第13話 初任務
# 第13話 初任務
## 任務の受領
転生十二日目の朝。
訓練を終えてから数日が過ぎた。
セラは守護隊本部の隊長室に呼び出されていた。レイナード隊長がデスクに座り、手にした羊皮紙をゆっくりとめくっている。
「セラ、アリア。訓練の成果は上々だった」
「ありがとうございます」
「二人とも、基礎はしっかり身についている。それで、初任務を任せたい」
「初任務、ですか」
セラの胸がドキリと鳴る。
(待っていた、という思いと同時に、指先が冷たくなる。訓練と実戦は違う。当然だ)
「森の西側をパトロールしてほしい。ここ最近、西側から不審な報告が上がっている。魔物の痕跡が見つかったとの情報もある。ただ、大規模な群れである可能性は低い。まずは状況確認だ」
「状況確認ですね」
「ああ。詳しい記録を取ってきてくれ。痕跡の種類、数、方向。できるだけ細かく。それが今回の任務の目的だ」
セラは頷く。
(記録ならできる。訓練でも、観察の重要性は何度も教わった。何を見て、どう記録するか。守護隊の仕事の基本だ)
「セラとアリア、二人で行ってくれ」
「私たち、ですか」
アリアが少し驚いたように目を見開く。
「はい。相性は抜群だし、何より連携が取れている。初任務には最適なペアだと判断した」
「……ありがとうございます、隊長」
アリアが少し照れたように視線を落とす。
セラも足取りが軽くなるのを感じた。アリアと一緒なら、安心だ。
「出発は正午。準備をする時間を十分に与える。水と食料は忘れないように」
「はい!」
「それと、万一の場合の連絡手段も忘れずにな。無理は禁物だ」
「無理はしません」
セラが答える。無理はしない。でも、任務は全うしたい。この二つを両立させるのが、守護隊としての務めだ。
任務書と地図を受け取る。表紙には「任務書」と太い文字で記され、中には詳細な指示が書かれている。パトロールルート、チェックポイント、緊急時の連絡方法。
(これが、初任務か)
セラは手にした紙の重みを感じる。責任があるからこそ、力になれる。
「セラ、準備しましょう」
「ああ、そうだな」
アリアに促され、二人は隊長室を出る。廊下に並ぶ隊員たちが、興味深そうな眼差しを向けてくる。ガトー教官が通りかかり、ニッと笑って頷いてくれた。テイオも「最初は緊張するもんだ。でも、お前らなら大丈夫だ」と声をかけてくれた。
「いけるかな」
「いけますよ。セラも私も、訓練で充分にやりました」
アリアが強く言い切る。
(アリアさん、なんでそんなに自信があるのか。……いや、それがいいんだよな。こっちも安心する)
「アリア、怖くないのか?」
「怖いです。でも、セラがいるから」
「……俺も、アリアがいるから大丈夫だって思ってる」
「じゃあ、お互い様ですね」
アリアがニッと笑った。
(お互い様、か。一人で全部抱え込むクセがあった。でも今は、本当の意味で「お互い様」だ)
「行くか」
「はい。行きましょう!」
ロビーで装備を確認する。水筒には水を満たし、食料も三日分を用意する。応急処置キットも忘れない。
「杖、持ってますか」
「はい。短剣も」
「地図とコンパス……OK」
二人は互いの装備を確認し合う。
## 出発
正午を回し、二人は守護隊本部を出発した。
制服姿のセラとアリアが、村の街道を歩いていく。
「緊張してますか」
「……少しはな」
「私もです」
アリアが苦笑する。彼女の肩も、少し強張っているのが分かる。それが、逆に心強かった。
(二人とも緊張してるってことは、この感覚は正常だ。深呼吸して挑むのみ)
「森の西側は、歩いたことないな」
「私もです。訓練で使った場所とは別のエリアですから」
