38 閑話休題的な?
―――なんだろう?この美味しい状況は??
朝起きるて1階へ降りると、最近すっかりアル君と一緒に寝るようになっていた愛犬わさびが、障子戸の隙間からお散歩の催促にやってくる―――はずなのだ。
しかし、いっこうに姿を見せないわさびは、実に意外な所で一夜を過ごしていた。2階の静姉の部屋のドアを、わさびが前足でカリカリ「開けて」と催促する音を聞きつけ、そっとドアを開けた。部屋の中で休んでいるであろう、コウを起こさない為の配慮です。
しかし、そこで見たのは、忍兄の腕の中ですやすやと眠っているコウの姿だった。
向かい合うように、小さなシングルベッドの中で睦まじく眠る2人。
だったら、忍兄のベッドの方が広いのに…いや違う。問題はそこじゃない!!
「シズクお姉さま…これが【びーえる】というものなのですね。セッカ、お胸がどきどきしてしまいます」
夕べ一晩掛けて熱く語り聞かせたBLという高尚な文化を、十分理解した同士は喜びに打ち震えている。
コウは忍兄の胸に顔を埋める様に、そして忍兄はコウを包み込むように、ぴったりと寄り添っているではないか。
「セッカ…これはやはり、じ、事後なのかしら…」
「シズクお姉さま、それ以外にどんな理由があるというの!!」
「や、やはりそうよね。忍兄…あれだけ言っておいて年若い少年に手を出すなんて…恐ろしい」
「こんなことなら、夕べは眠らずに見張っているべきでしたわ」
まあ、なんて大胆なセッカ。
「は、これは是非、後世に残さなくては!!」
勝手したる姉の部屋。クローゼットをごそごそあさってデジカメを準備する。
勿論部屋が暗いので、カーテンを開けて、照明も点けて光源確保。それこそもう、あらゆる角度から撮影しましたとも。
―――何か周りが騒がしい。
ゆっくりと頭が覚醒すると、セッカと雫が部屋の中で訳の分からない言葉で話していた。
身を起こそうとすると、何かが自分の身体の上に乗っている。
しかも、その何かはぐいっと俺の身体を引き寄せて不機嫌な声で「寒い」と一言。またも温かい誰かの懐の中へ抱き寄せられた。背中にまわされた腕と、顔の正面にある大きくて温かな懐。そっとその人を見ると、黒髪が頬にかかった綺麗な男の人だった。
「し……のぶ?……」
顔のすぐ近くで忍の息遣いを感じ、何故だかどきどきと鼓動が早くなり、大人の男の人の腕の中にいるのに不思議と嫌な感じはしなかった。
そっと手のひらで忍の唇に触れてみる。と、かすかに指にかかる息、忍の唇が少し開いて、指の腹を舐め上げられた。
「ひぅん……」
「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーー♪」」
すぐ傍であがる黄色い歓声。驚いて首だけ後ろを振り返ると、雫が持っていた小さな箱がパッと光った。
腐った人が増殖しました…




