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タメ口先輩とへりくつ野郎の青春記録  作者: 遥風 かずら
第二章:変態と青い始まり
22/22

22.得策な答えが出て、へりくつ野郎は旅立つ?


「ねえ椿くん……」

「何でございましょう?」

「さっきの子、綺麗な子だったよね? すごかったね! 素敵な感じだったし、さすが美少女って感じ?」

「さすが実乃梨さんじゃないですか! 目の付け所が違うねぇ」

「でさ、椿くんはどうなの?」

「――どう、とは? 一体どういうことでしょう?」

「殴るよ?」

「すまん、軽いジョークだ。どういう意味だ、それは?」


 もはや俺のお茶目すぎる敬語は、一切通用しなくなったようだ。

 天然菩薩様だった彼女が、闇のチート美少女に影響を受けて闇に引き込まれたか。


「じゃあ、放課後に廊下。それまで色んな所にけじめをつけて来てもらえると、私も迷いが無くなるんだけど?」

「ほう? 迷いか。人生は迷ってばかりが楽しい……と、どこかの誰かの迷言だな」

「……蹴り飛ばす!」

「ヤメロ、いや、やめてくれ。本気を示せ! そういうことで間違ってないことを、原稿用紙4枚程度にまとめればいいんだな?」

「まとめなくていいけど、椿くんが書きたいなら読むよ?」

「いえ、結構です。そんじゃ、放課後な!」


 ――と言いつつも、同じクラスなのだからわざわざ廊下で密談せんでも。

 その場で一緒に会話をしたくない気持ちは、目から汗が出るくらい分かるので黙っておく。


 廊下を歩く、ただそれだけなのにうるさい奴が声をかけて来た。

 いや、その確率の方が高いのは何故なのか。


「あれ、しゅう? 何してんの? またおみ足ウォッチング?」

「うるさい奴め。そういうお前は……ボクっ娘としてレベル上げでもしに来たのか?」

「うるさいなぁ!! こう見てもボクは男子からも女子からも、需要があるんだぞ? 悔しいだろっ?」

「バランスの問題だな」

「ああいえばへりくつ。こういえばへりくつ。何でそんな変な子に育ったんだろうね」

「知らん。少し年上の妹に言われるまでも無いことだ」

「ねえねえ、ところで足を見てよ!」

「断る!」


 なぜに妹のおみ足を観察せねばならんのだ。

 時々、こうやってわざとお色気を出してくるのが、我が妹にして少しうざい年上の優雨の悪い所なわけだが。


「ケチ!! へりくつ野郎!!」

「お前の足を何故見ないがためにケチ認定されるんだ? というか、そこにへりくつは含まれてないんだが?」

「バーカバーカ!! ケチャップぶつけられて転んじまえ!! バカ兄き! ボクは新しい恋をみつけてやるんだからな。ふんっだ!」


 どこからケチャップが出て来て、しかもぶつけられて転ぶ運命が待ち受けているというのか。

 そうか、優雨が新たなる恋を探しに旅立つのだな。


 優雨の言うとおり、ボクっ娘は需要があるからな。

 この学校じゃなくても、どこか別の学校でヒットするかもしれん。


 ◇


「やぁ、秋くん。君の答えはもう出たと見受けたけど、そうならそれで運命を受け入れるよ」

「……ん? 楓子? 運命だと?」

「君が誰かを見定めたとしても、見捨てることはないのさ」


 ううむ、分からん。

 だがもう、想いをぶつけるしかなさそうだ。


 俺は教室に戻って来たタイミングで、あの人に俺の想いをぶつけることにした。

 

『タメ口先輩! 俺の想いをぶつけるんで、ぶつかってくだせえ!』

『あぁ? 想いだぁ? けっ、あたしはへりくつで変態野郎に注ぐ予定はねえな。あたしはこれから忙しいんだ。栢森としても、ソイツにぶつけなきゃなんねえ。そういう青くさい想いなんざ、あたしじゃない奴にぶつけやがれ! 誰がてめえなんかと青春するかよ!』

『ほぅ? 嵐花さんも人間と恋をされるので?』

『蹴るぞこの野郎!!』


 すでに蹴っておいて、そのセリフは無いだろう。

 しかしそうか、タメ口先輩は誰かと恋愛とやらを試すつもりがあるようだ。


 てっきり俺と何かを始めるつもりだと思っていたが、ただただ口の悪い先輩に終わるらしい。

 

「よく分かりませんが、上手く行くといいんじゃないですかねえ?」

「ちっ……、へりくつ野郎に言われるまでもねえ。ソイツは追放されても根性持ちだからな。あたしがソイツを救うって決めてるんだ。お前はとっとと、どこかへ行け!」

「同じ教室なんすけど?」

「うるせえな!」


 願わくば俺にも、今ほんの少しだけ垣間見せた乙女のような照れくささを、出して欲しかった。

 へりくつ野郎だって青春時代を過ごしたいものだ。


 ――で。


 収まる所に収まるということになれればいいが。

 しかしまぁ、一番近くそれでいて多分、チート美少女を除けばドキドキが止まらないのは確かである。


 何故よりにもよって廊下なのか。

 そこだけは腑に落ちん。


「――椿くん」

「おおわぉ!」

「驚き方が特殊すぎて引くよ?」

「背中からぞわぞわさせるような声をかける実乃梨さんも、どうかと思うが?」

「本題だから」

「じゃあ俺は副題だな」

「首絞めていい?」

「ごめんなさい」


 マジのマジで恐ろしすぎる。

 麻野実乃梨。同じクラスにいて、菩薩のように光り輝く褒め称え女子。


 バストは……個人情報。その他はそれなりに完璧。

 

「で、椿くんは振られました」

「――誰に?」

「嵐花先輩に」

「あれは振られたわけではなく、理論上は……」

「そしたら、次は私の番なわけです」

「ホゥ? つまり実乃梨も俺を振ると。それが結論なわけだな?」

「ううん、振らない。振るって言ってないよ?」


 これはどんなナゾナゾなんだ。

 ひっかけ問題にしては、全然ひっかけてもいないが。


「つまり?」

「椿くんは、気になる人間がいたらどういう行動とへりくつを述べるのかな?」

「へりくつってのはその時々で、決して便利なもんでもないのだぞ?」

「嫌いじゃなくて、でも好きって伝えても無駄な場合は?」

「そりゃああれだ。くっついて離れずに行動してればいいに決まってるぞ! 合ってるかは分からん」

「そういうことなわけです。分からなくていいけど、それが得策?」

「得策だな! 俺はそれが正しいと思っているからな! 実乃梨もそうなら、それが答えと言っておこう!」

「うん、それでいいかな。今は」

「ならば俺もそれでいい。一緒に帰っても俺はいいぞ! それが得策だな? 実乃梨も」

「いいよ。椿くん、これからもよろしくね」

「望むところだ!」


お読みいただきありがとうございました。



長いこと書けなかった話でしたが、タメ口先輩とのラストにならないということで

最後はこんな感じでまとまった感じになりました。

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