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うぬぼれ

テーブルに着いた私をいち早く見つけたウエイタ……もといウエイトレスさんが、すばらしい速度で擦り寄って来て注文を聞いてくれる。


「あぁら、いらっしゃい、なんにするのぉ? お酒? でもボウヤにはまだお酒は早いわよ。今、おねぇさんのお勧めの料理とジュースを持ってきてあげるから、ちょっとまってなさいねぇ」


 ウエイトレスさんははちきれんばかりの大胸筋が胸元から覗いた、ぱっつぱつの制服姿で私の後ろに回り込み抱きしめるようにして、私の顔を撫でながら耳元に囁き勝手に注文を決めて、私の頭を撫でながら厨房の方へオーダーを通しに行く。


「ウザイ、ああいうのはメルルさんがやってくれたら嬉しいけど、ごついオッサンにされるのはキモイだけだ」


 げんなりしながら思わず丁寧語も忘れ声にだして言ってしまったが、周りの冒険者達もそのやり取りを見ていたのか、同意をしめしてうなずいてくれている。


「ねぇ、君、もしかして、冒険者なの?」


 隣のテーブルに座る3人の冒険者が声を掛けてくる。1人は鍛え上げていると分かる筋肉に革鎧と鉄の部分鎧を着けた戦士と、同じく革鎧を着ているスレンダーな弓使い、もう1人はローブに杖と分かりやすい魔法使い、3人とも10代後半から20代前半ぐらいのお姉さん達でこちらを値踏みするように見てきている。


「はい、昨日成り立てですが冒険者になりました。エイジアと言います、宜しくお願いします先輩」

「うん、よろしく、私はナターシャ見ての通り戦士よ、こっちの弓術士はフィー、向こうの魔法使いはアルナ、Dランクパーティー『草原の風』って言うんだ。よかったらこっちで一緒に食べないかい?」


 気さくそうなお姉さん達が駆け出しの冒険者に指導をしてくれるのだろうか、まぁ、独りで寂しく食べるより女性と共に食べる食事のほうが美味しいので、ごついウエイトレスが来る前にさっさと席を移動する。


