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城砦建築の召喚術師  作者: 狸鈴
第一章 異世界入門編
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黒歴史の発表会 0.5

『繰り返します!現在日本に隕石警報が発令されました!出来るだけ海から離れ、建物の中に入ってください!繰り返します……』


 と、町内放送で煩い位放送されていた。私は直前までVRMMOをやっていたが、いきなり強制切断され何事かと思ったらこの警報である。


 ゲームの邪魔をされて少しムカッと来るが、こんな事を行うという事は尋常ではない状況ではあるのだろう。ほっぺたを抓るがやっぱり痛いので夢でもないようだ。


 こういう時には慌てない性格はとても便利ではあるが、慌てるにしろ諦めるにしろまず情報を確かめる必要があるだろうと思う。


 テレビを付けるとどのチャンネルも同じような番組を放送していたが、落着予想のメインの場所は千葉から東の近海とはなっていた。たぶんあちらの沿岸地域の方達は非難が大変だろうが、大きな被害が出ない事を祈るしかない。


 だが勿論確率が低い範囲には本土全てと四国が入っていた。肝心の隕石の大きさは数メートル予想らしい。


 私が住んでいるのは山間部なので、かなり被害は少なくて済むだろうが……都市部や海上に落ちると被害は恐ろしいことになるだろう。


 後は自衛隊に頑張って貰って隕石を爆発させるか、自爆を祈るしかない。塊が細かくなれば冗談みたいに被害は少なくなるのだ。


 ロシアの隕石は確か10メートル規模で、予測被害は東京都23区が楽に壊滅する位だと言われていた筈だ。あのとき空中分解しなければもっと被害が多かったらしい。


 それ以下の隕石だとはいえ、日本は人口が密集しすぎている。どこに落ちても地図が変わることになるだろう。


テレビのニュースをBGMにさっさと食料や飲み物、日用品や貴重品をリュックに詰め込んだ私に出来ることはもうない。後は神に祈るだけだ。


結局私は仏教徒ではあるが、神を信じている訳ではない。なので『解決出来る神様何とかしてください。普通の神様はいらないんで!』と何かに祈っていた。


 ……目を瞑って祈っているとドサッと目の前になにかが落ちた。


「あ痛たた……」


「……誰ですか?」


 白い修道服を来た20歳くらいの黒髪の女性だった。私には残念ながらこんな美人な姉はいなかった筈だ。やはり夢なのかな……?


「……!問答をしている暇は有りません、申し訳ないですが世界の為に死んでください」


「だが断る」


 だって死にたくないし?


「うー……問答無用!」


 何を思ったか不審者が真っ直ぐ突っ込んでくる。


 手加減出来る心理状態ではなかったので、咄嗟にぶつかる寸前に右足を前に上げてしまった。もちろん右足を前に上げると遠心力と重心の関係で重心が前に移る。


「げふぁ……!」


 そんな足に真っ正面から衝突したらそりゃ痛い。綺麗に爪先が鳩尾に入っていた上に、ノックバック効果まで付いていたためかなりの勢いで突っ込んできていたのだろう。


 あくまでも上げていた右足に相手がぶつかって来ただけなのだ。決して前蹴りではないと思う。


 不審者はぐぉぉぉぉと何度も呻いているが、親にも蹴られた事はないのに……とかも言っているので結構大丈夫なようだ。


「ぐふっ、やりまひゅね。人間とおみょって侮ってまひた……」


 明らかに大丈夫な様子ではなかった。


「はぁ……はぁ……。仕方ありません、最後の手段です」


 二手目で最後の手段とか手札少なすぎだよ!と内心で軽口を叩いていたら、体が動かなくなっていた。


「えっ?」


「じゃあ失礼します」


 不審者はそう言って私の体に触れると消えてしまった。何が何やら分からない……と思ったら体が勝手に動いて自分では操作出来なくなっていた。


言葉も喋ることは出来ず、更に焦燥感を募らせる。


「凄い……普通の人間の50倍以上のエネルギーがある。何貴女一体何者何ですか!?」


『それは私の台詞だよ!他人の体を勝手に使っちゃダメだって親に教えて貰わなかったの!?』


 不審者が意味の分からない事を言うが、不審者如何は置いておいても人間としてかなり大切な事だと思う。


「そんな事教わりませんし……」


『間違った、他人の物をだった。話は出来るみたいだね、結局どういう事なの?』


「今落下してきている隕石をこの場所に落下させます。東京都に落ちると私達の世界がヤバイ事になるんですよ」


 不審者がなかなか怖いことをいう。東京に落ちたら日本中がやばい事になるね……


『因みに拒否権は?』


「もう遅いですね、後十数分でここに落下します。申し訳ないですが、この世界の数百万に私達の世界の億単位の人間の命と、この付近の方の命を比べると答えは一つになってしまうのです」


『ふう……よくわからないけど、どうしようもないなら協力するしかないね。何も出来ないと思うけど何かすることはある?』


 もうどうしようもないというのなら、倒れるなら前のめりだ。逃げられないのなら突っ込むしかない。


「……ご協力感謝します。だけどあなたはここまでで良いです、後は任せてください」


 不審者がそういうと、私の視界がどんどん擦れてしまい眠るように気を失った。

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