楽しみすぎて、神を超えた。  作者: issoh


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第38話 新たな任務

# 第38話 新たな任務


## 任務の受領


 転生四十三日目、朝。


 セラは守護隊本部の入り口前に立っている。今日の空は澄み渡り、エルフの森シルヴァニアに降り注ぐ朝日が木々の間を縫ってキラキラと輝いている。呼吸を深く吸い込むと、森の香りが鼻腔に広がる。あの修行以来、空気の味が違って感じる。


 (修行前は「ただの空気」だと思ってたが、今は「魔力を含んだ生命そのもの」に感じられる。……視点が変わると見える景色が変わるって、魔法修行で空気の味が変わるとは、さすがに予想外の話だ)


「セラ、早いね」


 後ろから声がかかり、振り返るとアリアが笑顔で手を振りながら近づいてくる。清々しい表情で、昨日の修行の疲れなど微塵も見せない。金髪が朝風に揺れ、その輝きが太陽光を反射している。


「おはよう、アリア。今日が初めての任務だからね」


「ふふ、そうだね。三人で」 アリアは目を細めて微笑む。「リリナももうすぐ来るよ」


「待たせちゃいました〜」


 今度は反対側からリリナが駆けてくる。


「おはよう、リリナ」


「おはよう、セラ! アリア! 今日はいよいよ本番だね!」


「落ち着いて、リリナ。焦りは禁物だよ」 アリアが穏やかに諭す。


「わかってるけどさ、つい興奮しちゃう。私たち、あの修行を乗り越えたんだよ? 長老も認めてくれたんだよ?」


「ふふ、三人なら大丈夫」 セラが言うと、二人と視線を合わせる。「俺たち、最強のチームだ」


「そうだね!」


「えへへ、セラがそう言ってくれると安心するな」


 三人の間に、見えない糸が確かに結ばれているのを感じる。言葉にしなくても通じ合う、魔法を超えた次元の絆。


「さて、そろそろ隊長が呼んでるはずだ。行こうか」


 セラが先導して守護隊本部の中へと足を踏み入れる。本部の建屋は古代エルフの時代から続くという巨大な樹木を削りだして作られており、その壁には歴代の守護隊員たちの足跡が刻まれている。


 受付を通って、隊長室の前まで進む。重厚な木の扉にノックを三回。


「入れ」


 中から隊長の低い声が響く。扉を開けると、隊長が机に向かって座っている。地図を広げ、何かを考え込んでいる様子だ。


「おはようございます、隊長!」


 三人が揃って挨拶すると、隊長が顔を上げる。


「おう、お前たちか。よく来たな」 隊長が立ち上がり、三人を順に見渡す。「修行を終えて、どうだ? 自信はあるか?」


「はい! おかげさまで」 セラが答える。


「長老の方からも話は聞いている。聖三角を二度も成功させたそうだな」


 隊長の言葉に、アリアとリリナが互いに顔を見合わせて嬉しそうにする。


「先輩方のご指導のおかげです」 セラが謙虚に。


「感謝するのはいいが、驕ってはならんぞ。修行と実戦は違う。本物の命がかかっている」


 隊長の言葉が、セラの胸にストンと落ちる。


 (身に染みます。どんなに練習を積んでも、本番は別物だ。それはどんな世界でも同じらしい)


