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十二属性戦士物語【Ⅴ】――幽霊屋敷の亡霊と四神龍――  作者: YossiDragon
裏一章:過去『癒えぬ心と忘れられぬ記憶』篇
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第五話「瓦解せし五大帝国の関係」・3

*注:多分に下ネタがあります、ご注意ください。

「お兄さん、もしかして悪い人? そーやってボクの知り合いを装って、ボクにイケナイ事を教えよーとしてるんでしょ?」


「何でそうなるんだよッ!! ――あ」


 ツッコまないと決めたのに、早くもツッコんでしまった。


「そのツッコミ……もしかして、お兄さんがフィヨちゃんの言ってた、変態鬼畜色情魔国王様?」


「何でツッコミで分かるんだよ!! てか、なんか肩書き増えてないか!? ったく、フィヨのやろう……。ち、違うよ? 俺はそんなんじゃ――」


「でも、ミーニルのパンツ見たんでしょ? じゃあやっぱり……」


「いやあれは――いや、確かに見たけど……アレは事故っていうか」


「事後?」


「違うわッ!!」


 やっぱりこの子も下ネタつきだったか。となると、フィヨやミーニルまで!? そ、そんな……俺はもしかして、最悪の血筋の子と結婚したのでは!? でもまぁ、黙ってたら可愛いんだよな。この子だって今もこうして可愛らしい顔で俺を見てるし……。


「何? ボクの顔、何かついてる? あっ、もしかして白くてネバネバしたものがついてたりする? 朝食べようとしたんだけど、誤って顔にかかっちゃって」


「んんッ!?」


「あっ、勘違いしちゃやだよ? ボクが言ってるのは、トロロの事だから」


「紛らわしいわッ!!」


 ダメだ、どうしてもツッコんでしまう。もしかして、俺はツッコミ症候群とかにかかっているのでは? 最早そんな馬鹿げた事まで考えてしまう始末……こりゃ末期だな。


「そーいえば、さっき誰かの名前呟いてたよね? 誰か探してるの?」


 丸くて大きな双眸でこちらを覗き込んでくるニョルーラに、俺は少し気を落として言った。


「ああ、鈴華って子を探してるんだ」


「愛人?」


「ブッ!!」


 油断して思わず吹いてしまった。別に液体も何も口にしてないのに。


「それ、意味分かってて言ってんだよな?」


「もちろん知ってるよ? お兄さんの爛れた日常の――」


「言わんでいいッ!! 知ってるか聞いただけだからッ!!」


「ぶぅ~、お兄さんが言えって命令したんじゃん」


「いや、確かに悪かったけど……後、命令って言い方は勘弁いただけませんか? 誤解生みまくりなんで」


「五回も産むの!?」


「ちっがぁあああああうッ!!」


 ハァ、ハァ……ダメだ。見た感じ十四歳くらいだけど、この齢でこのレベルでは近い将来メリーナさんを超えてしまう気がする。何なんだ、この一族は……特に女の子。英才教育ならぬ下ネタ教育でもしてるのか!?

 と、俺が肩で息をしながらニョルーラを見ていると――。


「お、お兄さん、何ボクの体を見て興奮してるの!? ま、まさかお兄さんそっちの趣味が!?」


「ちげぇ!! た、頼む……これ以上何も言わないでくれ。し、死ぬ……」


「そっか、分かった。じゃあ、冥土の土産あげるね?」


「え?」


 おい、別にホントに死ぬわけじゃないんだけど。


「鈴華って子かは知らないけど、召使いの巫女さんならいたよ? 噴水広場に。いやぁ、冥土だけに召使い(メイド)ってね☆」


「何!?」


 俺は思わず項垂れていた頭をあげて少女の二の腕を両手でガッシリ掴んだ。無論、反応したのはオヤジギャグの部分ではない。


「へっ!? な、何? も、もしかして私……このまま強引に洗いざらい吐かされちゃうの!? そ、そんな……私には既にお兄ちゃんという心に決めた人が……ポッ」


「お前ら下ネタの台本でも作ってんのか!!?」


 数分前に似たようなセリフを耳にしていた俺は、ふとそんなツッコミをかます。


「い、痛いから放して? あっ、これはもちろん二の腕を掴まれてるからで――」


「それ以上は言うなッ!!」


「ぶぅ~、分かった。お兄ちゃんにとっとくね?」


「……」


 何も言うまい。


「それで、鈴華が噴水広場にいたのか?」


「鈴華って人かは知らないけど、見たよ? 灼熱の様に真っ赤な髪の毛に、黄金の双眸……綺麗な巫女装束纏ってて、高貴な雰囲気プンプンだった。あ、でも……首輪してたね。誰かに飼われてるのかな? それとも、プレイかな?」


 あんまり意味合い変わらないだろ、それ。てか、途中まで大丈夫だったのに、何で台詞の最後で下ネタ挟む? 下ネタ言わないと死ぬ病気にでもかかってんの?

