さざなみ5
白樺をバックに囲まれた
一角の芝生にコテージは建っていた。
近づくと三角屋根で
木材の重厚感が漂い、
床は冬の雪対策のため
1メートルほど高いところにあった。
中に入るためには階段を
8段上らなければならなかったが、
一同は澄んだ空気を胸
いっぱいに感じながら一段
一段階段を踏みしめていく。
洋子が受け取った
鍵をさそうとしたが、
先ほどの運転手
の言葉が頭をよぎり、
そのままドアノブを
握って重い扉は開けた。
中に入ると部屋全体が木目で
覆われ、独特の匂いが鼻をつく。
入り口のすぐ脇に
革製のチェア2つとテーブル、
そして繋がる15畳くらいのリビング。
そこの中心にドラムセットが置かれ、
囲むようにアンプが4台が
並んでいて、そこにマイク
スタンドとギターが2本、
ベースが立てかけられていた。
その奥にキーボードがひっそりと控え、
その側に30歳くらいのラフな
ポロシャツ姿の男が立っていた。
実が近づいて声をかけた。
「こんにちは、機材の
セッティングの確認を
したいんですけど、
担当の方ですよね」
「はい、一様セッティングは
してあります。あとはミキサーを
調整すれば音はすぐに出せますよ」
「わかりました。じゃあ
みんな適当に演奏してみよう」
と、それぞれ持ち場に
着くと一斉に音を出してみた。
担当者が、
「ギターのエフェクターが
あったので、特別に用意してあります。
どうぞご自由に試してお使いください」
すると大介は、
「ありがてえ~、助かります」
実も、
「うん、まずまずいい感じだ。
洋子さん、ありがとう」
「いいえ、私は大した
ことをしていません。
わからないことは
全部大介に聞いたんです」
「シールドをいちいち
楽器に繋いでいたら、
それだけで時間を食っちまう。
こういうことは全て
任せるに限るんだ。
大介、よく
わかっているじゃないか」
「はは、礼はいいから荷物を
置いて昼飯に行こうじゃないか」
すると洋子が、
「2階に3部屋あるから、2部屋は
女性用で、2段ベットが2つある
部屋は男子用になってますので、
よろしくお願いします」
ユキチもこの
コテージが気に入ったのか、
「みんな、荷物を置いて
そばを食いに行こうぜ。
もう腹が減っちまった」
みんなで、
「よっしゃアー」
と気合を込めたあと。
部屋中を見て回りながら
天井に設置されたシーリング
(プロペラみたいなファン)に驚きながら、
外に出てウッドデッキのあまりの
爽やかさに新鮮な驚きを感じる。
東京からわずか1時間で来れる
ところなのに気温は約3度も違う。
別世界に浸りながら
それぞれが期待と夢と不安を
抱いて、これからはじまる
ストーリーに胸が高鳴るのだった。
~コンピテンス4終わり~
来週エピローグをお届けします。