「身に染みております」 セラが一歩前に出る。


「であれば、今回の任務を任せよう」 隊長が机の上の地図を指し示す。「森の深部で、異常な魔力反応が報告されている」


「異常な、魔力反応?」 リリナが身を乗り出す。


「ああ。数日前から、森の奥深くで不穏な気配が感じられるという報告が複数入っている。巡回隊が確認しようとしたが、深くまで踏み込むのは危険だという判断だった」


 隊長が地図の一点を指す。そこは、普段は立入が禁止されている森の深部。「古代樹」のさらに奥、通常の巡回ルートから外れた区域だ。


「そこなら、私たちの修行で最も奥まで進んだ場所に近いですね」 アリアが地図を見ながら言う。


「その通り。お前たちなら、安全に調査できると判断した。ただし」 隊長の声が厳しくなる「絶対に無理するな。異常を感じたら即撤退だ。命あっての物種だ」


「承知いたしました」 セラが頷く。


「また、可能ならば異常の原因を特定してほしい。何が起きているのか、それが我々に脅威なのかどうか。それを判断する材料が必要だ」


「セラ、お前がリーダーだ。アリアとリリナの安全を第一に考えろ」


「はっ! 任せてください」


「アリア、リリナ。お前たちはセラを支えろ。魔法の連携、状況判断、すべてにおいて連携を忘れるな」


「はい!」


 二人の力強い返事が響く。


「よし、それなら出発だ。日中に調査を完了させ、夕暮れまでには戻ってきたい」


「では、行ってまいります」


 三人が深く一礼すると、隊長が満足げに頷く。


「気をつけて。期待しているぞ」


## 出発


 守護隊本部の入り口を出ると、外は既に陽が高くなっている。


「さて、どこまで進むか確認しよう」 セラが方角を確かめる。「東へ進んで、小川を渡る。そして森の深部へ」


「リーダー、バッチリ!」 リリナが敬礼する。


「ふふ、セラの後ろについていくよ」 アリアも微笑む。


 三人は、エルフの集落を背にして、森の深部へと向かう旅路を踏み出した。


 森の道を進むにつれて、周囲の様子が変わっていく。集落の近くは手入れされた小道だが、進むにつれて次第に原生林の趣を帯びてくる。木々の高さが増し、枝葉が空を覆うことで森の中が薄暗くなる。鳥のさえずりが遠ざかり、代わりに風が木々を揺らす音だけが響く。


「ここから先は、足場が悪くなるぞ」


 セラが声をかけると、アリアとリリナも警戒態勢に入るのがわかる。歩幅が狭まり、周囲を確認する動作が増える。


「何か、匂わない?」 リリナが鼻をひくつかせる。


「いつもの森の匂いだけど、何かが違う気がする。もっと、濃厚な感じ?」


「魔力の濃度が高まっているんだと思う。修行場でも感じたけど、魔力の濃い場所は空気感が違う」


「へー、セラって詳しいね」


「修行で学んだことだよ。長老が、魔力の流れを読むことは生存に直結すると言ってた」


 小川が現れる。清流がさらさらと流れ、水の跳ねる音が森の静寂に溶け込む。


「ここを渡ろう」


 セラが川岸に立つ。川幅は約三メートルほど。浅瀬なら歩いて渡れる。


「僕が先に行くよ」


 セラが川に足を踏み入れる。冷たい水が足首を包み込む。川底は小石で覆われており、足の裏に伝わる感触は安定している。


「大丈夫だよ。来て」


 アリアとリリナも続いて川に入る。アリアのスカートが少し水を被るが、彼女は気にも留めない様子だ。


「ここ、水綺麗ね」 アリアが川底を覗き込む。「小魚もいる」


「捕まえて食べたいな〜」 リリナが笑う。


「任務中だよ。後でね」


 (後でって言ったけど、任務が終わったら魚を捕まえて食べるつもりだろうか俺は。……まあ、それくらい余裕があれば上等だ)


 三人は無事に川を渡り切る。対岸は、さらに深い森への入り口となっている。


「ここからが本番かな」


 セラが言うと、アリアとリリナも真剣な表情に戻る。


## 敵との遭遇


 道なき道を進む。巨大な木の根を乗り越え、低くなった枝をくぐり抜ける。時折、不自然な植物の茂みを避けて進む必要がある。一見して自然の森に見えるが、修行で培った感覚が「違和感」を告げている。