「地図を見る限り、少し険しい地形してるみたいだけど」
セラが手にした地図を広げる。西側は森の外れに近く、地形が変化している。木々の密度が減り、岩場や小川が増えるエリアだ。
「ここがパトロールのルートです」
アリアが地図のラインを指でなぞる。
「本部を出て、北に曲がり。それから西へ進んで、最初のチェックポイントへ」
「最初のチェックポイントが、この大きな岩の場所か」
「はい。そこからさらに西へ、二つ目のポイントへ。それを繰り返して、最後に本部へ戻る」
「警戒しながら進みましょう」
「ええ。セラの右側、私が左側をカバーします」
「了解。何かあったら、すぐに声をかける」
「はい。セラも、無理せず声をかけてくださいね」
「……アリア、一つ確認していいか」
「はい、何ですか?」
「魔獣が本当に出た場合、逃げる選択肢もある。初任務なんだし」
「そうですね。でも、逃げると判断するのはどんな状況ですか?」
「明らかに勝てない相手、または大規模な群れ。あと、どちらかが重傷を負った場合」
「同意します。私もそう思います」
二人は合意した。撤退の基準を事前に決めておく。「どこまでやるか」を先に決めておくと、判断が早くなる。
二人は並んで歩き出した。
最初のうちは、村の近くの開けた道を通る。守護隊の制服を着けて歩くのは、やはり特別な気分がする。
「あ、子供たちが手を振ってます」
道端で遊んでいたエルフの子供たちが、二人に向かって手を振っている。「守護隊のお兄さん、お姉ちゃんだ!」と嬉しそうな声が聞こえる。
(守るものが。ここにいる)
セラが手を振り返す。
道が森の中へと入っていく。木々の影が濃くなり、足元の地面が少し柔らかくなる。
「静かだな」
「……そうですね。いつもはもっと小動物の気配もするのに」
アリアがキョロキョロと周囲を見渡す。普段ならリスや鳥の気配がある森が、今日は異様に静かだ。それが、逆に警戒心を刺激する。
(腹の底がざわつく。この感覚、信じた方がいい)
「何かがあるのかもな」
「痕跡を探しましょう。最初のチェックポイントまで、あと少しです」
最初のチェックポイントに到着した。大きな岩がそびえ立つ場所だ。地図通りだ。
「何もなさそうだ」
「私の側も、痕跡は見つかりません」
「記録しとくか」
セラがノートを取り出し、日時と場所、そして「異常なし」と記録する。訓練で学んだ通り、詳細に記録を残す。
「次のポイントへ行きましょう」
「はい。気を引き締めて」
## 痕跡の発見
二つ目のチェックポイントへ向かう途中、異変が見つかった。
最初は小さな違和感だった。地面の土が少しだけ盛り上がっている。草が倒れている。
「セラ、これを見てください」
アリアが地面を指し示す。
「これ、魔物の爪痕です」
セラがかがみ込み、詳しく見る。確かに、鋭い爪が地面を引き裂いたような跡がある。大きさは約十センチ。深さは数センチ。新しい。
「大きさからして、中型くらいか」
「数は……三匹、いや四匹ですか」
「移動方向は、東から西へ。森の奥へ向かっています」
「東から西、か。つまり、村の近くから離れてるってこと?」
「……そうですね。でも、痕跡が新しくなっている。最近、活動が活発になっている証拠です」
セラはノートを取り出し、爪痕の詳細を記録し始める。位置、大きさ、数、方向。一つ一つを丁寧に記述していく。
「写真も取っておこうかな」
アリアが魔法で光を掌に宿し、爪痕を照らす。セラがその様子をスケッチする。
「深さも測っておこう」
小枝を使って爪痕の深さを測る。
「三センチ、か。中型の魔獣ならありえる数値だ」
「方向は……西から南西に向かっています」
