表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【推理〔文芸〕21位】霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿ー怪物に戸籍のある街で  作者: 虫松
影の蒸発

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

114/127

第1話 霧都で怪人が失踪

霧都ヴァル・ロンドリア。


その朝。


街は大騒乱に包まれていた。


新聞売りの少年が通りを走る。


「号外だ!」

「号外だ!」


「怪人が消えた!」

「怪人連続失踪事件!」


新聞が次々と売れていく。


人々が群がる。


「見せろ!」


「本当か!?」


「何人だ!?」


==============


霧都新聞 号外


怪人が連続蒸発


狼人間

翼人

半魚人

石化症患者


昨夜だけで五名が失踪

=============


市場では商人が声を荒げる。


「これは怪人狩りだ!」


「いや軍の実験だ!」


「白亜党の仕業だ!」


酒場では怒号が飛ぶ。


「怪人は危険だ!」

「いや被害者だ!」

「街から追い出せ!」

「ふざけるな!」


椅子が倒れる。

喧嘩が始まる。



怪人地区。


窓が閉ざされている。

翼人の男が言う。


「昨夜」


「隣の狼人間が消えた」


半魚人の老婆が震える。


「足音も」

「叫び声も」

「何もなかった」


ただ消えた。


影のように。


市警本部。


警官が怒鳴る。


「通報は何件だ!」


「二十件!」


「いや三十件!」


机には怪人失踪の報告書

山のように積まれていた。


ガルム警部が叫ぶ。


「霧都はパニックだ!」



■■■



霧都の外れに建つ崩れかけた旧天文塔。

そこにあるのが星霧探偵事務所。


静かな部屋。


そこだけが別の世界のようだった。



探偵アレクシス・グレイヴンは

机で新聞を読んでいる。


秘書ミレイア・ルーンベルが言う。


「街が…」


「大変なことになってます」


弟子オズワルド・ハーゲンが

新聞を覗き込む。


「狼人間」


「翼人」


「半魚人」


「石化症」


怪人たちの失踪。


彼は眉をひそめる。


「全部」


「怪人ですね」


ミレイア


「一晩でこんなに消えるなんて…」


「怖い」


アレクシスは新聞を静かに閉じた。


「怖いのは」


一拍。


「これが」


「偶然ではないことです」


その時。


机の魔導通信機が鳴る。


ジジジジ…


オズワルド


「警察だ」


ミレイアが受話器を取る。


「はい」


数秒後。


顔が変わる。


「え?」


「……今ですか?」


彼は振り向く。


「アレクシス」


「ガルム警部補です」


アレクシスが受話器を取る。


「グレイヴン氏」


低い声が響く。


ガルム警部補。


「大事件だ」


アレクシス


「怪人の失踪ですね」


ガルム


「それだけじゃない」


一拍。


「ついに死体が出た」


部屋が静まる。


ミレイアが息を呑む。


ガルムは言う。


「ただし普通じゃない」


アレクシス


「どういう意味です」


ガルム


「蒸発だ」


オズワルド


「え?」


ガルム


「死体が影を残して、ほとんど残っていない」


ミレイア


「そんな…」


ガルム


「現場に来てくれ」


「これは」


「普通の殺人じゃない」


通信が切れる。


沈黙。


窓の外。


霧都の霧が流れている。


アレクシスは立ち上がる。


「行きましょう」


オズワルド


「事件現場ですね」


アレクシス


「そうだ」


彼は静かに言う。


「誰かが」


「怪人を消している」


霧都の空。

霧の向こうで


新たな怪異な事件が動き始めていた。


星霧探偵事務所による

霧都ヴァル・ロンドリア探偵事件簿

『影の蒸発』事件の幕が上がった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