「セラ、これ見て」


 リリナが立ち止まり、ある植物を指差す。その植物の葉は、周囲の植物とは明らかに異なる色をしている。紫色に変色し、萎びているように見える。


「毒でも受けているのかしら」 アリアが心配そうに言う。


「魔力の異常が、植物にも影響を与えているのかも」 セラが考察する。


 調査を続けるうちに、同様の異常が多数見つかる。変色した植物、ねじれた枝、不自然に枯れている区域。すべてが、何か大きなエネルギーの影響を受けていることを示している。


「異常の度合いが、この先に強くなってるはずだ」


 セラの直感が正しかったことが、さらに進むと明らかになる。植物の変色がより激しくなり、森の静けさが不気味さに変わっていく。


「何か、音がしない?」 アリアが立ち止まる。


 確かに、鳥のさえずりも、虫の声も、風の音さえも消えている。自分たちの足音と呼吸音だけが、森に響く。


「魔獣の気配か、それとも……」


 セラが言葉を濁す。


 (背筋が冷たい。これは……本物の危機の予感だ)


「警戒レベルを上げよう」 セラが指示する。「アリア、後ろを。リリナ、右側を。僕が前を進む」


「了解!」


「わかったよ」


 三人の隊形を組み直す。修行で何度も繰り返した陣形だ。


 さらに進むと、開けた場所に辿り着く。そこは、周囲の木々とは明らかに異なる光景が広がっていた。地面が不自然に隆起し、中央に巨大な岩が突き出している。その岩からは、どす黒い霧のようなものが立ち上っている。


「これが、異常の原因?」


 リリナが息を呑む。その霧は、見ているだけで気分が悪くなるような不快なもの。


「近づかないで」 セラが警告する。「何か、罠だとしておかしくない」


 その時、岩の陰から影が現れる。そして、もう一つ、また一つと、次々と姿を現していく。


「何これ!?」


 リリナが驚愕の声を上げる。現れたのは、これまで見たこともないような生物たちだった。人型だが、全身が黒い霧に包まれ、その輪郭が定まらない。目の位置だけが、不気味な赤色に光っている。


