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盗賊


 こんばんは、シルビアです。

 のんびりとした旅だったのですが、ついに盗賊?の斥候が来たようです。

 エイジア様は戦う気は無いって言ってますが、戦う準備は怠らないようで凄い魔力を込めて魔法符を作っていました。

 ということは、やはり戦いがあるのでしょう。 つまりは、これでまた功績を上げたらご褒美の串焼きとか、串焼きとかがもらえるに違いありません! じゅるり

 まっててください串焼き!





「エイジア様、敵は昨日の盗賊でしょうか、戦うのですか?」

「いや、護衛の人が居るから私達は待機だよ。もし、状況が悪くなれば割り込むかもだから、大人しくしててね」

「はーい」


 待機と聞いて微妙にしょんぼりした顔をして、三角座りをしておとなしくしている。


 さて、今のうちに手持ちの魔法符カードを確認しておこう。

 ちなみにだが、魔法符カードは使い捨ての符で、護符タリスマンは魔法を再充填できる物で形状は装飾品類が多い。

・ハイ・エードが2枚 ・リフレッシング2枚 ・ゾーン・チェイン1枚 ・ディスペル1枚 ・ゾーン・ブレイブ1枚 ・クリーン5枚

それと、テレポートを2チャージ込めたタリスマンがシルビアと私に1個ずつ


この12枚が手持ちのカードだが、範囲化したハイ・エードを作っておきたい所だ。

非戦闘時だったら成功率を上げる「集中」をし放題なので、難易度の高くなる範囲化魔法を作るのが楽なのだ。しかし、範囲化はMPをかなり消費するのですぐに戦闘になったらさっきのサーチでの消費と合わせて、MP残量は100を切る……

戦闘中に全体回復が必要になっても、発動できなかったら命に関わる。ここは作っておくべきだろう、最悪シルビアの装備用に作っておいたMR結晶マテリアルをくずしてMPを補填しよう。


 ハイ・エードを魔導学で圧縮して威力拡大、そして範囲化……集中、集中、しゅーちゅー…… そして、カードエンチャント完了。 ゲームの時にはGMゲームマスターの視線が痛くなる戦闘外での「集中」連打だが、誰も見てないし死にたく無いのでガチでやっておこう。


「しかし、これだけで100以上MP使うって、戦闘中に使ってられないじゃん……魔法消費減少のレベルを上げないと辛いな」

「じーーーーー」


 シルビアがこっちを凝視しつつ、擬音を口で言っている。


「どうかしたか?」

「エイジア様、凄い魔力でしたけど何を作ってるんですか?」

「回復用の護符を作ってたんだよ、もし戦闘になったら必要になるかもしれないしね」

「そうなんですか、戦闘になったら私も戦っていいんですよね?」

「んー、状況しだいだね、護衛の人たちに加勢したほうが良いときは戦うけど、基本的にはここで大人しくしていよう」

「はーい」


 なんだろう、最近シルビアが戦闘に目覚めてしまったのか、戦闘民族のように戦いたがっているんだが……まぁ、状況次第とは言っているが、魔法による横殴りをして経験値をしっかり頂きたいのではある。

 それにシルビアも戦いたがってるし、行けるようならイってしまいたい。


 こんな時にあの奇跡魔法があればとはつくづく思う、やはり次のレベルアップで奇跡魔法セーフィーを取ってしまおう。 ゲームの時にはフレーバー魔法だったが現実となった今、あれほどエグイ魔法は無いだろう。


 奇跡魔法「セーフィー」SP5 対象1人 発動率+30%

 効果:1日(24時間)「即死」ステータスを防ぐことができる。 対象はどんなにダメージを受けても、首を切り落とされていてもかろうじて「生きている」状態になります。 1日に1回しかこの魔法は使えません。


 という魔法なのだが、死亡によるキャラクターロストを防いで、次のシナリオでは再登場させることができるようにという、キャラクターへの愛情魔法だったのだが現実なら24時間は絶対に死なないって事なのだ。もちろん「即死」意外のステータス異常は効くし、24時間後に生存不可能なレベルでの怪我をしていれば、即時HPに還元されて死亡することもあるが、時間内であれば灰になっていようが必要量の回復魔法を掛ければ回復しきるのだ。 まぁ、現状でそれを実験したくはないのだが……

