反撃のための行動
ムラサメは転生前、仕事上の関係で何回か人と喧嘩をしたことがある。その時は命までは取らないに喧嘩をしていたが、今から行われようとしている敵との戦いは本気の命の取り合いだとムラサメは思っていた。まず、ムラサメは<イビルアイ>を使い、目の前にいる男の目を見た。ムラサメの目を見た男は我を失い、横にいた仲間に銃を向けて発砲した。
「ガアッ!」
「何!」
いきなり同士討ちを始めたため、敵は動揺した。その隙にアングは雷の魔力で剣を作り、目の前の敵を一閃した。
「ナイスだムラサメちゃん!」
「あいつら、いきなり仲間割れが始まったから動揺してやがるぜ!」
「このままやっちまおう!」
と言って、アングは雄たけびを上げ、敵を斬り始めた。
「おいおい、一人は残してくれ。<イビルアイ>で情報を聞き出すから」
「あいよ!」
アングはムラサメに返事をした後、敵に攻撃を仕掛けた。
「クソッ! どうしていきなり!」
敵の一人はムラサメに銃を向けたが、ムラサメは風の魔力を発し、敵に攻撃を仕掛けていた。風の弾丸を受けた敵は吹き飛び、後ろの壁に激突した。
「あぐあ……」
壁にめり込んだ敵は壁から出ようとしたが、ムラサメが敵の首を掴んだ。
「な……何をするつもりだ?」
「さて何でしょう? ヒントとして、エロいことはしない」
ムラサメはそう言うと、敵を引きずって車の前に戻った。車を取り囲んでいた敵は、すでにアングが全員斬り倒していた。
「ムラサメちゃん。とりあえずそいつ以外全員始末したぜ」
「あいよー。にしても、全員殺すのはやりすぎじゃねーの?」
「仲間を殺したんだ。仇討ちだよ」
「俺が死んだとしても、殺した奴とあの世で会うのはあまりうれしくねーな。さてそれより、俺の仕事はこれからだ」
ムラサメは敵の武器をすべて剥ぎ取り、リミスに渡した。そして、再び<イビルアイ>を使って敵を催眠状態にした。
「しばらくその場から動くな」
「はい……」
敵は返事をした後、身動きを止めた。その間にムラサメは<イビルアイ>のもう一つの能力、情報入手を行った。今、ムラサメの目には敵の個人情報が映っている。
「こいつの名前はモブエー。アンガータイラントの一員だ」
「やっぱりね」
リミスはモブエーを見ながらこう言った。
「情報はこれだけか。あとはこいつのしょうもない個人情報が詰まっているだけだ」
と言って、ムラサメは催眠状態にしたモブエーの顔を見た。
「これから嘘偽りなく俺の質問に答えろ?」
「了解」
「お前たちのボスは今、どこにいる?」
「アジトにいます。ギルドの連中との戦いで仲間が減ったので、ネットを使って団員を募集するため、アジト内で作業中です」
「ネットで犯罪組織のメンバーを募集するなよ。で、どうして俺たちがここを通ること、そして今日、お前たちのアジトに向かうと分かったんだ?」
この言葉を聞いたリミスとアングははっとした表情を浮かべた。
「確かに。あいつらは俺たちがアジトに向かうことを、前もって知っていたような動きをしていたな」
「情報がなければ、待ち伏せなんてしないはず」
リミスとアングがこう言った後、石のようなものがモブエーに当たり、そのせいでモブエーは我に戻った。
「なっ! 俺は一体何を?」
「え? あ、催眠が解けた!」
ムラサメが叫んだ直後、車内にいたロマクが外に飛び出し、リミスが持っていたモブエーの銃を奪うように手にして発砲した。弾丸はモブエーの左のこめかみに命中して貫き、そのまま頭の中で弾丸が止まった。
「はぁ……はぁ……」
ロマクは荒く呼吸をしながら、銃を持つ両腕を下に垂らした。少し間を開け、ロマクは申し訳なさそうな表情をした。
「すまない。あと少しで情報を得られるところだったのに……」
「我に戻ったんだ。こいつがムラサメちゃんに何をするか分からなかったし……まぁ、仕方ないことだ」
アングは撃たれたこめかみから大量に血を流すモブエーの死体を見て、ため息を吐いてこう言った。
アンガータイラントアジト内。事務作業をしていたリーダー、ワルザーの元に部下が走って駆け寄った。
「報告です! ギルドの戦士を返り討ちに向かったモブエーのパーティーですが、反撃されて全員死にました!」
「何ィ! 死んだのは何人だ⁉」
「モブエー含めて十人です!」
「クソッ! これでまた募集をしなければならないだろうが! で、ギルドの戦士は倒したか?」
「それが、倒すことはできなかったみたいです!」
「様子を見ていた奴がいただろうが! そいつは戦わなかったのか?」
「はい! そいつは戦う力がありません! でも、そいつが戻ったおかげで情報を得ることができました!」
「そうか。で、ギルドの戦士は何人いる?」
「運転手はどう見ても戦士ではないので省きます。数は四人。かわいい女の子、かわいい猫型獣人の女の子と他二名です」
「四人か。四人なら四人ってすぐに言え!」
ワルザーはそう言って作業に戻ろうとした。だがその時、あることに気付いたワルザーは、戻ろうとする部下を呼んだ。
「おーい! 四人の中にあいつはいるか?」
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