「魔族!?」 アリアが疑問を投げかける。


「いや、違う」 セラが冷静に分析する。「魔族とは気配が違う。もっと、根源的な何か。闇の魔力が凝縮された存在……」


 黒い影たちは、三人を発見すると一斉に向き直る。その動きは滑らかで、有機的。まるで単一の意思によって動かされているようだ。


 完全武装。しかも十体以上。逃げ場なし。


「出たね、敵」


 リリナが構える。手には杖の先端に光が集まり始めている。


「全員、防御態勢!」


 セラの指示に、アリアとリリナも即座に反応する。アリアが杖を掲げて防御魔法の構えを取り、リリナも水の魔法を準備する。


「個体数は多いが、一つ一つの力は……」


 セラが魔力の感知を試みる。個体ごとの力はそれほど強くない。ただし、集団としての脅威度は計り知れない。


「連携して戦おう。個別に対応する」


「了解!」「わかった!」


 アリアとリリナの返事が重なる。その声には、迷いがない。


 最初の黒い影が、飛びかかってくる。速い。だが、修行で鍛えた反射神経が反応する。


「風よ、刃となれ。敵を裂け——ウィンド・エッジ!」


 セラが右手から風の魔法を放つ。鋭い風の刃が、影の体を切り裂く。影は悲鳴を上げることなく、黒い霧となって散っていく。


「当たった!」


 だが、その隙に別の影がアリアに向かって突進してくる。


「アリア、後ろ!」


 セラの警告より早く、アリアが反応する。


「聖なる盾、我を守れ!」


 透明な光の壁が現れ、影の突進を阻止する。影は盾に弾かれ、よろめく。


「今だ!」


 リリナが水の魔法を放つ。竜巻が影を巻き込み、空中に持ち上げる。その隙に、アリアが追撃の光弾を撃ち込む。


「光よ、貫け!」


 光の弾が影の体を貫き、霧となって消滅させる。


「二体目!」


 連携が決まる。言葉で指示しなくても互いの意図を理解し、補完し合える。修行の成果だ。


「残り、まだたくさんいるよ!」


 リリナが警告する。包囲を狭めてくる残りの影たちが、一斉に動き出す。


「陣形を維持! 背中を預け合うぞ!」


 セラが陣形を指示し、三人は背中合わせの位置関係を保つ。これなら、全方位からの攻撃に対応できる。


「フレイム!」


 セラが炎の魔法を放つ。赤い炎が複数の影を薙ぎ払う。炎は光の魔法と違って、影の体によく燃え移る。


「水で鎮火!」 アリアが水の魔法で炎の広がりを制御し、味方への誤爆を防ぐ。


「風で散らす!」 リリナが風の魔法で、残りの影を風圧で吹き飛ばす。


 三属性の魔法が、見事な連携で戦場を支配していく。炎、水、風。それぞれの特性を活かし、互いの弱点を補完し合う。


## 合体魔法


「くるぞ!」


 三体の影が同時に突進してくる。速い。一つずつ対応していたら間に合わない。


「聖三角!」


 セラが即座に判断する。三人の合体魔法、ここで使うしかない。


「わかった!」「準備OK!」


 アリアとリリナも即座に同意する。三人の心が一つになる感覚。修行で培った魂の繋がりが、今まさに活性化する。


 セラが風の魔力を、アリアが光の魔力を、リリナが水の魔力を同時に放出する。三つの属性が空中で交わり、融合していく。


「——三つの光よ、交わりて結界となれ。邪悪を封じ、清浄を守れ——ホーリー・トライアングル!」


 三重の光が戦場を照らす。中心は最も明るく、外側へと徐々に淡くなる三層の光の波紋。単なる美しい光ではなく、圧倒的な破壊力を秘めた合体魔法だ。


 光の波紋が広がり、それに触れた黒い影たちは一瞬で消滅していく。悲鳴も、抵抗もなく、光の中に溶けて消える。


「いっけっ……」


 最後の影が消滅し、森には静寂が戻る。


「やった……」


 リリナが膝から崩れ落ちるように座り込む。大魔法の発動による魔力消費が、彼女の体に負担を与えている。


「リリナ、大丈夫?」 セラが駆け寄る。


「うん、ちょっと疲れただけ。魔力、使いすぎちゃった」


 アリアも顔色が悪い。二人とも、限界に近い状態だ。


「休憩しよう。僕が警戒する」


 セラが二人を安全な場所に誘導し、回復魔法の準備を始める。自身の魔力も大きく消耗しているが、仲間のケアを優先する。


「ごめん、セラ。あなたも疲れてるのに」


「平気だ。君たちの方が、より多くの魔力を使った」


 セラは回復魔法をかける。淡い光がアリアとリリナの体を包み、彼女たちの顔色が少しずつ良くなっていく。


「ありがとう、セラ」


「セラ、本当にいいやつだね」


 リリナが照れくさそうに笑う。


 (いいやつかどうかは分からないが、感動的な場面のはずなのに腹が減ってきた。人間エルフだけどの三大欲求には逆らえない)


