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トルア•モルド

《儀式当日》

「初めまして」

フランの目の前には淡いピンクの似合う女性がいた。そう、ユラだ。

「初めまして…」

フランは言葉を返し、クラストは静かにお辞儀した。

「多分キューラから話を聞いてると思うけど、私がシェンラーの姉、ユラ。よろしく。」

「私はフランです。よろしくお願いします。」

「俺はクラスト。よろしく。」

「ごめんね本当はもっと話したいことあるけど、儀式があるからもう行くね。また後で!」

軽い挨拶を交わし、ユラは去って行った。

「フラン、買い物にでも行くか?」

クラストは問いかけた。

「うん!」

その問いかけにフランは笑顔で答えた。




「あ!この匂いは!」

街中を歩くフランの鼻に食欲をそそるスパイスの香りが入って来た。

「もしかしてカレー!?」

「あぁ…そう言えばあったっけな。もう直ぐ昼だし、食べに行くか。」


店に入ると、中は人で賑わっていた。人混みに慣れていないフランがフラフラしていると、カレーライスを持って走る子供とぶつかった。

「熱っ!」

声を上げたのは子供だった。熱々のカレーが腕にかかり赤くなっていた。その子供は泣き始めてしまった。

「軽い火傷だね…ごめんねぶつかっちゃって。」

フランが謝っていると子供の後ろから声が聞こえて来た。

「ほら、ミルも泣いてばかりじゃなくて謝りな。ミルも前見てなかったんだろ?」

「…ごめん…なさい。」

たった一言でミルと呼ばれた子供は泣き止み、謝罪して来た。

「あ、この子火傷してるみたいなんですよね、何か冷やすものありますか。」

フランは聞いた。魔法を使って氷を出しても良かったのだが、フランの氷魔法は見た目だけで全然冷たく無いため、用意してもらおうとしたが、ミルの後ろにいた少年は前に出てきて、ミルの頭を撫で、唱えた。

「『リペア』」

すると、一瞬でミルの火傷が完治した。

「後片付けはやっておくから、僕のを食べてきな。」

「うん。分かった。ありがとう!お兄ちゃん!」

ミルは笑顔で走って行った。

「はぁ、あれだけ走るなと言ったのに…あ、すみません、お食事の邪魔しちゃって。」

床に落ちたカレーをティッシュのような紙で拭き取りながら少年は言った。

「いえ、気にしてないので大丈夫です。」

「あ、一応自己紹介しておきますね。僕はトルア•モルド。近くの孤児院で暮らしています。あの子はミル。一緒に孤児院で暮らしている血は繋がっていない家族です。」

「私はフラン。冒険者です。」

「俺はクラスト。同じく冒険者だ。」

「フランさんとクラストさん…あ、もしかして『白き旅団』の?」

「うん。そうだけど…知ってるの?」

「はい。兄から話を聞いています。あ、いつも兄がお世話になってます。」

「もしかして、君のお兄さんの名前って…」

「サガン•モルド…キューラ•トロスとも名乗ってますね。」

「やっぱり!弟いたんだ…。」

驚くフランを他所に、ミルの叫び声が聞こえた。また何かやらかしたようだ。

「また何かやったな…じゃ、失礼します。」

トルアは軽く挨拶をしてミルの元へさって行った。

「注文するか。フランは何がいい?」

クラストは問いかけた。その問いにフランは

「カレー!」

と元気よく答えた。


「そう言えば、ここってカレー屋さんなの?」

フランは台の上に乗せられたカレーライスを運びながらクラストに問いかけた。

「うーん…ちょっと違うかな。ここは『食堂』って言って、毎月お金を払えば毎日違ったご飯が食べられる。でも、俺たちみたいに毎月お金を払ってなくても代金を払えばご飯がもらえる。今日はたまたまカレーだったみたいだな。」

「へぇ…そうなんだ。」

フランたちは席に付き、カレーを食べ始めた。





儀式の会場。その場所は普段は協会として機能している。今日だけ特別にシェンラーのために貸し切っている。シェンラーは何も知らぬままキューラに連れられて教会に入って行った。その様子を向かいの建物の屋根から眺める人影があった。

「今日、俺はこの国を支配する。」

その人影は黒いローブを羽織っており、左手に魔法陣の描かれた紙、左手に杖を持っていた。

少しの間定期テストがあるため来週の投稿が多分ありません!m(._.)m


次回「始まった儀式と宮廷魔法使い」

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