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目覚めた復讐心

マカン帰還から2週間、村のリーダー的存在8人を集め、会議を行った。


「反乱を起こすべきだ。」

マルシは今回の一件を受け、帝国に強い復讐心を抱いていた。しかし、マルシは自分の力一つでは確実に勝てないと分かっていた。だからこそ会議で多くの共感者を募ろうとした。勿論マルシはこの時、多くのものがマランを失った悲しみを帝国にぶつけようと思っているのだろうと考えていた。しかし結果は、マカン、パルラードが率いる四人の否定派と、マルシ、ラムス率いる四人の賛成派に分かれた。

「元々は俺たちが帝国に反逆して、それに似合った罰を受けただけのことだ。帝国が完全に悪と決まったわけじゃない。それにもし、俺たちが帝国に再度反逆して誰か犠牲者が出たら、父さんが救ってくれた命が無駄になる。俺たちの命には父さんの思いも込められているんだ。だから、父さんが最後まで守ろうとしたこの村で、みんなで平和に暮らしたい。」

マカンは思い浮かんだ感情を全て言葉にした。だが、マルシには届かなかった。

「お前は勘違いをしている。マランさんの戦いは終わっていない。もしここで俺たちが引いたら、マランの戦った証は消える。でも、俺たちが帝国に勝利すれば、マランさんを含む俺たち全員の勝利になる。俺はマランさんの意思を貫き通す。」

この後も会議は続いたが、お互いの意思は正反対で、お互いの意見をぶつけ合ったが、最終的に結論を出すことはできなかった。

「俺は俺たちの好きなように動く。邪魔は許さない。」

マルシはそう言い残し、部屋を後にした。


翌朝ー

広場でマルシによる演説が行われた。内容は、反逆に共感するものを集めるためのものだった。ほとんど会議で話していた内容と同じだった。

最終的に演説が終わると、広場にいた300人程度のうち、半分ほどが賛成の意を示し、マルシはラムスと賛同者を連れて広場を後にした。


村の4分の1ほどがマルシの元へ行ってから3ヶ月。全く動きのなかった彼らが動き出した。総員172名、組織名を『フロルゴ団』とし、暗殺者集団として活動を開始した。この3ヶ月間はマルシを中心に暗殺術を研究し、農民だったものたちもかなりの実力になった。そして彼らは、すぐには動かなかった。初めから帝国に反乱を起こすのではなく、近隣の発展した都市から暗殺依頼を受け、それをこなしていた。理由は、名を広げることと、賛同者を増やすことだ。172人全員で帝国側に反乱を起こしても、騎士団に返り討ちにされる。ならどうするか。方法は二つ。圧倒的数で抑え込むか、無血開城を実現させるかだ。今のところマルシは前者は諦めている。理由は一つ。フロルゴ団が出会うほとんどの者が、『誰かがやってくれる』という考えで、賛同しても行動に移そうとしないというのが現状だ。そのため、思うように人員は増えず、後者を選択せざるを得ない状況にある。


7年後…

フロルゴ団が活動を開始してから7年という長い月日が流れた。1歳だったサガンやメルドーネは8歳になり、ウーラン村は更なる発展を遂げた。そう、ウーラン村は平和だった。一方フロルゴ団は、なかなか行動できず、ダラダラと長い年月をかけ作戦を考えている内に、何のために自分たちが動いているのか分からなくなっていた。そして、このままでは何も変わらないと悟ったマルシは、作戦を決行することにした。





目が覚めると、隣にはメルドーネがいた。長い間会っていなかったが、一目で分かった。

「久しぶり、サガン。」

「久しぶり…。」

メルドーネはフロルゴ団の一員として訓練を重ね、8歳とは思えぬ威圧感を放っていた。

「何か用事?」

「うん。僕たちの作戦にどうしてもサガンの力が必要なんだ。お願いできないかな…。」

サガンは初めは断ろうとした。だが、咄嗟に我に帰り、状況を考えた。フロルゴ団は暗殺者集団だ。たとえ幼馴染だとしても断れば何をされるか分からない。

「分かった。何をすればいい?」

こうしてサガンはフロルゴ団の作戦に参加した。


「これを。」

久しぶりに会ったメルドーネの父、マルシから注射器のようなものを三つ渡された。サガンはそれを受け取り、作戦内容を告げられぬまま、馬車に乗せられた。馬車から見た感じでは、周りには30人ほどしかいない。周りの人は全員それぞれの馬があり、それに乗り、馬車を先導していた。

馬車の中で作戦を伝えられ、数時間後に目的地に到着した。時刻は12時前。

「作戦開始だ。」

場所はサルエ村の正門の前。見張が二人ほどいる。服装からしておそらく騎士団の者だろう。

サガンは伝えられた作戦通り、注射器を片手に行動を開始した。

「霊闇撃」

【スキル(呪文):霊闇撃】

サガンは7歳にして獲得したスキル『霊闇撃』。マカンの教えの元特訓し、息を止めている間透明になることができる。


サガンは姿を消し、見張りの後ろに忍び込んだ。そのまま気付かれることなく、二人に注射を打ち込んだ。注射器の中身は麻酔薬で、数秒も経たないうちに、見張は深い眠りについた。見張が眠っていることを確認し、マルシたちフロルゴ団は正門から堂々とサルエ村に侵入した。


サルエ村に侵入した直後、フロルゴ団全員が動き出した。それぞれがあらかじめ決めていた配置に着き、誘導を始めた。数分と経たないうちに、村の中央にサルエ村のほとんどの住民が集められた。各地で「早く家を出ろ!」や「大人しく着いて来い!」などの脅し口調の声が飛び交う中、サガンは右手に注射器を握りしめた。

今回サガンに与えられた役割は二つ。

一つ目、見張りの無力化

二つ目、フロルゴ団に対抗できる戦力が村にいた場合の制圧

サガンはいつ、どこに敵が現れるか分からないため、警戒心を強めながら、住民が連れて行かれる様を見守った。村にいた約200人の住民は、10分ほどで全員集められた。

(ん…?何だろう…)

サガンの目には、人混みの中から浮き上がってきた魔法陣が映った。明らかにフロルゴ団のものが作ったものではない。サガンは急いで走り出し、技が放たれる直前、魔法陣の真下にいる人に麻酔を打ち込んだ。

「よくやった、サガン。」

「危なかったね。」

どうやらこの人はフロルゴ団の一員に向けて魔法を放とうとしたようだ。防御が追いついていなかったから遅れていたらどうなったかとか…。

「ママ!ママ!」

魔法陣を作り出した人に一人の子供が駆け寄ってきた。まだ幼い容姿で、6,7歳くらいだろうか。そんな親子を一部始終見ていたマルシは一言こう言った。「連れて行け」と。


村に集められた住民のうち、約半分の100人がロープで拘束され、フロルゴ団に連れて行かれた。

「ここは…?」

フロルゴ団が捕まえた住民を連れてきたのは、大きな体育館のような建物だった。中央に住民を固め、四方から囲うように四人見張がついている。そう、フロルゴ団はサルエ村の住民を拉致した。

次回「抗う者」

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