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事後

さすがに1晩コースは堪えた。若いころはもっと頑張れたのだが……。

翌朝、ホテルのラウンジでセスと一緒に朝食を取る。

流石に高級ホテルだけあって、訳ありな男ふたりで朝食を食べていても従業員は気にする素振りも見せずに仕事をしている。どちらかというと、同じ宿泊客の視線の方が気になる。頬染めて、こちらをチラチラと伺い見る姿が…。


「嬉しそうだな」

「シノブと会うのは夜ばっかり、お日様の下で会えるなんて新鮮だからね」


テーブルの上には、数種類のパンと大皿にサラダ・オムレツ・ソーセージ、デザートには新鮮なフルーツが用意されている。


「明るい所で改めて見ると、濃い茶の瞳なんだね」

「こっちに来てからは、双黒って言われることが多いな」


日本人の瞳は真っ黒ではない、濃淡はあれど茶の瞳が多いのだが、確かに異世界に来てから色が濃くなった気がする。アルの見解では、その身に魔力を帯びた影響ではないかという事だった。


「こっち?そういえばシノブは東大陸出身だと思っていたけど、訛りないね」


一応は東の島国出身という事にしてあるのだが。東の人間は訛りがあったのか。


「んぁー……いずれ話すよ。国の事とか?」

「うん、シノブが話したくなってからでいいよ」


気遣いができて、床上手で可愛いとは、出来た嫁だ。


「シノブって、出会った頃は兎も角、いつまで経っても僕のこと聞かないし」


そりゃ聞けないだろう。パトロンに囲われてる愛人に横からちょっかい出してる身では。


「僕に興味がないのかと思ったら、そうでもないし……知りたくないの?」

「聞けないだろ」

「何で?」

「お前を共有してる相手の事なんか知りたくないね」


カシャンと少し乱暴にカトラリーが皿に置かれた。


「………は?……僕が浮気してるとでも思ってたの?」

「浮気は俺との方だろ。パトロンにはバレてないのか?」

「バレても問題ないんだけど……」

「いや、不味いだろ?」


セスを手放す気はさらさらないので、その内どうにかしたいと思ってはいるが、相手はたぶん貴族だし。


「ちょっと待って………シノブってほんとに僕の事知らないんだね」

「ベッドの中の乱れた姿しかしらんが」

「……セスレシアって聞いたことない?」

「いや、全く」

「ショックだぁー!僕、結構有名なのにぃ」


えっ?そうなの??

だから他の宿泊客がチラチラと視線を向けていたのかと納得する。

その後、懇々とされた説明によると、セスは魔族国どろこか周辺国でも著名な、ヴァイオリンに似た弦楽器の奏者らしい。

ノクスの高名なヴァイオリン(モドキ)製作家に、それのメンテナンスと新しく製作依頼をする為に滞在していたという事だった。


「確かに貴族のパトロヌスはいるけど、純粋に芸術活動を支援してくださる方だよ。僕の絵を描いているのも、その方を後援者とする画家のひとりだし、今は辺境伯領の領主様の肖像画を製作していて一緒に滞在してるだけ。僕の絵は彼の純粋な制作活動」

「……どうやって御貴族さま相手に横恋慕しようか、頭悩ませてた俺って馬鹿みたいだ」

「悩んでてくれたんだ」

「……一応は」


でなけりゃセフレとの関係を清算したりしない。

俺はこのまま、元の世界に戻る方法を探していいのか?

もし戻れるとしたら、セスとの関係はどうなる?

その時、どちらを選ぶんだろうか?


「……悩み事が増えた」




注目されてたのは駄々漏れしていたフェロモンが・・・

R18なので詳しくはそちらで


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