「いやぁ、若いね君、こんな可愛い子と食事ができるなんて今日は早めに切り上げて戻ってきて正解だったよ」


 そう言いながらナターシャが自分の酒のツマミである、燻製肉と木の実の入った皿をこっちに回してくれる。


「そうだねー、肌のハリが違うわぁ、年いくつ?」

「7才です、お姉さん方も綺麗ですよ、もう少し大人になったら恋人に立候補したいぐらいですよぉ」


 とりあえず社交辞令は必要だろうと褒め殺し合いをしておく、魔法使いのアルナさんは無口系なんだろうか、2人の話にうなずくだけで会話に参加したような顔をしている。


「今日は何の依頼をしてたんだい? 町の内職とか色々アドバイスできると思うんだ」


 本当にアドバイスをしてくれる気のようだ。可愛い顔だと得をする、向こうの世界では可愛いとは縁遠いごつい系の強面だったため、ちやほやしてもらえるのがとても嬉しい。


「今日は町の外で薬草採取をしてました。グラスモールを見つけられたら戦ってみたかったんですけど、草原に一日居たんですがみかけなかったんですよ」

「あー、グラスモールは普段地中に居るから罠で捕まえるんだよ、それに、肉食で成犬ぐらいのサイズだから油断すると手足をかじられるよ?」

「そうなんですか、罠とかの作り方は知らないんです。お肉が美味しかったから倒して夕飯にしたかったんですけどね」


 戦ったら勝てる前提で話をしていたが、犬サイズだとすると下手したら勝てないな、遠距離で見つけたら魔法でなんとかしてみようと思ってたんだが。


「武器は短剣だと剣術かな、私も剣術はちょっと使えるけど基本が戦技だから教えるほどじゃないんだよね、戦技なら多少は指導してあげられるよ」

「私は射撃と戦技だねぇ、まぁ射撃がメインだから戦技はナターシャが良いねアルナは古代魔法と属性の火と水だよね、ただ、無口で指導とか無理っぽいけど……」


 フィーの言葉にうなずいて同意を示すアルナだが本当にしゃべらないな、無口というより何か障害でもあるのかもしれないが、初対面で話す内容ではないのでスルーしておく。


「今のところ神聖魔法と付与魔法が多少使える程度ですが、戦技は覚えたいと思っていたんですよ。射撃も興味はありますね、古代魔法と属性魔法は今後覚えようとは思っています」


 なぜか3人がフリーズしてこっちを凝視している。なんだろう魔法職なのに欲張って戦技や射撃を覚えたいとか身の程知らずとか思われたかな。


「いや、まぁ、戦士系の技と言っても回避が多少できたらいいなーぐらいですし、射撃は命中補正スキルが手に入ったら楽になるかなって思ってるだけですから、何が何でもってわけじゃないんですよ?」


 とりあえずいいわけしてみるが反応が薄いなと思っていたら、ナターシャが私の肩をがっしり掴んで向き合う、肩が痛い。


「エイジア、私たちのパーティーに入らないか? 是非入らないか!」

「うん、それが良いと思うよ、やっぱり1人で居るよりみんなで居るほうが楽しいよね」


 なんだろう、何か食い付く要素があったのだろうか、パーティー構成からして回復職が欲しいのは分かるけど7歳児に何を求めてるんだろう。明らか低レベルなのは解ってるだろうし、成長に期待しているのだろうか。


「私はまだ3Lvなんでみなさんと組んでも大した回復はできませんし、もっと他にレベルにあった方を探したほうがよいのではないですか?」

「3Lv? えっと、ちょっと見させてもらうよ?」


 ナターシャがそう言ってスキルを発動させる。戦技の対人スキルで確か対象のジョブと得意な技術系等が分かる観察スキルがあったはずだ。それで見たら得意なのは付与魔法だと分かるはずだ、武器付与が重宝されるのは古代魔法や属性魔法を習得してからだから、神聖魔法しかもって居ないので付与術士としては役に立たないし、必然的に神聖魔法はそれ以下の習熟率だと分かるだろう。


 敵対してない限り同意を取らずに観察スキルを使うのはマナー違反のはずなんだが、相手が子供だと思ってなめてるのだろうか、私も「知る者」で見てみたいが魔力を消費するので感知系スキルを持っていれば、観察されているのがバレてしまうので使っていないのだが、パッシブ効果で分かる範囲だと実力差とか警戒レベルとか装備品の品質、対象の行動予測などである。ちなみに、魔力消費で使うとポップアップがでて見えている装備品の詳細、HP・MP、技術系統、能力などが見える。

 もちろん相手が隠蔽などのスキルを持っていれば、見えないものも出てくるので参考までにでしかないのだが、戦技の観察スキル以上の効果ではある。


「なるほど確かに3Lvだね、でもやっぱりエイジアにはパーティーに入ってもらいたいな、神聖魔法の回復も魅力的だけど、付与魔法使いなんてそうそう居ないしね。高レベルになったら武器付与もできるって話しを聞いてるし、レベル上げなら私たちが手伝えるからどうだろう? ソロで鍛えるより遥かに効率よくレベル上げできると思うよ」


 なるほど、本で読んだ程度では実情は分からない物だ、付与魔法使いは少ないのか……確かに奥伝はほとんど失伝しているような事が書いてあったが、他にも失ったスキルがあるのだろう、そのせいで付与魔法の使い手が少ないのかもしれない。

 ナターシャが言っていることはギブアンドテイクではあるがやはり気分の良いものでは無い、私の今後に価値を見出してくれていると言えば聞こえは良いが、子供だと思って侮っているのが分かる。