 と、思いつつ、俺は噴水広場の方に体を向けた。


「さんきゅー、ニョルーラ!」


「ううん、感謝はいらないよ。どうせなら顔に――」


「と・に・か・く、ありがとう!!」


 別れ際まで言うか。


「ああもう、せめて最後くらいツッコんでよ!!」


 それがツッコミの方である事を心より強く願います。




 俺は、噴水広場へとやってきた。そして、ようやく見つけた。


「はぁ、はぁ……鈴華」


「ご、ご主人様……どうして」


 鈴華がゆっくりと(おもて)をあげる。その目元は赤く腫れていた。泣いていたのだろう。無理もない、大切な家族が失われたのだ。これほどまでに悲しいことはない。その気持ちは俺も良く分かる。


「当たり前だろ、お前が一人でフレムヴァルトに行かないかと心配で……」


 だが、今は鈴華もある意味で家族の一人だ。同じ境遇に置かれた身、共通点がいろいろあるせいか、話もよく噛みあっている。

 だからこそ、今彼女がどんな気持ちでいるかは、なんとなく分かっているつもりだ。


「……ごめんなさい、でも……私が帝国を放っておいたからこうなったんです。そう思うと、帝国の皆や一族の皆に申し訳がなくて」


「そう自分を責めるなよ。お前をここに居続けさせたのは俺達なんだから」


「ですが……私自身も浮かれて、平和な環境に心安いでいたんです。こんな甘くも酸っぱい人生を送っていたから、神様が怒ったんです。ですから、これは一種の私への罰なんだと、思います」


「神様がそんな事するかよ」


 俺も神様の息子だからな。


「……そうですよね。すみません、少々自意識過剰過ぎました。ご主人様、いけないこの奴隷にどうぞお仕置きを」


「何故そこでそうなる?」


「奴隷の分際でご主人様に御迷惑をおかけいたしました。罪滅ぼしのために、ご主人様の鬱憤を晴らそうかと」


「いや、いらない気は回さなくていいから」


「ですが、随分お疲れになっているようですし……」


 まぁ、それは概ねツッコミ疲れだろうな。


「あ、そういえば……お前随分いい加減な噂流してくれたみたいじゃねぇか」


「い、いえ……あれはそのぅ」


 俺がキッと鈴華を睨めつけると、ビクッと体を震わせて鈴華は縮こまってしまった。


「すみません、ご主人様がよく私の胸を見ていたので、もしかして巨乳が好きなのかと」


「いや、何で俺の視線がお前の胸に注がれてる事になるんだよ。俺は別に胸じゃなくてお前の顔を見てたんだぞ?」


「顔がどうかしたんですか?」


「元気がなかったからさ、やっぱり自分の帝国に帰りたいのかな……ってさ」


 俺は、鈴華が座っている噴水の(へり)の隣に座ると、膝の上に腕を置いた。


「あのな? 奴隷奴隷って言ってるけど、それは以前の鈴華だろ? 俺は別にそんなつもりでお前を従えてるんじゃないし、ここに匿っているのは自国にいてまた攫われかねないと思ったまでの事だ。召使いだって鈴華が自分で望んでしてるんだろ?」


「はい……。ですが、私だけ生き延びて他の方々が苦しむのは嫌なんです」


 確かに鈴華の言う事も一理ある。だが、匿うにも場所がいる。夢鏡城内は何かと部屋数も多いからなんとかなるが、それでも一族全員匿うには少し無理があると思う。

 それに、ここに全員匿ったら標的が夢鏡王国になるだろうからな。それだけは避けたい。私情で国民の皆に迷惑をかけるわけにはいかない。第一、この王国はこれから有属性者を育てる大切な場所になるんだ。


