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た、確かに、お尻の小さな女子ですが……ツルンとペタンな女の子ってなんだぁぁぁぁ!!歌詞の差し替えを求む!!こんな自虐的な歌ぁぁ歌えるかぁぁ
「いやだって…お前、そこボインって歌っちゃったら不味いだろ。或るものを無いと謙遜するなら兎も角、無いものを或ると虚偽の申告しちゃぁいかんだろ」
忍兄からはあっさり却下。
原曲をわざわざ自虐ネタに換えて人前で歌わねばならないなんて。
はい、あの神曲を異世界の共通語に訳したのは忍兄です。本気で寝首を掻こうかと思いましたとも。
そこへアル君が更に追い討ちをかけてくれます。
「ああそれと、雫さんは会話の後には【キラ☆】をつけて下さいね」
――――――――――――何ぢゃそりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
「その際、ウィンクしながら下をペロっと出すと効果大です」
何の効果でしょうか???
「アルフレッド様?わたくしはどーすれば良いですの?」
「セッカさんの候補は【にゃん】等色々あったのですが……」
「セッカはそのままでいいだろ」
「そうですね、僕もそう思います。セッカさんは語尾に【ですの】でいいでしょう」
忍兄とアル君によって、恥ずかしいキャラ設定が成されてゆきます。
身体を張って阻止したいのですが、今はシャール様に集められたエステ部隊によって変身中です。
静姉の持ち物から借用してきた日本製のコスメ用品などを、お綺麗なお姉さま達が興味津々に検分中。
「これは凄いわね。取り外しが出来るまつ毛」
「素晴らしい発想だわ」
「このぐろす?ってのも良いわぁ」
「ま、唇がぷるぷる」
前回の動画撮影ではエステ部隊のチーフ様が変身メイクをして下さいました。なるべく素顔とかけ離れた方がいいので、モサモサつけまつ毛としっかり縁取ったアイラインのキラキラ☆メイクで大変身です。
「はいはいアンタ達、おさぼりしないの♪」
真っ白なシャツ、袖口のフリフリからはごっつい腕が伸び、刈上げヘアのお兄さん?がエステ部隊のおねーさま達を仕切ります。はい、オネエなお兄さんです。
「だってぇチーフったら1人でこんな楽しい事に参加してるなんてズルイわぁ」
「何言ってんの!!あんた達だってお嬢ちゃん達の相手してたじゃないの」
「ボディトリートメントとお肌のお手入れだけだものぉ」
「そうよぉぉ、こんな面白い事独り占めしてズルイぃぃ」
あれー私は遊ばれてるのかな?
オネエなお兄さんは、テキパキと私を変身させていきます。
「うん、これなら使えるわねぇ。いいわぁシノブちゃん♪合格よ」
「そうか。じゃ、これで生産ラインに乗せるぞ」
オネエと忍兄が相談しているのは、私がメイクに使ったつけまつ毛。変身メイクで評判の良かったつけまつ毛を、異世界で生産販売する事になりました。どうやら忍兄はこちらの世界で色々と商売に手を伸ばしているらしいのだが、どんな事をしているかは教えてくれない。
「忍兄ぃこれって何で作ってんの?」
「それは――――――――聞かない方が良いと思うぞ」
いったい原材料は何ですか?
「まさか僕も魔窟のあれが使えるとは思いませんでしたよー」
ひぃぃいぃいぃぃいぃぃぃぃぃぃぃぃっ
「はい♪セッカちゃんの変身完了よ♪」
隣を見れば、魔術によって瞳と髪の色を替えたツインテールの幼女です。
アイドルメイクでお目目がパッチリ、白過ぎる肌はピンクのチークで血色が良く……え?だれ??はっきり言って元の面影はありません。
「は…○音ミク…」
青みがかった緑のそれが、頭の横で揺れている。前回の動画撮影でも吃驚したが、リアルボカロのミクちゃんだ。
「はいはい、シズクちゃんはこっち向いて」
そういってカラフルな鬘を取り付けた私の姿も「誰だよこれ?」とつっこみたい。
鏡の前にいるのは水色の瞳と、薄桃の長い髪を大きなリボンで飾った20歳です。
私の場合は不足の事態に自分で魔術を掛ける事が出来ないので、セッカとは違い魔術を使用していない。その為、急遽私のズラとコンタクトレンズが用意されました。前回の撮影時にはコンタクトレンズが間に合わず魔術で瞳の色を変えた為、今回は魔術で色を変化させた時とコンタクト着用時で差異がないか確認するらしい。
この恰好、途轍もなく恥ずかしい………コスプレだと思って自分を誤魔化そう。
「2人には自分でお化粧が出来るように、後でちゃんと教えてあげるわ」
「は、はい。よろしくお願いします――――――お…ねーさん?」
良い子ねぇーとオネエなお兄さんに抱きつかれた。対応は間違っていなかったらしい。




