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コンピテンス4  作者: G.j.jijo 沼里泰行
30/32

さざなみ4



人懐っこい運転手は

ステアリングを握り

ながら積極的に話し始めた。



「軽井沢は見所が本当に

多いんです。白糸の滝は

とても荘厳だし、リスやカモシカ



なども見られる軽井沢野鳥の森

の自然は本当に心が癒されます」



ユキチがしみじみと、

「観光で来たかったなぁ」

と呟くと。



洋子もその意見を汲み取り、

「夕日のスポットや紅葉や桜



なんかも見所があるんです。

また、みんなで来ましょうよ」



大介が思わず、

「また、バイトするのかよ」

と不平を匂わすと。



「でも、バイトも楽しかったよな」

とユキチが切り返し、



それにユカも相槌を打つ。

「大介は楽しくなかったの」



「うん、結構厳しかったし。

お前らを女だからみんな

優しかったんだろ?」



「大介、それは違うぞ。

お金をもらう以上、それ相応の

仕事をするのは当たり前さ」



「ユキチ、俺にはそんな余裕なんて

まるでなかったよ。冷蔵庫は落とすし、

家具は壁にこすりつけた。



弁償しろといわれたらどうして

いいか、すっかり自信をなくしたよ」



「大介は重たい荷物を今まで

持ったことがなかったのね。



無理して指でも

怪我したら大変よね」



「ユカ、優しいな。俺の場合は

運転手と二人の時が多かったから、

持てません、なんて絶対いえないよ」



「でも、それをいったら

謙二だって、実だって条件は一緒よ」



「洋子さんのいう通りだ」

と実が口を挟む。



「実のいう通りさ、

パーカッションの場合

も指は命だからな」



「なんだよ、謙二まで

女の側につくんだ?」



「そんなことねえよ大介、

お金をもらう以上

男も女もありゃしないよ。



引越しのバイトは、コスト

パフォーマンスがいいから、

注意さえ怠らなければいいんだ」



「あたいも他人の荷物の

整理なんてできないと思っていたけど、

みんなから喜ばれるとやりがいを感じる」



「ユキチの正体がバレなかった

なんて信じられねえよな」と大介。



「ああ、先輩たちがLINEの

IDを教えろってうるさかったぜ。



ふるふるもしたくねえから

ケータイを隠していたくらいだ」



「ええ~ユキチさんも?

私もひつこく聞かれた」

「ヘェ~洋子も」



そして大介が

説子の方を向くと。



「何よ、大介。

私も聞かれたわよ」



「説子、嘘はよくないぜ」



「あら、失礼しちゃう。

私胸には絶大な自信があるんだから」



「なんだ説子の売りは胸だけか?」

と大介が叫ぶが、それに負けない

くらいの大きな声で、



「みなさんコテージに着きましたよ」

と運転手が告げた。



すると洋子が驚いて、

「あの信州そばのお店は?」



「はい、この前の道をまっすぐ

に歩いて2箇所目の十字路を



左に行ったところにあります。

歩いて大体5分くらいです」



「なんだそうなんですね」



「それと楽器と機材の

レンタルの担当の人が待っていて、



一緒にセッティングしたい

ということだったんですよ」



「ああ~それを忘れてたわ」



「洋子さん、それは俺一人で十分だ。

みんなは荷物を置いて、そばを食いに

行ったらいい。お腹がすいたろ」



「実、情けないことをいうなよ。

みんなでやろうぜ」とユキチが車を



降りてスタスタとコテージの方

へ歩いて行くと、みんなも後を追った。



運転手が慌てて、

「3日後、13時にお迎えに来ます」

と叫んでマイクロバスは白煙を



上げて深緑の小道を

一直線に過ぎ去って行った。




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