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12人の少女達の日々  作者: ヤマネコ
10/16

瀬奈来夏

ブクマよろしくお願いします。

最初は全くおしゃれに興味が出なかった。服にも全く興味がなくて、いつも親が適当に買ってくれたものを着ていただけだ。


使用人には「もう少し服装に気を使ってください。お嬢様なのですから」と言われた。


好きでお嬢様になったわけじゃないのに。こんな生活もう嫌だ。


友達に好きに作ることが出来ず、両親にあの事なら仲良くしてもいい、あの子とは仲良くしてはだめと指図されてばかりだ。


自由時間も少なく、習い事が多かった。書道、ピアノ、英会話など…。人によっては羨ましいだろう…。


けどね、それって自分が望んでいるなら羨ましいわけで


望んでいない場合、苦痛にしかならないんだよ?


例えば、サッカーをやりたいと言う男の子に、書道やピアノをやれと言ってその子はまじめにやるだろうか?


ほとんどの場合、やらないだろう。仮にあるとしても「意外とやってみたら面白いな」ということがあるかもしれないが、それも長続きするかどうかというとかなり微妙だ。


私の場合、長続きしないと自由時間は更に減らされ、買ってほしい物も買ってくれなかった。


そんなある日、使用人から少女漫画を読んでみるかと全10巻渡された。


表紙を見ると、可愛い女の子がイケメンに後ろから抱き着かれている。


「っは!こんなの読んでもつまらないだろう」


一度もそういうと物を読んだことはないが、そういうものだと思っていた。





全巻読んで、涙を流していた。


来夏「いいな…」


描かれているヒロインと自分の姿を比べてみる。ヒロインは可愛い服を着て、可愛いバックを持って、可愛い髪形だった。


対する自分は、何かよくわからない文字が書き込まれたシャツを着ていて、髪の毛もぼさぼさ、持ち物も実用性重視だから、お洒落とは言い難かった。


そこから私のお洒落に対する見方が変わった。


両親に今までの習い事を完璧に出来るようになったら、お洒落に関する雑誌とか友人を好きに作っていいか聞いてみた。


両親はダメだと言う。


だったら習い事全部もうやらないよって言った。


そしたら


「来夏のお小遣いから給料を払うことになるけどそれでもいいの?」


と言ってきた。


開いた口がふさがらなかった。ここまで言えば、少しは譲歩してくれるかとおもったけど、全く怯まなかったのだ。


今まで通りお小遣いをもらいながら嫌な習い事を続けるか、お小遣いが入らない代わりに習い事を放り投げるか…悩みに悩んだ。


部屋に戻って頭を冷やしなさいと言われて、使用人に背中を押されて戻された。


ベッドに体育座りになって考えた。どっちを取るか…。


次の日、私はまた両親に昨日と同じことを言って付け加えてこう言った。


「お小遣いはいらない」


そう言った日から習い事は全てサボるようにした。習い事をする部屋に行ったふりをして屋敷から抜け出したり、使用人に見張られても目を離した隙を狙って逃げ出した。


当然お小遣いが無いわけだから資金もまったくない。そんな状況でお洒落になるのはとてもじゃないが難しいわけで…。


街を歩いてお金なしでお洒落になる方法を考えた。


1つだけ方法を思いついた。自分は未成年で10代後半。刺さる人には大金を積んでも欲しがるだろう。


街中を歩く人にそれっぽい人に手当たり次第に声をかけていく。


「お洒落がしたいからお金を下さい」


こんなことを言えば相手はもちろん取り乱した。「この子は何を言っているのか」

そんな感じだろう。もちろん相手にされなかったが声をかけ続けるとそういう人とも会えた。


中には「本当に!? 本当にお金あげたら君に好きなことをしていいの!??」


と鼻息を荒くしてはぁはぁ言っている太ったおじさんもいた。


来夏「いいよ」


太ったおじさん「はぁはぁ…じゃ、じゃあ…こっちおいで」


伸ばされた手を掴もうとしたら、他の人が私の手を掴んできた。


使用人さんだった。私の手を握る手は握りつぶされるくらいに強く、震えていた。


使用人に連れていかれ後ろからは「あ、まって」と声が聞こえたが、使用人は振り向かず車に私を放り投げるとそのまま車を発進させた。サボったことがばれていた。


家に帰ったら、両親が激怒していた。


私の姿を見ると鼓膜が破れると思うほどの声量で怒鳴ってきた。


話す速さが早すぎて正直何を言っているのか聞き取れなかった。だが言いたいことが分かった。


「お前はお嬢様なんだから、好き勝手にやるのはやめろ」


きっとこんな感じのことを言いたかったのだろう。その後、晩御飯抜きにされ、部屋で布団に横になりながらインターネットを見ていると、ある記事に私の写真が載っていた。


来夏「え?」


見間違いたかと思って、記事を見てみる。撮られて場所も今日行ったところで、服装も一緒、おじさんも私が話したのと同じ人だった。


このことは両親に知られてしまう。そして他の家から後ろ指をさされるようになった。


お父さんはお母さんを、お母さんはお父さんを責め立てた。醜い言い争いに使用人の顔色が悪い。きっと今後の仕事のことで不安になっているのだろう。


その後、両親にお洒落をすることは許可されたが、私がお洒落に興味を抱くきっかけになった使用人は解雇された。


使用人を庇おうと両親に弁解しようとしたが、使用人が手を出すなと言ってきて結局何もしなかった。私が使用人に謝ろうとしたが、両親の矛先が私に向いて怒鳴ってきた。



それを聞き流して使用人を探すと、もうこの屋敷から出て行ったと他の使用人が告げた。


私の我儘が、使用人を解雇させてしまった。


それ以来自由な時間が増えたが、そこまで嬉しい気持ちではなかった。


その後両親も仲が悪くなり、家の中はギスギスで空気が重い。次第に両親が家にいる時間が1週間に一度、一か月に一度、一年に一度となり、帰ってこないことが当たり前になりつつあった。使用人もやめる人が続出した。


使用人のことが頭から離れない。あそこで私が我儘を言わなければ…。


いや、そんなことを言ってもあの人は戻ってこない。


そう考えた私は他に目が入らないくらいにお洒落になるにはどうすれば良いのか考えて、沢山の雑誌を見て、他の人と真剣に意見を交換して没頭した。


もし次会うことがあったら、お洒落になった私を見てもらう。


それが、私の我儘で仕事を辞めたあの人にとって唯一の謝罪することが出来る方法だと思った。



そう考えてからは服装・装飾品の雑誌をいくつか買って、これはどうかと頭の中でコーディネートを考え、後に友人と合流して、新しく学校で作った友人達の持っている雑誌と私の雑誌を見合わせて、意見を交換して、実際にお店に行って試着して意見交換して、帰ったらまた組み合わせを考えるようになった。


今日もおしゃれの研究をしなきゃ。


頬をピシッと叩いて気合を入れて、雑誌に目を通してイメージした。


今後もよろしくお願いします。

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