第13話 おもぉーかーじ、とーりかーじ←これカッコいいよね
――CIC
最初の衝撃は、敵弾だと誰もが思った。
艦が、下から殴り上げられたように大きく跳ねたのだ。
次の瞬間には横殴りに大きく揺さぶられ、戦術卓の端末が滑り、固定の甘い椅子が軋んだ。通信士のひとりがコンソールにぶつかり、その痛みに呻く。
「っ、なんだ!?」
「被弾か!?」
「方位確認急げ!」
警報が一拍遅れて鳴り響き、青白かったCICの照明が赤い非常灯へ切り替わる。
艦長は倒れかけた体を戦術卓に預け、そのまま低く言い放つ。
「報告」
短い一言だったが、それだけで場のざわめきが引き締まる。
「右舷中部損傷報告!」
「格納庫側の隔壁破断を確認。
外板損傷、格納庫区画が暴露しています!」
艦長の眉間に皺が寄る。
格納庫側。しかも右舷中部。敵の攻撃にしては位置が妙だった。
「敵の着弾観測は」
「ありません!
少なくとも外部からの直撃は確認できません!」
「……内部事故か?」
「不明です!」
補助映像がひとつ中央スクリーンへ回される。
映った瞬間、CICの空気が変わった。
格納庫側面が、裂けていた。
本来あるはずの外板と隔壁が内側から押し破られ、大きく口を開けている。捻じ曲がった鋼材が外へ向かって牙のように突き出し、夜の海へ晒されていた。
その裂け目の奥、格納庫脇の外周区画に、異様な質量の影が食い込むように顕れている。
「……被害区画の詳細を出せ」
「はい!
右舷中部、格納庫脇外周待避室周辺、構造破断!待避室、応答なし!」
「待避室……?」
艦長の表情が凍った。
そこは、アンジュを一時的に通した区画だった。
あの場から動けなくなったアンジュを、そのまま危険な格納庫に置いておくわけにはいかなかった。
都市区画まで戻す時間はない。だから、せめてもと防火扉ひとつ隔てた格納庫脇の外周待避室へ移したのだ。
ほんの一時。
少し落ち着かせ、戦闘が本格化する気配が見えたら、すぐにもっと安全な内側区画へ下げるつもりだった。
その判断が、裏目に出た。
「そこにはアンジュ君がいる」
艦長の声が、低く落ちる。
「すぐ安否を確認しろ。最短経路で人をやれ」
「しかし艦長、通路の一部が――」
「迂回しろ!なんでもいい、すぐにだ!」
「は、はい!」
「見つけ次第、ただちにこちらへ連れてこい!」
CICが、さらに慌ただしさを増した。
火災警報、火災拡大の恐れ、外周待避室前の通路閉塞。
報告は悪くなる一方だった。
「右舷外板の開口大!
損傷箇所のせいでこのままでは隠蔽不能です!」
艦長は中央スクリーンを睨みつけた。
裂けた外板に剥き出しの区画。
そこにいるはずの、ひとりの子供――艦長は傾ぎそうになる心を、強靭な精神力をもって立たせ、冷静に己を律する。
そのとき、内部回線に強引な割り込みが入った。
「艦長!
格納庫側から緊急通信――」
「――回せ!」
ノイズ。
荒い息。
金属の軋む音。
その向こうから、千早の関西訛りが飛び込んできた。
≪艦長!あかん、聞こえるか!?≫
「千早君か!
アンジュ君はどうした、無事か!?」
≪……無事、とは言いにくい!
アンジュちゃんが顕現してもうた!≫
CICが、しんと静まり返る。
≪しかも要塞型や!
