フランの固有スキル
「はい、じゃあ今配った紙を明日までに書いて提出して下さい。この内容を見て授業のカリキュラム等が変化するので、しっかり書く様に。」
サタスガーラ先生が言った。フランの前に一枚のプリントが置かれている。
「《特性届け》?」
フランは目の前のプリントに書かれたタイトルを読んだ。すると、隣に座っていたタシャが答えた。
「簡単に言ったら自分の得意なものを知ってもらうための書類だね。炎の魔法が得意なら炎属性、水の魔法が得意なら水属性みたいに、自分の得意な魔法を描くんだよ。」
「なるほどね…」
フランは《特性届け》を眺めながらサタスガーラ先生の話を聞いた。
各部屋にてー
フランは特性届けを記入していた。
「…?ここの欄ってどうすれば良いの?」
フランはタシャに聞いた。タシャは空欄を確認すると、少し考えてから答えた。
「その欄は固有スキルを書かないといけないんだよね…何か学校以外の組織に入ってない?」
フランは聞かれ、考えた。組織…
【特性届け】
帝国騎士団や飲食店などの組織に入る時に、この特性届けが必要となる。地球で言う履歴書の様なものだ。
「あ!アレがあった!」
フランは荷物を詰めていたカバンから、手のひらサイズのパスポートの様なものを取り出した。
「それは?」
「ギルド会員証。これじゃだめかな?」
「ギルド入ってるの!?学生なのに!?」
「うん。パーティーのリーダーに言われて入った。」
「へぇ〜意外だわ…ま、良かったじゃん、会員証に固有スキルが書かれてるはずだから…」
タシャはフランの会員証をめくり、特性届けのページを探した。
「あった!…けどないな…」
フランの固有スキルの欄は不明と書かれていた。作ったのが地方のギルドだったこともあり、書類の審査がだいぶ甘かった様だ。
「うーん…今3時か…よし、保健室で診てもらうか。」
「?」
フランはタシャに手を引かれながら保健室に向かった。
「せんせー、居ますか?」
タシャは保健室の入り口の前で言った。すると、奥から声が聞こえた。
「ちょっと待ってね、今行くから。」
少しして奥から白衣を着た若い女性が現れた。
「うーんと…一年生か。怪我はして無いみたいだし固有スキルを調べにきた感じ?」
「はい。よく分かりましたね…」
タシャが感心した様に言うと、先生は続けた。
「まぁ、得意なんだよね。人が何を考えているかを当てるの。」
保健室の先生。まだ経験は浅そうだがその目は自信に満ち溢れている。フランはあまり人の凄さとかは分からないのだが、この人が凄いということは感覚で分かった。
「じゃあ、そこの席に座っておいて。」
そう言うと先生は準備室と書かれた部屋の戸を開け入って行った。
「座っとこうか。」
タシャとフランは保健室内に入り、指定された椅子に腰をかけた。
「固有スキルって保健室で調べてもらえるの?」
「うん。専用の魔法があって、保健室や協会とかで診てもらえるよ。」
「へぇ。知らなかった。」
そんな会話をしていると、準備室から一枚の魔法陣が書かれた紙を持ってフラン達の前まできた。
「で?どっちの子が知りたいの?」
「この子です。」
タシャはフランを指差した。すると、先生は魔法陣を床に広げ、フランに向けて右手を出した。
「私の手を握って。」
フランは先生の右手を握る。フランが手を握ると同時に先生は左手で魔法陣に魔力を込め始めた。
「ふむふむ…なるほどね…」
30秒ほど続き、突如先生の顔に疑問符が浮かんだ。
「…?凄い、初めて見た。固有スキルが二つある…」
「え!?」
「?」
フラン以上にタシャが驚いていた。
「そんなに凄いことなの?」
フランはタシャに聞いた。
「固有スキル二つ持ちは万人に一人って言われるくらい珍しいんだよ!」
すると、タシャの発言を先生が訂正した。
「正確には10万人に一人だね。」
「はぁ。」
フランは一人会話についていけないまま検査が終わった。
「うーん…一つは分かったんだけど、もう一つが分からないんだよね…いつか自然発動すると思う。」
「…?分かりました…。」
「一応分かってる方の固有スキルは【適応】だね。この系統のスキルは大体一度喰らった攻撃が二発目以降は効きづらくなったり、効かなくなったりする奴だね。」
「え?強くね?」
タシャは言った。タシャの反応からしてだいぶ強い方の固有スキルの様だ。
「ちょっと試してみようか。」
「?」
先生はフランの手を握り唱えた。
「想い馳せる汝よ、我を信じ、我の言葉に従え《催眠》」
(あれ?体が動かない…)
フランは必死に動こうとしたが、体が一切言うことを聞かない。
「右手を上げて。」
先生が言った。すると、勝手に右手が上がった。
「うん、ちゃんとかかってるね。」
「これって…《精神操作魔法》ですか?」
タシャが聞いた。
【精神操作魔法】
自分よりも精神の未熟なものを支配することができる魔法。上位の魔法になればなるほど、支配できる対象が多くなる。
「ええ。久しぶりに使ったけど意外といけるわね。《解除》」
先生が魔法を解いた瞬間、フランの右手は力を入れてなかったため、パタンと下がった。
「よし、じゃあ君の【適応】がどれほどの物か。」
「想い馳せる汝よ、我を信じ、我の言葉に従え《催眠》」
再度精神操作魔法をフランにかけた。大体の適応能力は、喋れたり、体の一部が動いたり、小さい物で目を動かせるだけ、とか言う場合も多々あるが、フランは…
「あれ?動ける…」
先生は目を丸くして驚いた。
「手足の自由も、口も動かせる…いや、催眠自体が効いていない…」
フランは両手を開いて閉じてを繰り返す。
「普通に動ける…」
「想像以上だわ…きっと学校生活で役に立つと思うから、しっかり自分のスキルと向き合って、自分を高めていくと良いわ。」
フランとタシャは先生に感謝を伝え、保健室を出た。
「寮の夜ごはん美味しかったね。」
「うん。」
フランとタシャは会話しながら自分たちの部屋に向かっていた。
「そういえば、明日から授業が始まるらしいね。授業の用意しておかないと。」
「たしか明日は、魔法史と魔術学、魔導光学術式の三つだったね。」
「楽しみだな…授業受けるの初めてだから。」
「初めはオリエンテーションだと思うけどね。」
フラン達は明日からの授業に向けて期待を膨らませながら、明日の荷物をカバンに詰め込み、就寝した。
次回「魔法史、魔術学」




