悪役令嬢が救われるのならヒロインだって救われていいと思う

ローゼマリン・フォン＝ヴェスター公爵令嬢は王妃教育を受け育ってきた令嬢。靡く金のウェーブがかった髪と宝石のように澄んだ紫の双眸、頭のてっぺんから爪先まで美しく、次々と革命的な開発を行い民に慈悲深い彼女はまさに次期王妃として相応しい。

しかしそんな彼女には秘密があった。

前世を、覚えているということ。

社畜生活での唯一の息抜きであった友人との時間の最中、友を庇い死んでしまった彼女が次に目を覚ましたのは、生前友人が一番ハマっていたゲーム、『乙女ゲーム』というなんともネーミングセンスの欠片も無いゲームタイトルの世界の中だったということ。

曖昧な記憶を手繰り寄せ、自分が悪役令嬢、ローゼマリン・フォン＝ヴェスターだということを思い出す。

彼女にとってのバッドエンドを回避する為、懸命な努力をし続け見事に王子に婚約破棄をさせてみせ、ハッピーエンド。

………かと、おもいきや？

ヒロインの、悲しそうな顔が忘れられない。何故そんな顔をするのか、どうしてそんなにも諦めたような目をしているのか、それが知りたい彼女はハッピーエンドの続きを紡ぐ。

それが望まない結末へ、繋がるとしても。