待避室から一気に出て、隔壁も外板もぶち抜いてもうた!≫
「……要塞型」
顕現した要塞型の兵器少女は、敵が一定区域内からいなくなるか、自身が気を失うまで、一切の移動ができない――厄介である。
艦長は、スクリーンの裂けた外周区画を見つめた。
待避室を含む格納庫脇の外周区画が、丸ごと内側から押し裂かれていた。
アンジュは、そこにいる。
しかも動けない。
≪このままやとあかん!敵から必ず補足される――打って出るしかない!!≫
「……っ」
艦長の拳が、戦術卓を強く打った。
鈍い音がCICに響く。
誰も何も言えなかった。
つまりそれは、あんな子供を、この艦とともに戦場に送り出すということだ。
「すまない……」
それは誰に向けた言葉だったのか。
CICのスタッフ達か、もしくは千早か、アンジュか、それともすべての兵器少女に向けてか。
やさしさのつもりだったのだ――。自分の孫と同い年ほどに見える少女に、せめてひと時落ち着ける場所を与えてやりたいと思った。ただ、それだけのつもりだった――それが少女を今、一番危険な場所に縛り付けている。
しかし、感傷に浸っている暇はなかった。
≪艦長、どのみちこのままやと隠れて離脱は無理や!
アンジュちゃんはその場から動かれへん!≫
「制御は可能か」
≪完全には無理や!
けど戦うことはできる!≫
「……」
≪こうなったら、信濃さん達と合流して、戦うしかない!≫
艦長はゆっくりと目を閉じ、そして開いた。
都市空母は損傷した。
格納庫脇外周区画は裂け、速力は落ち、回避運動にも制限がかかる。
アンジュは顕現したその場所に固定されたまま、夜の海へ半ば身を晒している。
「……不本意だが」
艦長の声が、低く響く。
「やるしかあるまい」
「艦長……?」
副長が息を呑む。
「操舵」
低く、だがはっきりとした声がCICに落ちる。
「おもぉーかーじ、十五度」
「おもぉーかーじ、主舵十五度!!」
航海長の復唱が飛ぶ。
次の瞬間、巨艦は鈍く軋みながら、長く続けていた離脱の針路を崩し始めた。
それまで敵へ背を向けるように航行していた都市空母の船首がゆっくりと右へ食い込み、艦内の重心がわずかにずれる。裂けた右舷側の損傷区画が、きしきしと嫌な音を立てた。
「右舷中部、応力上昇!」
「構うな」
艦長は即答した。
「増し舵、おもぉかーじ、二十度」
「おもぉーかーじ、主舵二十度!」
回頭がさらに深くなる。
艦内を命令が走る。
軋みを上げながら、巨艦がゆっくりと船主を回頭させた。
「機関は出せるだけ出せ。ただし無理な回避は切れ。船体応力の監視を続けろ」
「了解!」
「ダメコンは格納庫脇外周区画の火災封じ込めを最優先。完全復旧は諦めろ、持たせることだけ考えろ」
「了解!」
艦長は通信へ向き直る。
「千早君」
≪聞いとる!≫
「アンジュ君をそのまま戦闘配置に回せ。固定砲台として使う。
言えた義理ではないが――」
沈痛な思いを隠しながら、艦長がそこまで言いかけた時、
≪まかしとき!!
アンジュちゃんはうちが絶対、守ったる!!≫
――陸さえあれば、うちは戦える!!
千早がそう、不敵に笑った。
その言葉に、艦長は軍人らしい笑みをこぼす。
「全艦に通達」
艦長の声が、まっすぐに響いた。
「本艦はこれより戦闘海域へ進出する。信濃隊との合流を最優先、その後交戦」
背を向けて走り続けていた巨大空母は、いま静かに戦闘針路を取ろうとしていた。
今日は、これを読んでくれている皆さんに、すごい秘密を教えたいと思います。
誰にも内緒ですよ…
これ、ほんとに私の仲の良い友人が、実際に実践して夢を叶えたっていう、ほんとにスゴいおまじないで、なんか普段はっていうか、基本的に秘密で、月々たった3万円のサブスクでみんなに教えてる、っていうやつなんだけど、今日だけ特別にみんなに教えるね。
なんかね、この画面の★マークを評価5にして、ブックマークするんだって。
え?まじまじ、マジだって。
それで、私の友達、成績がオール5より上に上がって6になったって、それで宝くじもあたって、彼女もできたって。ほんと、マジほんとだから、騙されたと思って試してみて。