## 帰還と報告


 少し休憩した後、三人は再び現場の確認に向かう。黒い影たちは完全に消滅しており、異常な霧も薄れていることがわかる。


「これで、一応の解決かな」


 リリナが現場を見回す。


「報告書には、黒い影の正体と、聖三角での撃破を記載する必要があるね」


 アリアが記録用のメモを取り出し、要点を書き留め始める。


「それと、異常の原因についての考察も必要だ」 セラが付け加える。「地下から湧き出た闇の魔力が、形を成してしまったという仮説を立てられる」


「それなら、今後も同様の現象が起こる可能性があるね」


 三人で議論しながら、情報の整理を進める。


「そろそろ帰還しよう。日も暮れる」


 セラが空を見上げると、既に西の空がオレンジ色に染まり始めている。


「帰ろう、セラ」


 アリアが立ち上がり、手を差し出す。セラはその手を取り、引っ張り上げてもらう。


「リリナ、立てる?」


「うん、おかげさまで」


 三人は、来た道を戻る。帰り道は、行きよりも心軽い。


「ねえ、今日の戦い、すごかったね」 アリアが振り返る。「三人の連携、完璧だったと思わない?」


「ああ、確かに」 セラも頷く。「言葉じゃなくても、意図が伝わっていた」


「私たち、本当に最強のチームかもね」


 リリナが誇らしげに言う。


 守護隊本部に戻ると、隊長が外に出て出迎えてくれている。


「お帰り。無事で何よりだ」


 隊長の声に、安堵の色が滲んでいる。


「隊長、任務完了の報告をいたします」


 セラが直立し、任務の概要を説明する。異常の原因、敵の正体、戦闘の経過、聖三角の使用。すべてを簡潔に、しかし詳細に伝える。


「黒い影……それを聖三角で撃破、か」


 隊長が深く頷く。「調査の依頼以上の成果だ。正確な報告、感謝する」


 アリアが追加の詳細を、リリナが戦闘の感想を補足する。三人で補完し合いながら、完全な報告を組み立てていく。


「これで、この区域の安全は確保されたと言えるだろう」


 隊長が満足げに言うと、三人もホッとする。


「ただし」 隊長が続ける。「今回のような現象は、また起こる可能性がある。今後も警戒が必要だ」


「承知いたしました」


「初陣にして、これほどの成果。立派だぞ。修行の成果、しっかりと発揮されたな」


 隊長の称賛の言葉に、三人は照れくさそうに、しかし誇らしげに顔を見合わせる。


「おかげさまで」 セラが謙虚に。


「これからも、守護隊の期待を裏切らないように」


「はい!」


 三人の返事が揃う。その声には、自信と決意が宿っている。


「それでは、今日は解散。ゆっくり休め」


 外に出ると、空は完全に暗くなり、星が瞬いている。


「お疲れ、みんな」


 セラが言うと、アリアとリリナも「お疲れ様でした」と返す。


「家に帰って、お祝いしない?」 リリナが提案する。「今日の成果を祝って」


「いいね。私、何か作ろうかな」 アリアが目を輝かせる。


「じゃあ、僕の家で」


 セラの提案に、二人は嬉しそうに頷く。


 (初陣を終えて、仲間と一緒に祝宴を開く。前世のサラリーマン時代は打ち上げといっても居酒屋で一杯飲んで解散だった。……今夜はアリアの手料理だ。圧倒的に今の方がいい)


 帰路につく三人の背中を見送るように、守護隊本部が静かに佇んでいる。今日一日で、彼らは大きく成長した。守護隊員として、チームとして、そして一人の冒険者として。明日への期待を胸に、三人は家路へと向かう。星明かりが、彼らの道を優しく照らしている。


 夜道を歩きながら、セラは思う。


「そういえば、聖三角、すごかったな」


「そうだよね。訓練でやったときより、なんか迫力あった気がする」 アリアが言う。「実戦って、やっぱり違うよ」


「緊張してたからかな。魔力の乗り方が違ったかも」 リリナが首を傾げる。「セラ、どう感じた?」


「俺は……」 セラが少し考える。「なんか、自然だった。二人の魔力が、パズルのピースみたいに、ぴったり合う感覚」


「ピースみたいに、か」 アリアが笑う。「好きだな、その表現」


「照れるな」 セラが言うと、リリナがくすくす笑った。


「セラ、ちょっと赤いよ?」


「暗くて見えないよ!」


「月明かりで見えるもん」


 三人の笑い声が、夜の森に響いた。黒い影との戦い、合体魔法の成功、隊長への報告——全部終わって、今こうして笑えている。それだけで、充分だった。


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