閑話休題


 とりあえず、襲撃がいつ来るか分からないから瞑想でもしてMP回復をしておこう。


「さてと、保険も掛けたし、仮眠を取っておこう。 シルビアも少し寝て良いよ、敵が来たら魔法が教えてくれるから」

「んー、目が冴えちゃいましたよー」


 戦闘の予感にうずうずしているのか、しっぽをパタパタと揺らしてテンション上がってる状態だが、結構単純な子なので寝かしつけてしまおう。


「まぁ、そういわずに目を瞑ってなにか美味しいものでも食べてるところを想像してごらん」

「はい、んー…串焼き…鳥の丸焼き…ポウポウの蒸かしたの……おいしい……ぐぅ」


 ん、満腹だと寝つきが良いね。 たまにこうしてテンションが上がって寝ないことがあったので色々と試した結果、美味しいもの連想をしてると結構な確立で寝付いてくれる。

 まぁ、そんな事はおいといてちょっとでも寝ておこう、何か嫌な予感がするのだ……




 そして、サーチカードが発動したことで目が覚める。 思ったよりも時間が経ったのか深く眠っていたようだ。 寝ぼけた頭をしゃっきりさせるために2、3頭を振るとサーチ状況を見て愕然とする。 20m範囲に見える敵光点がざっと見ただけでも20以上あり、完全に囲まれている。 そして、統率が取れていてゆっくりと包囲を狭めてきているようだ。

 脳裏を幾つかの対策が過ぎるが、まずは現状把握を優先しよう。


「偽装開始、サーチ60m発動」


 そして、更に後方までサーチの範囲が広がり20~30m範囲に36の敵光点があり、その後ろには居ないことが分かったが、状況はかなり悪いと言わざるを得ない。


 こっちの戦力は護衛が6人と元冒険者のロンダさん、お弟子のルカスと商人仲間の3人と私達の合計13人、これに対して盗賊が36人だ。

完全に予想外だった。盗賊団と言ってもギルドや騎士団からの調査でアジトが見つからないレベルだから、盗賊団は小規模かもしかしたら一桁の人数しか居ないものだと、頭のどこかで高をくくっていた。 しかし、蓋を開けてみれば36人も居て、なお且つ包囲を狭めてくる錬度からそれなりの統率を見せている。 全体のレベルが高いのか、指揮をしている奴が何かしらの戦術スキルを保有しているか、その両方かだ。


手持ちの転移護符が2枚なので移動可能なのは12人と私が自力で発動させれば逃げることは可能だが、荷馬車は諦めるしかない。 そして、ロンダとルカスは信用できるとしても冒険者と商人には転移魔法のことを知られてしまう。

 戦うとしても、商人3人とルカスは戦力に数えないほうが良さそうなので、実質戦力は9人、これに強化魔法を掛けたとして1人頭4人倒さないといけない。

 ともあれ、最初の一撃は防げるようにしておこう。

 精神を集中して1枚の魔法符を作り出して、手持ちの魔法符と護符を一緒に渡しておく。


「シルビア、今から言うことを良く聞いてくれ」

「はい」


 私の緊張した顔と声を聞いて、のほほんとしたシルビアもピリッとした真剣な表情を浮べて、私の話しをジッと聞いている。




「これが最善だと思う。必ず生き残ることを最優先で行くぞ」

「分かりました。絶対に死なないでくださいね」


 不安げな顔でしゅんと耳を垂らしているシルビアの頭を、がしがしとちょっと乱暴ぎみになでて作戦を開始する。


 シルビアは寝起きを装って幌からでて、ロンダ達が居る焚き火に水を貰いに行く。


「ロンダさん、すみませんお水を貰えますか?」


 そう言いながら焚き火に当たりつつ、水を飲む振りをしながら私からの作戦を伝えてくれている頃だろう。


 私は幌の天井部分をナイフで切って、荷物をよじ登って幌の上に這い出て馬車の後ろのほうへ這い蹲って移動する。幸い荷物は大半が木箱や樽なのど硬いもので出来ていて、荷馬車に満載していたので幌を踏み抜いて下に落ちることなく後ろへたどり着く。