セラが地図に×印をつける。
「ここから、西側のさらに奥まで痕跡が続いている。警戒が必要だ」
「はい。セラ、魔力も感じますか」
ふと言われて、セラは意識を閉じてみる。魔力の感覚。周囲の魔力の流れを探る。すると、西側から微かな、不穏な気配が漂ってくるのが分かった。
「……確かに、あるな。西側から」
「私もです。少し濁ったような、冷たいような魔力です」
アリアが眉を寄せる。彼女も感じている。
(空気が澱んでいる。静寂の奥に、何かが息を潜めている)
「報告が必要だな」
「はい。でも、まずはパトロールを完了させましょう。ルート全体を把握した方が、後の分析に役立ちます」
「そうだな。任務は全うしたい」
セラは頷き、ノートを閉じた。記録は十分に取れた。
「次のポイントへ行きましょう。より警戒を強めて」
「はい。セラ、手、繋いでもいいですか」
「え?」
「魔力が、少し不安定です。触れていると、安定しますから」
アリアが真剣な表情で言う。確かに、セラ自身も魔力の乱れを感じていた。不穏な気配に敏感になり、心拍数が上がり、そのせいで魔力も少し乱れている。
「……ああ。お願いします」
セラが手を差し出すと、アリアがそれを優しく包み込んだ。温かい感触が伝わり、乱れていた魔力がゆっくりと落ち着いていく。
「大丈夫ですか」
「ああ、なんとかなる」
「なら、行きましょう」
## 魔物との遭遇
三つ目のチェックポイントに近づいた時、異変は起きた。
茂みから、カサカサという音が聞こえた。風の音ではない。何かが動いている音だ。
「セラ、右の茂み!」
アリアが鋭い声を出す。
その瞬間、セラは反応した。訓練で培った反射神経が、体を動かす。
「来るぞ!」
黒い影が現れた。狼のような姿だが、大きさは倍以上。全身が黒い毛で覆われ、赤い目が不気味に光っている。魔獣だ。牙の間から低い唸り声が漏れ、地面を踏む爪が土をえぐった。
(複数の気配がする。落ち着け、焦るな。訓練通りだ)
「アリア、右! セラは左!」
「了解——光よ、矢となれ。敵を射貫け——ライト・アロー!」
セラの掌から光弾が放たれた。狙い通り、魔獣の肩に命中する。
「ガァッ!」
「私も——光よ、矢となれ——ライト・アロー!」
アリアの光弾が続けて魔獣の脇腹を捉える。連携だ。訓練で何度も繰り返した速攻が、体に染みついていた。
魔獣が後ずさる。倒れてはいない。傷は浅いが、動きが鈍った。
「まだだ、続けろ!」
「はい! 風よ、刃となれ——ウィンド・エッジ!」
アリアの声に鋭さが宿る。風の刃が弧を描き、魔獣の肩を深く切り裂く。暗い血がしぶく。魔獣が甲高い声で叫んだ。
「今だ——ライト・アロー! ライト・アロー! ライト・アロー!」
セラが連射する。一発、二発、三発。それぞれが確実に魔獣の胴体をえぐっていく。
「ガオオオッ!」
魔獣が怒り狂い、突進してくる。速い。地面を蹴る音が腹に響いた。
「避けて!」
セラが横に飛び退く。魔獣の爪が空を切り、鼻先を通り過ぎる。一瞬の差だった。土埃が顔に当たった。
(速い。実戦の速さは訓練と全然違う)
「今だ! 風よ、刃となれ——ウィンド・エッジ!」
アリアがさらに強力な風の刃を放つ。今度は魔獣の後ろ脚を狙った。鋭い刃が脚の腱を捉え、魔獣がバランスを崩してよろめく。
「その隙に!」
セラが掌に力を込める。魔力を一点に集中する。全てを込めた一撃。光が奔り、魔獣の胸を貫いた。
「ギヒ……」
魔獣が最後の息を吐き出し、倒れた。静寂が戻る。ただ、二人の荒い息遣いだけが聞こえる。
「……倒した、のか」
「はい。動きが止まりました」
確認すると、完全に息絶えている。
「勝ったな」
「……はい。でも、まだです」