「鈴華、一族の人間と連絡を取り合う事は出来ないのか?」


「少し難しいですね。勾玉はあるので、鏡と連絡鳥がいればいいんですが……」


「連絡鳥? 伝書鳩みたいな?」


「そうです。まぁ、本物の鳥ではないのですが」


 意味が分からず首を傾げていると、鈴華がクスッと小さく笑って口を開いた。


「鳳凰一族の中に鳥の名を冠した子がいるんです。その子は連絡鳥とも言って、連絡を取れるんです」


「へぇ、じゃあフレムヴァルトにその鳥の名を冠した子がいるのか」


「はい。優秀な子達で、鳳凰の軍神とも呼ばれてます」


 軍神か。なんか、強そうな雰囲気だな。けど、実際は女の子なんだよな。フレムヴァルトはウォータルト帝国に次いで女の子の人数が多いからな。


「それじゃあ、連絡は取れないのか」


「残念ながら」


 俺がそう言うと、鈴華も悲しそうに顔を俯かせた。


「元気出せよ? 他人(ひと)事みたいな感じに聞こえるかもしれないけど、お前が元気ないのは、俺も嫌だからさ? 協力出来る事があれば精一杯やるつもりだ。一応、この国の王様……だからな!」


 鈴華の頭に手を置き、柔らかな髪の毛の感触を手に感じながら俺は自分の胸を余った方の手で叩いた。

 その励ましが効いたのか、鈴華は目尻に溜めていた涙の粒を流した。彼女の白くきめ細かな頬の上を一筋の涙が流れる。

 それを、俺は親指で拭いつつ言った。


「一人で抱え込むなよ? 本当はアイツにもこう言ってやりたかった。同じ過ちは二度と繰り返したくないんだ。だから、お前は道を踏み外さないでくれ。俺に相談しにくかったら、水恋や暗冷に相談すればいい」


「うぅ、ぐすっ……ありがとう、ございます……ご主人、様ぁっ!!」


 下唇を噛み、鼻を啜って俺にお礼を言うと、偉大な鳳凰の帝は俺の胸に飛び込んで声をあげて泣き始めるのだった……。




――▽▲▽――




 俺は広間にいた。現在この場には俺を含めて数人の人間がいる。

 ウォータルト帝国の二代目帝王である『霧霊霜(むりょうそう) 鳴海(なるみ)』。

 リーヒュベスト帝国の二代目帝王である『(あらし) 潤夜(じゅんや)』。

 この二名が今回の主な話題になる招待客。他には水恋と暗冷と、それから鈴華がいる。後、影には影明が控えている。

 そうだ、警護の人も紹介しとかないとな。フィヨ、以上。

 え、一人だけかって? いや、俺が名前を知っているのがフィヨだけなだけだ。他の衛兵が顔もよく見えないしな。

 ちなみに、あれから七年も経った訳だが、随分大きくなったものだ。長い髪の毛をポニーテールに結ったフィヨは、前にもまして目つきが鋭くなっており、下手な事をしたら腰に差している長剣で命を持ってかれそうだ。

 と言っても、彼女が俺の護衛なんだけど。何でこんなことをしているかというと、彼女が夢鏡王国警備隊のリーダーだからだ。

 警備隊は全部で三番隊まであり、今この広間にいるのは一番隊の一班のみ。班数は六、班員も六の計三十六名。それが三番隊まであるので、それらを合計すると、夢鏡王国警備隊の隊員は百八人になる。リーダー含めたら百九人だな。


「ん? 何……こ・く・お・う・さ・ま」


「いや、何でもない」


 何だろう、どうしてあんなにもフィヨは俺に対して敵対心むき出しなんだ? てか、あれが警護する態度かよ。おかげさまでこちらが嫌に緊張する。


「それで……皆に集まってもらった理由なんだが」


「分かっていますよ、月牙さん。あっ、国王様の方がいいですか?」


「いや、いいよそれで。俺もその方が呼び慣れてるし……」


 水恋の言葉に、俺は頭をかく。どうにもまだ国王様と呼ばれるのはくすぐったい感じがするんだよな。いい加減心構えをしっかりしないといけないってのに。


「けっ、早く始めようぜ? どうせ、フレムヴァルトが滅んだからどうたらこうたらってんだろ?」


 暗冷がいつものようにふんぞり返って言う。だが、その言い方が気に入らなかったのだろう、水恋がムッとして声をあげる。


「暗冷くん、その言い方はあんまりです!」


「けっ、悪かったよ。んで、早くしてくんねぇか? ゴロゴロしてぇんでな」


 そう言うと、暗冷はふんぞり返るのをやめてちゃんと席に座った。


「悪いな、国王。親父は口が悪くてな」


 俺が本題に入ろうとすると、暗冷に似たような声質をした誰かが声を発する。そちらに顔を向ければ、そこには黒髪に赤い瞳を持つ少年の姿があった。

 彼が暗冷の息子、潤夜だ。リーヒュベストの二代目帝王でもある。

 てか、お前も十分口悪いぞ?