 荷馬車の天井部分の高さに居るおかげで、30m先の人影もしっかりと見渡すことが出来る。 そして背の高い草で隠れているつもりだろうが、夜目のスキルもあるため一番近いところに居る奴は、所持している武器まではっきりと見えている。


 ロンダさんが逃げるか戦うかどちらの選択をするにしても、盗賊の数を減らしておくことは必要だろう。


 位置的には北西に伸びた街道の西側に設けられた休憩所のような広場で、街道から見て奥に馬車を止めて街道が見える位置に焚き火囲んでいる。

東側は街道があるので盗賊が襲いかかろうとすれば、一度街道に出ることになるから対応はしやすいだろう。 したがって、焚き火側からは馬車が死角になってしまっているので、可能な限り数を減らして置きたいところだ。


 狙うのは街道寄りの奴らからいってみよう。 多少なりとも高さがあって視認できる位置なので、ある程度は狙いやすくなっている。


 「魔力隠蔽偽装開始、螺旋魔力弾……狙撃集中! 集中、集中……」


 1発50MPで頭部を打ち抜く、頭部の装甲を貫通すれば人体急所なので「即死」させることが可能だ。 これの問題は命中精度だが、集中を5回掛けて30秒に1回1人倒していく。 計算上であればここから見える敵14人を7分で制圧できる計算だ。 まぁ、途中でばれるだろうけど……


 「まずは一人目、螺旋魔力弾、射出!」


 ヒュインと言う風切り音が思いのほか大きく聞こえ、ヒヤリとして身を屈めて回りを見渡すが、特に動きに変わったところは無いようだ。 そして、狙った盗賊は身を屈めて移動していたため、膝から崩れて座り込むようにして動きを止めた。

 そこから一番近い盗賊は5、6mほど離れていて、暗がりのせいか気づいて居ないようだ。


 次の敵はその横を倒したいが、その後方に居るやつに気が付かれる可能性が高いため、次は30m先の敵を狙撃する。


「螺旋魔力弾、集中……」


 30m狙撃のために1回多く集中を掛けて魔法を放った瞬間、後方で大声で叫んでいる声が聞こえる。


「ひさしぶりだな! ロンダ! お前に借りを返しに来てやったぜ!」

「お、おまえは赤牙の狼のワルスか!? 生きていたのか……」


 狙った30m先の盗賊が崩れ落ちるのを確認してから、後方を振り返ると4人の男が街道に立っていた。

 真ん中に立つ中年のスキンヘッドに眼帯をしたオッサンは、ロンダさんに因縁があるのか腕組みしてにやにやと笑っている。 その横には松明を持った奴が2人と後ろにローブを着てフードを被った奴が1人居る。


「ああ、お前に潰された目と赤牙の狼の敵を取りに来てやったぜ。 ロンダ、お前の命と引き換えになら、他の奴らの命だけは見逃してやる。 武器を捨ててこっちに来い!」


 まずいな、仲間内で動揺されると付け込まれるかもしれない、戦うならそれでかまわないけど、逃げるなら早めに護符を使って逃げて欲しいところだ。


「さぁ、どうする! この辺は俺の手下で包囲している。 決断するなら早くしたほうがいいぜ!」


 その言葉を聞いて松明を持った男が、松明を高く上げて大きく振ると周りを囲んでいた奴らが等間隔に松明に火を付けて、囲んでいることをアピールしてくる。


 チャンスか?松明を持った奴は立ち上がって松明を掲げているため、松明を持った奴を倒すわけにはいかなくなったが、明かりがあるために暗がりにかがんでいる奴は、逆に狙い目になっている。