アリアが周囲を見渡す。
「この魔獣は、先ほどの痕跡からすれば、群れの一部です。他にも、いるはずです」
「そうだな。警戒を続けよう」
案の定、左側の茂みから、更なる音が聞こえてくる。一匹ではない。複数の気配だ。
「……来るぞ、複数だ」
「三匹……いや、四匹です」
「連携だ、アリア」
「はい。右は私、左はセラです」
「了解。行くぞ!」
二匹目、三匹目の魔獣が姿を現す。前の一匹よりも大きい。牙をむき出しにして、左右から挟み込もうとしてくる。
「集中しろ。一匹ずつ仕留める」
(焦るな。順番だ)
「ライト・アロー! ライト・アロー!」
セラが二匹目を牽制しながら連射する。直撃ではないが、動きを乱すには十分だった。
「風よ、刃となれ——ウィンド・エッジ!」
アリアの一撃が三匹目の横腹を深く刻む。魔獣が怯んだ瞬間、セラの光弾が正確に頭部を捉える。
「やった!」
「まだです! 三匹目が来ます!」
三匹目の魔獣がセラに向かって突進してくる。爪が眼前まで迫った。
(速い。避ける間もない——)
「光よ、壁となれ——!」
とっさに掌を突き出す。
その瞬間、何かが違った。
光の膜が、ただの薄い壁ではなかった。掌から広がった光が、予想より数倍大きく、数倍厚く、まるで盾のように展開された。魔獣の爪がぶつかった音は、金属を打ち付けるような硬質な響きを立てた。
(なんだ、今のは——)
腕が痺れた。消耗も大きい。でも魔獣は完全に弾き飛ばされ、二メートル以上後退していた。
一秒かそこら、セラは自分の掌を見た。光の壁はもう消えていたが、指先が微かに白く輝いている。見間違いかもしれない。でも確かに光っていた。自分の意志で出した魔力とは、少し違う色だった気がした。
(……今、何をした? 俺は「壁になれ」と言っただけで、これほどの力を出すつもりはなかった)
「ナイス、セラ!」
「今だ! ライト・アロー!」
怯んでいる三匹目に、光弾を連射。二発目で魔獣がよろめき、三発目で倒れた。
「残り一匹!」
「私がやります——風よ、渦となれ——!」
アリアが両腕を広げる。周囲の風が応えるように集まり、渦を巻く。四匹目の魔獣を風の柱が包み込み、大きく宙に持ち上げた。
「ガオッ!」
地面に叩きつけられた魔獣が動きを止める。その瞬間を逃さず、アリアが正確にライト・アローを放ってトドメを刺す。
「……終わりました」
アリアが肩で息をする。四匹の魔獣が倒れている。
「やったな、アリア」
「セラも、すごかったです。防御、間に合いましたね」
「緊急しのぎだけどな」
(出てきた。あの瞬間、考える前に体が動いた。訓練が体に入ってたのか)
「魔力、残りは?」
「……三割くらい」
「私も、同じくらいです」
「なら、帰還だ。報告して、任務完了」
「はい。帰りましょう」
## 任務完了
帰路につく二人は、戦闘の疲労を感じていた。
魔力を消耗しただけではない。精神的な疲労もある。初めての実戦、初めての魔獣との戦闘。訓練とは比べ物にならない緊張感だった。
「……強かったですね」
「ああ。でも、勝てた」
「はい。私たち、強いです」
アリアが少し誇らしげに言う。
(確かに、強かった。二人で連携し、魔獣四匹を倒した。これは自分たちの力の証明だ)
「アリア、怪我はないか?」
「はい、全然。セラは?」
「俺も問題ない。爪が掠りそうになったけど、ギリギリ避けた」
「見てました。あれはヒヤッとしました」
「俺もヒヤッとしたよ」
二人で笑う。戦闘の後の、張り詰めた空気が少しほぐれる感じがした。
(緊張が解けた。この感覚、体が覚えてる。何かを成し遂げた後の、この感じ)
「でも、本当によかった。無事で」
