1日
その森の名を知る者は、もはや数える程しかいないだろう。
4年前に起きた、第六次魔王戦争により、近くにあった町は滅び、その森も半分が焼け、人々の記憶から消えさったといったほうが正確だ。
このように、有名でない森などが名を忘れられるのは当たり前である。
戦争で滅びた町の復興の為に訪れた者たちからは、西の森と呼ばれている。
すでに何組かの調査隊が森の中を調査したが、害になる魔物は見つかることは無かった。
魔物とは、魔王により産み出された魔族と異なり、動植物が大気に存在する魔力を体内に取り込み過ぎた結果、突然変異を起こしたモノのことをいう。
そのほとんどが理性を失い、己の欲求に従い行動するため、周りに被害を及ぼすという理由から討伐対象となる。
中には理性を保ったまま膨大な魔力を有するモノもいるが、これは害が無いため、特別な理由がなければ討伐対象にならない。
一般的な考えでは、よく狼が例に上げられ、普通の狼は野狼。魔物となった狼は魔狼。理性を保ち、膨大な魔力を有する狼は賢狼と呼ばれ、野、魔、賢の3種類に分類される。
その西の森に、1匹のゴブリンがいた。
人に比べれば頭一つ分小さく、皮膚の色に緑が混じっている。
ゴブリンは、手にしていたナイフを確認して、気配を偽って鹿の背後から首を狙う。
悲鳴をあげることなく息絶えた鹿は、そのまま地面に倒れる。
ゴブリンは、その場で血抜きを行い、鹿を担いで住処まで戻る。
そしていつもの様に1日が終わる。