 この人達は「私」が欲しいのでは無いのだろう「付与魔法使い」が欲しいのだ。冒険者だし命の掛かった仕事だから奇麗事だけでは生きていけないのは分かるが、なんだか、ちやほやされて嬉しかった気分も一気に冷えてしまった。


「お誘いは嬉しいのですがやっぱり、レベルが同じ程度の気の合う人を探して身の丈にあった冒険をしたいと思います。場を白けさせてしまってすみません」


 謝って席を立ち会計でお金を払って宿へと戻る。料理が出てくる前だったので食事はしていないのだが、空腹もどこかへ行ってしまったらしく食べる気になれない。


「おや、遅いお帰りだね、今日はどうだったんだい? っていうか顔見れば分かるね、一度の失敗でくよくよするんじゃないよ、さっさと寝てまた明日がんばりな」


 サマンサは元気よく私の背中を叩いて励ましてくれる、10日分の宿代を払ってしばらく滞在することを告げて部屋に行く。


 異世界に来たことで浮ついていた気分が落ち込み、良くも悪くも地に足が着いた感じがする。ちやほやされていい気に成って他人との距離を測り間違うなんて、いい年した大の男がこんなことで落ち込んでキモイわとなんだか笑えてくる。

 まるでコンビニで店員に笑いかけられて気が有るとか勘違いしてるみたいじゃないか、なにやってんだかな……反省しよう。


「おし、気分入れ替えよう。とりあえず、今日の収穫の成果を見てみよう」


・音鳴り草 29本 回復    MRマテリアルランク

・ドクロ草 36本 毒・毒消し MR2

・龍鈴草   1本 エネルギー MR3

・風見草   4本 風属性   MR2

・土石    3個 土属性   MR2

・日向花   1本 光属性   MR3


 収穫としてはまずますといったところだろうか、こんな町の側でランク3が2個も手に入るなんて運が良い。

 MRというのは、錬金術で使用する素材ランクで、この数値が高いほど希少価値が高く、その製作物は強力なものになる。そして上位変換で純粋なエネルギーに変換してランクを上げることも可能だ。


 さて、音鳴り草は採取依頼に使えるから残しておいて、毒か毒消しが造れるけど毒は造っても使い道に困るから、毒消しをいくつか作っておこう。


_______

解毒ポーション(6級)

毒を中和する。

品質保持期間 1年

CP3

_______


 3本かぁ、等級を上げるのに濃縮したからしょうがないんだけど、アレだけ摘んできて6級が3本じゃやる気が下がるな、解毒はいくらで売れるかしらないけど。

 あとは残った魔力でカード作って体拭いて寝よう、明日からがんばるぞ!







__________


 ランク1からランク2に変換するにはランク1の物質を10集めて変換するとランク2が1つ出来上がります。以降10進法でランクは際限なく上昇します。


 上位変換した場合素材の形状と効果は無くなり、水晶のような透明度のある石に姿を変えます。

 効果は多種多様にありそれぞれコストが設定されていて、効果コストを支払うと同じランクの素材1個に効果を発生させます。


例:音鳴り草を100本上位変換します。

 MR2のエネルギー100を変換しMR3のエネルギー石が10個出来ました。

 これに回復の効果を付けようとした場合「回復効果コスト3」を消費して、回復 MR3が2個と MR3のエネルギー石が2個出来上がる。


 回復MR3を1個使ってポーションを作った場合

____________

ポーション(等級外)

HP回復100

品質保持期間1年 以降半減

CP3

____________

となり、2個使った場合は回復量が200になります。


MR1=1HP MR2=10HP MR3=100HP

MR1=1MP MR2=10MP MR3=100MP

MR10=1能力値

MR10=寿命1年


自身を消費して逆算し、足りない素材を補うこともできます。




錬金術について書いてみましたが、細かい設定まで書いてるとすごい量になりそうです。

別投稿で載せるか検討中です。


誤字脱字の訂正をしました。



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