別次元の戦い
大賢者の先制攻撃で戦いは始まった。次々と魔法を繰り出し早めに勝負を決めにいく。しかし、その攻撃はまったく当たっていない。
「どういうことじゃ、なぜ当たらない。一体なにをした」
「教えるわけないでしょう。死後を考えるのはそっちの方みたいですね」
「だが、お前とてどうにもできないのでは? 攻撃してこないではないか」
「こっちにはこっちのやり方があるのですよ」
大賢者は攻撃を止める。
しばらくのあいだ二人はにらみあったまま動かない。
「ほう、そうきましたか。しかし、いつまでも付き合うわけにはいきませんな」
敵は乱雑に置かれていた箱の中から新しい武器を取り出し大賢者に向けて発砲する。
「む、なんじゃこれは! 何発も同じに向かってくるのか」
咄嗟に防御壁を張って被弾を避けた大賢者ではあったが聞いていない銃の威力に素直に驚いていた。
「さすがにこれは知らなかったとみえる。決着はついたようなものだな」
「この程度でやられるとはワシもなめられたものよの。とはいえ、こっちの攻撃は全然当たらんしな。仕方ない、あれをやるしかないか」
「念仏でも唱えているのか、いさぎよいなぁ」
敵は調子にのって上機嫌でショットガンを撃ちまくる。大賢者は防御壁を張ったり高速に移動しながら銃撃を避けていく。反撃を試みるが攻撃は全て相手には当たらない。
「まったくどうなっているのじゃ。一発ぐらいは直撃してもいいじゃろうに、まあいい。魔法が当たらなければあれをやるか」
なにか一代決心をした大賢者、身体中に魔力を漂わせパワーアップを謀る。
「なにをしようというんだ。だが俺には勝てん」
「それはどうかな」
突如として現れた眩しすぎる光に一瞬目を背けた隙を突かれて敵は手傷を負う。
「何をやったのかは知らんが魔法が当たらないのなら直接斬ればいいだけのこと。貴様は飛び道具がなければ戦えないのだろう」
「お前は誰だ」
まばゆい光の中から出てくるなり自分の右手を切り落とした見知らぬ女に敵は思わず叫ぶ。
「今さら名乗る必要もあるまい。死んでいく相手には何も語るまい」
「まさか! それが本当の姿なのか」
「うるさい、さっさと死ね」
自分に向けられた剣をすんでのところでかわした敵は残された左手で雑多に積み上げられていた箱の中から新しい銃を取り出す。
「まだそんなものを」
その女はそう叫びながら敵に襲いかかる。
だが敵にはまだ戦う力が残っていた。
敵が手にしたのは確かにライフルのような銃ではあったが銃をの先には槍のように剱崎がついていた。向かってくる剣を片手ながらもそれで受け止める。
「あきらめの悪いやつめ」
そう言いながらも女の表情は笑っていた。
「さあ、かかってきな。いつまでもつかな」
敵は言い様のない違和感を感じていた。
「お前、もしかして大賢者か? 」




