決着?
なんやかんやかんやあって水入り状態になっていたこの対決が再び始まろうとしていた。
「ねぇヘドラってなに?」
「せっかくのいいムードに水を差すな。後で説明するから黙っといてくれ」
「私はいらないってこと?」
「少なくともやつに魔法は通用しないからな。文字通りの一対一になる。勝負はすぐにつくからじっとしていろ」
「遺言を伝えるのは終わったか? ずっと待っていた俺に感謝してもらいたいね」
クボタとエレノアの会話に割り込むかたちで対戦相手が話しかける。
「そうだな、とりあえず礼と謝罪はしておこうか。それと名を聞いておこう。墓標に刻むのに必要だからな」
「それはこっちのセリフだ。お前には謙虚というものがないようだな」
「ぐちゃぐちゃ言ってないでさっさと始めなさい」
お互いに罵り遇うだけでなかなか戦わない二人に聖女が戦うようほどこす。
「こういうやり取りがプロレスには必要なんだよ。わからないかな」
「これはプロレスじゃないでしょう。さっさと倒しなさいよ。今ならできるでしょう」
「わかったよ。それじゃ今度こそ」
「きな、返り討ちにしてくれる」
やっと本格的な戦いがはじまった。
相手の体を乾燥させるためには自らの手を相手に触れさせなければならない。それがわかっているから相手は酸を撒き散らしクボタの接近を食い止める。
これでは距離をとらざるを得ないのでクボタは攻めあぐねる。
「これでは何もできない。一か八かやるしかないか」
覚悟を決めたクボタはただひたすらに相手にタックルを試みる。
当然相手はそうさせまいと酸の雨を降らすがそれをもろともせずクボタは相手に組み付く。
「離せ、離さんか」
組み付いたクボタをふりほどこうと相手は酸を振り撒くがクボタは動じない。
「さあ勝負だ。俺とお前とどちらが先に溶けきるかのな」
「何を無茶なことを。でもあの子らしくていいかもね。エレノアちゃん、離れてなさい。あなたまで溶けてしまうわよ」
「そうするわ、こんなの付き合ってられない」
あきれるように二人の戦いを見つめる聖女とエレノア。はたから見ればただ抱き合っているようにしかみえないが二人は負ければ死んでしまう本当の死闘を繰り広げていた。
「震えるぞハート、燃え尽きるほどヒート」
復活したありったけの魔力を熱に変えて相手にぶつけるクボタ、そうさせまいと酸を振り撒く相手。お互いにからだを溶かしながら繰り広げられた死闘はやがて結末を迎える。
相手の体は熱に耐えきれず乾燥して砂のようになってその場を漂う。クボタは皮膚は焼けただれてところどころ骨が見えていながらもなんとか人としての原型をとどめてその場に立っていた。
「終わったな」




