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第0章プライムノア編 3話:武器庫での一幕

無事に仲間と合流できたタツキ。

彼らは装備を整えるため、武器保管庫へ向かう。

◆U-SHAPMC本社ビル地下1階武器保管庫◆


 タツキたちの目の前に白い通路の奥、重厚な耐爆ドアが立ち塞がる。

 武器保管庫だ。

 ゼノスが銃を構えて背後の通路を警戒し、タツキとレクタルがふたりがかりで認証装置に取り付く。


(空間移動魔術は指定した場所に座標の情報と、発動者および同行者の生体・装備情報を乗せたネクサスが先行し、点と点を繋ぐことで離れた場所へ一瞬で移動できる、いわばテレビゲームにおけるファストトラベルと考えればわかりやすい)


 カードキーをスライドし、指紋認証ののち、暗証番号を入力。


(当然、本社ビルには不正空間移動ジャマーが敷地内全体を地下含め球状に囲んでいる。あらゆる組み合わせの移動術式に対応し、先行してきたネクサスに反応して即座に起動、余分な情報を書き加えることでまったく別の場所に転送させる防衛システム)


 重量認証のため、足元のマークの上に立つ。


(それを破られた。しかも、未知の術式で、だ)


 最後に虹彩認証を突破すると、連続してロックが外れる金属音が静かな通路に鳴り響いた。


(いったいどうやっーー)

「だーっ! 毎回毎回めんどくせぇ! 省略できねぇのかよコレ! 緊急事態だぞ!?」


 文句をたれるレクタルの肩をゼノスがゆすって宥める。

 思考を中断されたタツキはため息をつき、気持ちを切り替えた。


「武器庫突入は銃よりナイフだ。扉が開いたら一気に突入しろ。わたしは入り口で外を見張る。いいな?」

「了解」


 あれだけのセキュリティを突破する必要があるのだ、絶対に敵はいないーー否、そのような保証などない。

 敷地全体を覆う不正空間移動ジャマーを突破された時点で、あらゆる事態を想定済みだ。

 3人はナイフを逆手持ちにし、ドアの左右で待機。

 扉が重々しい駆動音を立てながら横にスライドすると、彼らはなだれ込むように突入。

 タツキとレクタルが中央の棚で二手に分かれ、一気に奥まで突き進む。

 突き当たりで合流後、弾薬庫、メンテナンスルームまで索敵を終えた。


「クリア!」「クリア」

「よし、ここで装備を整えるぞ。ありったけ持っていけ!」

「やっとマトモな装備ができるな」

「マジでここまで生きた心地しなかったぜ」

「無駄口叩いてないで早くしろ!」


 タツキとレクタルはロッカーをこじ開け、プレートキャリアとバリスティックヘルメットを取り出して装着。

 その上からゴーグルを目元に固定する。


「教官!」


 タツキがゼノス用の装備一式を投げ渡すと、ゼノスは一瞬だけ振り返りざまに片手でがしりと受け取った。

 ゼノスはSLDの通信モードをオンにし、装備を手際よく装着しながらこれからの作戦行動を口にする。


『2人とも、手を止めずに聞いてくれ。脱出ポッド格納庫は地下司令室の真下に位置しているのは知っているな?』


 2人はガンラックからマギアシューター・アサルトライフルを引き抜き、初速と動作の点検を完了、銃口にサプレッサーを装着。

 ゼノスの言葉の間に、小気味のいい金属音を割り込ませる。


『ただ、格納庫の扉を開けるには幹部クラスのカードキーが必要だ』

「それを早く言ってくださいよ。道中の職員の遺体に混じってたらどうするんですか」


 タツキのボヤきにゼノスはフッと鼻で笑った。


『わたしが見落とすとでも思ったのか? ここまでに幹部の遺体はひとつもなかった』

「マ?」

『マ』


 レクタルのおふざけに淡々と乗ったゼノスは、SLDのフレンド位置検索画面を展開、幹部の一人を指定し、ふたりのSLDにも位置情報を共有した。

 画面上のその幹部のマーカーは赤を示している。


『ここに幹部が一人いる。マーカーが赤ってことはロストしてるってことだ。位置からしておそらく訓練施設の中に逃げ込んだようだな』


 準備を終えた2人が入り口のゼノスの元に戻る。

 タツキからグレネードや薬品類を受け取ると、ゼノスはプレキャリのポケットに滑り込ませた。


「よりによって訓練施設ですか」

「おつかいミッションもラクじゃねえな、マジで」

「しかもーー死んだらリトライすらできん」


 3人とも露骨に嫌そうな顔をしてやれやれと肩をすくめ合った。


「さ、行くぞ」


 タツキの手からアサルトライフルを受けったゼノスは、通路の奥へと体を翻した。



 3人は脱出ポッド格納庫までを駆け抜けていく。

 地下施設は要塞化によって入り組んでおり、階段を降りては長い廊下を経由して次の階段へ向かわなければならない。

 エレベーターは誰かがシステムを遮断したのか、階数を示すインジケーターは光を灯していない。

 インプランテッドやマギアフレームが相当数闊歩している中を、隙を見つけてはMTPを回復させながら薄暗い白の廊下をいくつも駆け抜ける。

 職員やインプランテッドの遺体を横切り、マギアフレームの残骸を押し除け、風穴だらけとなった地下施設を、昨日までの風景を脳裏に重ねながら。


「タティ。いつも思うが、どうやったらあんな乱戦の中で弱点ブチ抜けるんだ?」

「俺の左目にはレティクルが見えるんだ。当たらないなら白、当たるなら青、弱点なら赤ってな。ゲームみたいだろ?」

「ははっ! 異世界転生だか転移だかで女神サマからチート能力でももらったか? ジャパニーズアニメーションみたいによ」

「だとしたら女神様は泣くほど趣味が悪いタイミングで授けやがったもんだ」

「へっ。射撃大会1位様にも悲しい過去ってか」

「タティ、レクタル。無駄口を叩くな!」


 前方をクリアリングするゼノスがたしなめると、二人はため息をつき、銃を構えて押し黙った。

次回、訓練施設攻略戦です。

レクタル「おつかいはこりごりだぜ!」

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