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The ability  作者: 不破陸
The ability
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74/112

74.誰がために

静かに、ただ静かに黒髪の男がルーチェの亡骸を見つめる。

その光景を見た少女が居た堪れず、少年の手を取ってリビングを後にする。

「射線上にシルファを置けば」

空になった弾倉を確認したログが女の上着のポケットを探る。

「俺は撃てなかった」

一発の弾丸と『ルーチェ=サークル』と刻印された認識票を黒髪の男が手に取った。

「他国にこれを届けたい。一緒に来てくれないか」

沈黙を続ける赤眼の男にログが続ける。

「国境を超えるのに時間がいる。お前ならビザも要らないんだろう」

「野郎と二人旅なんざぁしたくねぇよ」

手の内にした認識票を見つめる男にツェンが告げる。

「後よぉ、いつまでも事務所に死体置かれちゃ邪魔なんだよ」

「片は、付けた」

徐々に温度を失っていく体を腕にした男に、舌打ちをした赤眼の男が言う。

「持ってくもンはそれだけか?」

「ああ」

ログの返事を受けたツェンがルーチェの身体を抱く。

「好きだったぜ、食いっぷりの良さ」

赤眼の男が身体から高熱を発し、女の身体を一瞬にして骨も残さず荼毘に付した。

「バーズに伝えておいてくれ。しばらく任務から離れる」

「野郎の頼みなんざ聞かねぇ。テメェで言え」

赤眼の男のその言葉に、黙ってログが事務所を後にした。

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