異世界へ3
「マーベルやこのヒカルをお部屋へ案内してあげなさい」
「はいお婆様」
マーベルはヒカルの手を引き部屋へと案内する
部屋を出て少し歩いた所でマーベルは
「ここよ 今日からあなたが使っていいのよ」
案内された部屋に入るヒカル
「すごーい」
「どうです 素晴らしいでしょ? ここは弟のアルフレッドが使っていた部屋なのよ」
「そんな大切な部屋なのにいいの?」
「構いません 使ってくれる人がいなければ 意味がありません」
ヒカルは少し悩んだがマーベルのご厚意を受け入れることにした
「アルフレッドが亡くなってからはこの部屋はすべてそのままなのよ」
「へー」
ヒカルはおもむろに机に並んでいる本を手に取り読んでみようとしたが・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「(だめだまったく読めないや)」
「それをお読みになりますの?とても難しいですわよ」
「あぁー道理で読みにくいはずだよ」
「あなたはこの国の人ではありませんでしたね 言葉を理解しなければ今後にかなり影響が出ますのでみっちり勉強しますわよ」
「はい」
こうしてヒカルの異世界での生活が始まるのだった
翌朝 時刻はあさの7時を指していた
「さぁヒカルお勉強の時間ですよ」
「はい」
それから3時間が経過した
「お昼を食べた終わったら 午後からは魔法のお勉強よ」
「はーーーい」
へろへろの状態のヒカルは 精神的に持つのか心配になっていた
「まずは火の魔法よ さぁやってみて」
「火の魔法ファイアー」
しかし何も起こらなかった 負けじともう一度同じことを繰り返したが やはり何も起こらない
「しっかりしなさい ほらもう一度 いいコツはね ・・・・・」
マーベルにコツを教えてもらいなんとかできるようになったが あまりにも小さく本当に出たのか?
疑問に思われてしまった
全ての属性魔法を試したが 全てが小さく出るだけで どれもこれも致命傷には至らない威力でしかなかった
「おっかしーわねこんなに魔法が不発に近いのは見た事がないわよ」
「僕には魔法の素質はないんだよきっと」
「いいえそんなはずはありません 計測しましたが かなりの魔力がありますから」
「ええぇーいつの間に?」
「あなたを運んでからよ」
いつの間にか魔力測定をされていた事に驚くヒカル
「でも僕にそこまではないよ」
否定はするが それでもマーベルは
「諦めてはいけません あなたの魔法はいずれ世界の人々ために役に立つ時がやってきます 」
「う・・・うんが・・・・・頑張るよ」
罵声に近い激励を受けたヒカルは なんとか頑張ってみようと思ったが
結果はまったく変わらず仕舞いだった
「仕方ない今日はここまでにしましょう」
「もうヘトヘトだよ」
「だらしないわね~」
マーベルはヒカルをおんぶし始めた
「お、お姉ちゃん そんな無理しなくていいんだよ」
「大丈夫大丈夫 お姉ちゃん任せなさい」
「(懐かしい アルフレッドがまだこれくらいの時によくおんぶしてあげてたわ)」
「ねぇヒカルあなたもよくおんぶしてもらったの?」
マーベルはヒカルに質問をしてみたが 返事がない
「あら?どうしたのヒカル どこかケガでもしたの?」
しばらく様子をみてマーベルは今のヒカルの状況を知った
「ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ」
「なんだ寝ちゃってたのか うふふふかわいい子」
「(アルフレッドが知ったら怒るでしょうね 私もよくお母さまにおんぶしてもらったもの)」
昔の事を思い出しながらひたすらクリュースト城を目指し歩くマーベルであった
城に付いたマーベルは眠っていたヒカルを起こし
お風呂に入り 食事をして 2人はそれぞれの部屋に入り眠りについた
翌日
朝目覚めたヒカルはいつも通りに起床し部屋を出る
少し歩いていると少し人相の悪い人とぶつかってしまった
「ごっごめんなさい」
ヒカルは謝るが 突然その人物はヒカルを殴ったのだ
「ここは由緒ある城だぞ 貴様のようなガキは出ていけ」
「私は大臣だからな これくらいはやらせてもらおう 誰かに言ったら 王女もどうなるか わかるよな」
脅しとも取れる行為でヒカルを暴行する さらには顔なども蹴りつづけた
「ふんこんな目にあいたくなければさっさとこの城から出ていく事だな」
ヒカルに対して暴力をふるい続けていた だがそんな事態を一部始終目撃していた人物がいたことは知る由もなかった
ヒカルの今の姿見て驚くマーベルは
「あなたどうしたのその顔 いったい誰にやられたの?」
「・・・・・・・・・・・」
ヒカルは答えようとはしなかった
「答えなさい 誰にやられたの?」
「なんでもない」
「そんなはずはありません 」
「もう僕の事はほっといてよ」
ヒカルはマーベルの手を振り払いその場から走り去っていった
「・・・・・・・ヒカル・・・・・・!?」
突然のようにマーベルを避けるようになったヒカルの態度の豹変にただただ驚く事しかできなかった
その夜マーベルは自分の部屋で落ち込み 悩んでいた
「(どうしてあなたは私を避けるの? 何があったって言うの)」
その時誰かが部屋の扉をノックする音が聞こえた
マーベルは部屋の扉を開けるとそこにいたのは
「お婆様」
「あの子の事で話があるの」
「えっ!??」
マーベルとリースが会話を始めて数十分が経過した
「そう そんなことが」
「マーベルこれ以上こんなことが続くような事があれば」
「わかってますお婆様 大臣を即刻追放処分をいたします」
ヒカルを護るためにマーベルは一大決心をするのだった
それから4日が過ぎた
いつも通りに起床したヒカルはいつものように食堂へ向かっていた
「(これでいいんだお姉ちゃんを護るために)」
「(あと数週間後くらいあればこの城から抜け出すんだ)」
自分はこの城にはいつまでもいてはいけない 日に日にそう感じるようになっていき
せめてもう少し実力と知識をつけてからでも遅くない
その考え始めるのだった
その日の昼下がり事態は突然急変する
いつも通りにマーベルに呼び出され魔法の訓練に行くヒカル
しかしまたしても大臣が現れヒカルの手を強引に引っ張りだす
「貴様いつになったらこの城から出ていくのだ えぇ」
「もう少したったら」
「早く出ていく事だな 」
「(こいつをこれ以上攻撃したら俺が疑われるからな 何としてでもこいつを追い出せばいずれこの国の王となる、そのためにこのガキはここから追い出さなければ)」
「(だがここまで痛めつけてやれば所詮は子供だ痛い目にあいたくない一心になる)」
「(さて今日も痛めつけてやるとするか)」




