書くために必要なこと
小説を書くために必要なこととは何か。
まず第一に、書きたい小説のための言語を知っていること。
日本であれば、日本語を知り、日本語を文章として書くことができることが必須条件だ。
日本人なら誰でもできることだと思うだろうか。
しかし書くための日本語には、小学生レベルから専門家レベルまでの長い道のりがある。
日本語文章能力検定では、義務教育レベルが7級から4級。そして高校レベルで3級と準2級、大学レベルで2級とされている。
試験でテストされるのは、語彙力、構成把握力、表現力、作成力、内容把握力。そして構成力、推敲力。
この検定では、ビジネス文書や論文をメインに据えた方向性なので、小説作成能力とは直接的な関係はない。
しかしハイレベルな文章力が、ちょっと書ける程度の一般人とイコールでないことは、検定のレベル分けを見るだけでも分かるだろう。
そうなってくると、どの程度の日本語の文章力があれば小説が書けるのか、という疑問が湧いてくる。
日本語には話し言葉と書き言葉があるが、ライトノベルならば話し言葉で小説を書いても、それほどの問題はない。出版されているライトノベルの中にも、1人称であれば話し言葉を、地の文に使っているものも少なからずあるだろう。
話し言葉と書き言葉の書き分けができなくても、小説は書けると言うことだ。
厳しい人は、そんなの小説と言えないと返してくるかもしれないが、現実として、ライトノベルでは認められる範囲である。
つまり人と日本語で会話ができて、会話を文章としてネットに書き込める能力があれば、小説が書けると言える。
だが小説は日記ではない。現実にあったことを元にして日記のように小説を書いてもいいだろうが、そうすると現実でのネタ切れが小説の終了になる。ネタに満ち溢れた生活をしているのであれば、現実の出来事を元にするのはリアリティがあっていいだろうが、そこまでネタに溢れた日常を送っている人はそう多くはないだろう。
そうなると求められるのは想像力だ。
架空の世界、架空の人物、架空の事件。
それを目の前で起こっていることのように書き綴り、演出する。
そこでさらに求められるのが表現力と構成力。
絵を描くように、想像の中にあるものを明確に文章で描きだす表現力。そして表現したものをバランスよく配置していく構成力。崩れたバランスを適度に調整する推敲力。
全ての小説に、多くの知識や考察力が必要なわけではない。
知識が少なくても、文章力が低くても、面白いストーリーを作り出すことは可能だ。
そのためには、人を理解し、自分を理解し、生活を理解する必要がある。
当たり前の日常を、どれだけ深く観察し、描きだせるか。
簡単な描写であれど、正確に繊細に描くことができたなら、それは大きな強みになるはずだ。
書けない人が、小説を書くために何をしたらいいか。
会話をすること、自分を知ること、周りを知ること。答えは幾通りもある。
だが何より重要なのは、1文字でも2文字でも、自分の意志で言葉を考え、書き始めることだ。
書けないから書かないと思っているならそれは違う。
書きたいと思えば、1文字でも書き始めているはずだ。それがスタート地点。
空、青、彼女、笑顔。
思い浮かぶ単語単語を、まず打ち出してみる。
最初に思い浮かんだのが空なら、どんな色をした空なのかを考える。空の下には何があるのか。人間か、森か、町か。そうして世界を広げていき、自分が何を書けるかを考える。何を書きたいかを考える。
考えたら書く、書きながら考える。
それを続けることで、1文字が2文字、2文字が10文字と増えていく。
千里の道も1歩からという言葉があるように、10万文字の道も1文字から始まるのだ。
本気で書きたいと思って書けない人はいない。
日本語が喋れるなら、日本語を書けないはずがない。
空想ができるなら、空想を書けないはずがない。
そう考えると、小説を書くために必要なことは明確だ。
書きたい気持ち。
それさえあれば、小説は誰にでも書けるはずなのだ。