「うん。アリアが無事なのが、一番よかった」
「……セラが言うと、ちょっと恥ずかしい」
「なんで俺が言うと恥ずかしいんだよ」
「なんとなく」
アリアが頬を少し赤くしながら視線を逸らす。
「アリアのおかげだな。風刃が頼もしかった」
「セラの光弾も、すごかったです。防御も、よかったです」
「互いに互いか」
「はい。……でも、嬉しいです」
「何が?」
「私たち、守れるんです。自分たちの力で」
アリアの言葉に、セラの胸が熱くなる。守る。それが守護隊の役目だ。訓練で学び、技術を身につけ、そして実戦で力を発揮する。
「これで、守護隊として一歩踏み出せたな」
「はい。自信がつきました」
本部が見えてきた。夜の帳が下りていた。星が瞬き、本部の窓から漏れる光が、道を照らしている。
本部に到着すると、隊長室でレイナード隊長が待っていた。
「帰ったな。無事で何よりだ」
「報告します。西側パトロール完了。異常を確認し、記録しました」
セラがノートを開き、報告し始める。爪痕の位置、数、方向。そして、魔獣との遭遇、戦闘の詳細。一つ一つを淡々と、しかし正確に伝える。
「場所は、ここから西へ三キロ地点の森の縁」
「爪痕は四箇所確認。中型の魔獣三、四匹によるものと推定」
「移動方向は西へ向かっていて、痕跡は新しく、数日以内のもの」
アリアが補足して説明を加える。レイナード隊長が顎に手を当て、黙って聞いている。
「魔獣四匹、撃退か。上出来だ」
レイナード隊長が満足げに頷く。
「記録も詳細で、非常に助かる。これを元に、今後の対策を練る」
「はい」
「お前たちの初任務、成功と言っていい。自信を持っていいぞ」
「ありがとうございます」
二人が深く頭を下げる。任務完了の報告。守護隊としての第一歩を踏み出した証だった。
本部を出ると、夜風が涼しく感じた。戦闘の汗が冷え、少し寒いくらいだ。でも、それは心地よい疲労だった。
「セラ、お疲れ様でした」
「お疲れ様、アリア。今日はよくやった」
「はい。……セラも、すごかったです」
「アリアもな。風刃、かっこよかった」
「……ふふ、ありがとう」
アリアが少し照れたように笑う。その笑顔が、セラの胸を撫で下ろす。
「帰ろうか。家で、ゆっくりしよう」
「はい。お腹、空きましたね」
「ああ、腹減ったな。アリアの料理、楽しみにしてる」
(幼馴染の手料理が待っている。それが今は、一番ほっとすることだ)
夜の街道は静かで、二人の足音だけが響いている。初任務を終えた二人の背中は、少し頼もしく見えた。
「……ねえ、セラ」
「ん?」
「私たち、守護隊、やっていけそうですね」
「ああ。やっていける」
「なら、これからもよろしくお願いします」
「こっちこそ、よろしくな」
星空の下、二人は家路についた。
初任務の成功。それは、新たな旅立ちの始まりだった。
「ねえ、セラ」
「うん?」
「初任務、どうでしたか?」
「……きつかった。怖かった。でも、終わってみると達成感がある」
「私もです。こういう感覚、初めてでした」
「俺も初めてかもな。仕事で達成感を感じることはあったけど、こんな感じじゃなかった」
「どんな感じだったんですか」
セラは少し考えた。
「……疲れが報われた、という感じかな。でも今日のは違う。「誰かを守れた」という実感がある」
「それが守護隊の仕事ですね」
「そうだな。誰かを守るために動ける。それが今の自分だ」
「今はある」
「うん。今はある」
「楽しめ」
ふと、以前聞いた謎の声が蘇る。
(全力で生きる。守るために生きる。それが「楽しめ」の意味だ。セラは夜空を見上げながら、確信した)
これからも、全力で生きていこう。守るもののために。