 とにかく今のうちに数を減らそう、たぶんだがワルスとかいう奴が頭だろう。 あっちが叫んで交渉をしているせいでそっちに意識が向いている今がチャンスだ。

 ポケットからMR結晶マテリアルを取り出して握り込む。


「螺旋魔力弾、集中……」






「おい、早くしねぇか! いい加減にしねぇと皆殺しにするぞ!」

「本当に俺1人の命で仲間を助けてくれるのか?」

「ああ、他の奴らは邪魔だから街道を南に行きな、ただし、荷物は全部置いてだ!」


 ロンダは大きく息を吐きだし、シルビアに何かを告げるとシルビアは持っていた符を上に掲げて高らかに告げた。


「武勇の力を私達に!」




 シルビアの雄叫びにも似た魔法符の発動を聞いて戦闘が開始されたのを知った。

 ここまでに倒した数は7人、射程範囲に居るのは松明を持った奴とその近くに居る奴を合わせて6人、シルビアの声と発動したブレイブの魔法光を見て、しゃがみこんで居た奴らは立ち上がり一斉に弓を引き絞っている。

 周囲を取り囲むように配置して頭目と思しき奴の合図で、一斉に弓を射るつもりだったのだろう。 そして松明を持った奴がその段になってようやく気づく、立ち上がった人数が予定よりも少なく、急いで周りを確認してうつ伏せに倒れている奴や、そのまま動かなくなっている者がいることを。


「や、やられている。 攻撃を受けているぞ! ボスに知らせろ、すでに攻撃を受けている……」


 気づかれることは織り込み済みなので、叫んでいた松明の男を即座に撃ち殺す。

 今度は気づかれないようになどとは思っていないので、集中を行わずに魔力弾を敵前で炸裂させるタイプの魔導学を練り込んで、確実に仕留めておく。


 螺旋弾の細かい散弾を受けて、男は警告を発していた途中で、頭部を粉砕されるように吹き飛ばされてそのまま後ろに倒れる。


 それを間近で見てしまった盗賊は弓を射ることも忘れて一瞬呆然としたが、我に返って敵を探そうとつがえた弓を構えたまま周りを見渡すが、私の掛けている偽装が魔力反応を誤魔化しているので、こっちを特定できずに右往左往している。


「くそっ、隠れてないで出てきやがれ! ぶっ殺してやるよぉ!!」

「どこだ! ぐはっ……」

「って、ぶべらっ」

「た、助けてく……」


 MR結晶をMPに変換して全魔力による一斉掃射を行い、とりあえず後方はこれぐらいにしてさっさと合流しよう。 後衛タイプの私がソロで戦ってても碌なことは起きない。




「てめぇ、ロンダ! 時間稼ぎをして不意打ちとは、えらく卑怯な手ぇ使うようになったじゃねぇか! お望みどおりぶっ殺してやる! お前ら! やっちまえ!」

「囲い込んで襲ってくるような奴に、卑怯とか言われたくはないな!」


 頭目の合図で包囲していた盗賊が一斉に弓を射る。

 そして、それを予想していたのか、護衛の冒険者達は商人とロンダの周りに立つと、背負っていた盾を頭上に掲げて抜刀し矢を迎撃する態勢になる。


「大丈夫です! エイジア様から初手を防げるようにと、もう一枚の魔法符を渡されています。 弾き飛ばせ! 衝撃の防壁!」


 シルビアは我がことのように誇らしげな表情で魔法符を高々と掲げ、雨のごとく迫り来る矢を睨みつけ、魔法符の発動を告げる。

 その途端、魔法符が青白く輝き光のドームを作り出し、その光に矢が触れようかというところで、パンッと言う破裂音と共に全方位に向けて衝撃波が走り、迫り来る矢をあらぬ方向へと弾き飛ばし、近くまで出て来ていた頭目と取り巻きが吹き飛ばされて転倒する。


「よっしゃ、上出来だ! シルビアちゃんは馬車に隠れてな、後は大人の仕事だ! ヨハンとイザック、ラウィは馬車の方でエイジア様とシルビアちゃんを守ってくれ。 俺達は接敵するぞ、乱戦なら弓は使えない」

「おう、任せておけ。 盗賊なんぞには指一本触れさせやしないぜ」


 ロンダは商人仲間の3人にシルビア達の護衛を頼み、冒険者達と街道側の盗賊へと走っていく。




 お読みいただき、ありがとうございます。

 次は早くと良いながら更に遅くなりました。ごめんなさい

 無理が無い程度にがんばります。

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