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事態は動く

「なんでここにいることになったのか説明してほしいのだが」

「それはその……、ただお連れしろとしか言われていませんので。詳しい説明はされると思いますので」

多少不機嫌な表情で案内役に詰め寄るクボタ。教会に戻るなり半ば強引に連れ出され今は高貴な応接室に押し込まれている。

「脱出するのは簡単だけど……」

クボタは思考する。とりあえず相手の出方を伺おうと。

「お待たせして申し訳ありません」

と現れたのは年相応の美しさをまとった妙齢の女性、続けて

「お久しぶりでございます。お姿を拝見できましたこと嬉しく思います」

と臣下の礼をとる。クボタにではなく隣にいたエリンにである。

「あなたこそご無事でなにより。今は?」

「ここ、自治都市ファンタスティーの市長をしております。こんな情勢ではありますがご訪問を歓迎いたします」

「あなたがいるなら安心ですね」

「失礼、いまいち飲み込めないのだが。説明を」

どうやら知り合いらしく会話が弾むがクボタは会話に割ってはいる。

「これは申し訳ありません。あなたにとっては私は警戒すべき相手かもしれませんね。しかしここは自治都市、新政府とて迂闊には手は出せません。王女様にとってここは反撃の機会を伺う絶好の場所なのです。そしてその機会はすぐに訪れるでしょう。あなたのおかげで」

「どこまで知っている?」

「そう警戒しなくても。私は味方ですよ。少なくともエリン王女にとっては私は頼りになると思ってはいるんですよ」

「大丈夫。この人は頼りになる。相当強いから」

「エリンが言うなら大丈夫なんだろう。で、用件は? 単なる顔あわせだけではないんだろう」

「ええ、これからのことを相談しようかと。近々大規模な戦闘が起こるかもしれません。あそこが墜ちたことで反政府勢力が勢いづいています。宰相が結集を呼び掛けています」

「参加するのか?」

「いえ、参戦はしません。何か悪い予感がします」

「そうかい。好きにすればいい。俺にとっては直接関わりがない。当面はエリンを守ることが役割だからな」

「あなたにとってもエリン王女にとっても直接関係ないと? そう思っているのはあなただけですよ。もはやあなたは反政府勢力にとって希望の星なんですよ。関わってもらわなければ困るんですよ」

「その通り」

市長の言い分に同調したのはいつの間にかそこにいた聖女と大賢者

「いまさら、じゃろう。それにお主は使命を放棄する気か」

「まあまあ、今すぐに戦闘するわけではありませんから。しばらくは休息を」

「そうさせてもらうわ」

クボタはやる気なく返事をした。だが事態はそう悠長にはいかない。


「エリン王女を確保しろ。逆らうやつは皆殺しにしろ」

エリンの所在を確認したとの報をうけた自称皇帝のジェイルはそう命令した。

過剰すぎる連隊が動き出した



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