「国王様、今日の本題は何なんです?」


「お、おう」


 何だか新しい二代目帝王の二人が、若かりし頃の暗冷と水恋に見えてしまい、俺は呆気に取られてしまっていた。

 気を取り直そうと、俺は軽く咳払いをして一枚の紙をスッと二人に見えるように差し出す。


「こちらは?」


 水恋の質問だ。


「これは先日のフレムヴァルトとエレゴグルドボトに関する事柄だ」


 この紙に書かれてある内容は、両帝国崩壊の旨だ。大きな戦火に巻き込まれて滅びたフレムヴァルト……被害としては相当酷いようで、国民の殆どは死に絶えてしまったらしい。未だに火も燻っているらしく、鎮火するにはまだまだ時間がかかるらしい。ちなみに、フレムヴァルトに潜伏していたエレゴグルドボト帝国の軍隊は、一人もいなかったとのこと。そのため、予想していたよりは早く火を鎮火出来そうだと、水恋から言われた。

 一方エレゴグルドボト帝国はというと、何が原因かは分からないが多くの反乱分子が現れて内部崩壊を起こしたらしい。鎧一族は現存しているらしいが、帝国民の殆どが亡命もしくは謎の死を遂げたそうだ。また、噂によると巨大な怪物が帝国を滅ぼしたとも言ってたな。

 それが何なのか、正体までは掴めていないが少なくとも一大事なのは間違いない。

 結果、こうして事実上残った帝国はウォータルトとリーヒュベストのみなのだ。

 本来五大帝国は五つの帝国で形勢されており、不可侵条約に基づいて契約を交わしていた。だが、エレゴグルドボト帝国の初代帝王であるオルガルトが引き金となって暴走を始めた。結果、このような事態を招いたのだろう。実際、どこにあるかも分からない最後の帝国――ハルムルクヘヴンは所在もつかめていない。まぁ、あの帝国に人がいるかも分からないしな。神王族の人口は相当少ないって噂だし。帝国というのは名ばかりで、お飾りとも言われてる。


「……それでは、フレムヴァルトとエレゴグルドボトは本当に滅んでしまったんですね?」


 そう言うのは、ウォータルト帝国二代目帝王の鳴海だった。本当に水恋にそっくりだ。異なる点といえば、あまり垂れ目でない事と胸の大きさか?


「んっ、今失礼な事考えてませんでした?」


 ジト目で鳴海が俺を睨む。


「い、いや……見てない見てない!」


「見て?」


「あ、その……」


 いかん、どうにも俺は女難の相でも出ているらしい。とにかく、今は別の話題を……。


「それで、誰も鳳凰一族の目撃情報はないのか?」


「はい。一応フレムヴァルト帝国にある牢屋という牢屋は調べたのですが……どこにもいませんでした」


 俺の問いに、残念そうに水恋が答える。おかしい、牢屋がもぬけの(から)だとしたら、普通どこかに鳳凰一族がいてもおかしくない。まさか、自分の国に? でも、捕らえようにも収容するような場所は……まさか、崩壊した砦跡の地下か?


「なぁ、エレゴグルドボト帝国の方の調査はしてないんだよな?」


「ああ、あっちは鎧一族のやつらがウジャウジャいやがるからな……調査は断念した。帝国自体がブッ潰れても、ヤツらはきっと再起するぜ? 何か対策練んねぇとな」


「そうですね……鳳凰一族の皆さんは囚われているのでしたよね、月牙さん?」


「影明からもらった写真には、確かに牢屋の写真と巫女装束っぽいものが写ってた。遠くからだから確証はないが、もしも敵がまだバルトゥアスやオドゥルヴィアと繋がってるとしたら厄介だ」


「……帝国が潰れた腹いせに巫女を襲う可能性も示唆した方がいいでしょう」


 俺の意見に追加してきたのは、鳴海だった。確かにそれもそうだな、あいつらの考えはどうにも腹立たしい事ばかりだな。

というわけで、下ネタ姫がまたもや登場です。若くしてなかなかの下ネタに、月牙もお疲れ気味です。そして噴水広場にてようやく鈴華を見つけました。ここで、月牙と仲間の事について会話し、慰めてもらいます。

また、三部めでも新キャラが登場です。新たな二人の帝王、鳴海と潤夜です。二人は七海と慌夜それぞれの姉と兄です。ちなみに有属性者ではありません。なので、七海と慌夜は一族の長になってもらうことに。

また、大きくなったフィヨも登場しました。ツンデレ具合がだんだんと激しく? 現在の役職は警備隊リーダーです。

四部へ続きます。

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