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秋口に寒中水泳する羽目になり、港でアル君の温風ドライヤー魔法(※火と風の魔術式の組み合わせらしい)で暖を取っていると、私をを救助して下さった人魚のお姉さま方は「お馬鹿ちゃん達を回収してくるわ」といって海へ飛び込んで去って行かれました。流石に人魚さんです。あっとゆうまに波間に消えて、気付けは遠くを泳いでいらっしゃる。
お姉さんと忍兄の関係がちょっと気になります。兄よ、ほんと節操無いな…
「すまなかった」「すみませんでした」
おや?どこかで見たと思ったら、街で保護された時の警邏の2人。細くて若い方の人は一礼、そして何故か大きい熊みたいな人は土下座です。この世界に土下座文化あったのですか?驚きです!!
「わ、我々がしっかり見極めなかったばっかりに、君を酷い連中に引き渡してしまった。我々、いや、私の落ち度だ。どのような罰でも受ける」
「先輩……」
うん?何のこと??
「あ、クッキー、御馳走様でした?」
とりあえずお礼は言っておかないと。うん、お腹空いてから、あのクッキーは嬉しかった。
忍兄をチラリと見ると、生暖かい目で見られた。何故?
「――――シノブ殿ぉ」
シュルツ隊長と騎士隊のメンバーが駆け寄ってくる。
「おお、シズク殿、御無事で良かった。怪我はないか?」
「うん、まったくない」
「全く…幼子と間違えられて拐かされるとは、シズク殿は年若く見えるのだから人一倍気を付けなければ」
「ん…………たいちょー、海に突き落とす、いいか?」
「な、何故怒っている?」
この人やっぱり一言余計だわ!!
「シュルツ、そこの奴隷商は任せた。他の船員についてはルサールカに確認とってくれ」
「あ、ああ、引き受けた。上に馬車を用意したので使ってくれ」
忍兄とシュルツ隊長がキモ男を一瞥する。
「おそらく、取り調べればまだまだ余罪がありそうだな。港湾管理局の職員も取り押さえた、沈んだ積荷もしっかりと調べよう。後で雫殿とそこの2名からも詳しく話を聞きたいのだが・・・」
「今日のところは家に帰してくれ、皆疲れているし、この子達には休養が必要だ」
「勿論だ。そこの2人はどうする?こちらで身柄を預かるか?」
シュルツ隊長は一言余計で空気が読めない人だが、仕事は出来る。騎士隊が2人を保護してくれるなら安心だろう。だが…2人のやり取りを聞いていたセッカが不安そうな瞳で、私のブランケットをぎゅっと掴んだ。寒さ故か小さな肩がぶるぶると震えていた。
「……忍兄ぃ」
「………あー……シュルツ。うちでこの子達を預かるのは可能か?」
「ああ、騎士隊で引き取っても宿所預かりだからな。シノブ殿が身元引受けという事にしておく。ただし、この子達を無事に親元へ帰す為にも、後日の取り調べには協力してくれ。」
「……助かる」
「多少は薬学の覚えがありますから、銀狼族の子供の治療は私が責任を持ちます」
アル君がコウの治療を申し出てくれた。君ってホント何でも出来るのね。
「忍兄ぃありがと」
「お前も静も、昔からよく猫やら犬やら拾ってきたからなぁ」
はい、捨て猫・子犬…静姉と2人で拾っては叱られました。亡くなったお祖父ちゃんがアレルギー持ちの為、当時は自分で飼う事が叶いませんでしたが、その度に忍兄と信慶パパが貰い手探して奔走してました。
「ちゃんと面倒見るんだぞ」
「うん」
ってあれ?犬拾ったみたいになってる??
「シュルツ、そこの警邏2人は今回の協力者だ。そいつらもよろしく頼む」
「えっ……シノブ殿、いいのか?」
「てっきり、直々に締め上げるのかと……」
忍兄のお言葉に男泣きしながら感謝している警邏のお兄さん達。何?どしたの??
「そっちの大きい方は俺が個人的に調教……指導しておくから特には問題はない」
「わ、わかった……」
頬を染め、感涙しながら忍兄の足にすがり付く警邏のお兄さん。
それを足蹴にして兄はスタスタと歩いて行ってしましました。
「雫さん、見ちゃいけません」
「セッカちゃんも見ちゃだめだよぉー」
アル君とバーンさんが、私とセッカの視界を遮りました。
どうしてなのでしょう???




