59.HERE WE GO
「ご説明いたします。ご説明いたします」
ツェンが砕いたロボットの破片から音声が鳴る。
「今より20分後に当施設は爆破されます。どちらか一方のみの扉を解錠できます。今より20分後に当施設は・・・・」
同じ言葉を繰り返す音を聞き、ツェンが青眼の男が居る扉の脇にあるスイッチに手をかけた。
「何をしている?」
ガラス戸の向こう側から聞こえる声に赤眼の男の動きが止まった。
「開けるならこっちだろ」
「説明は聞いただろう?」
解錠ボタンに手を置いたまま動かないツェンにバーズが詰問を続ける。
「あの子らが死ぬんだぞ?」
そう告げる青眼に合わせた赤い瞳も、ボタンにかけた手も微動だにせず男が佇む。
「聞こえ」
「だったら何だ」
ツェンがバーズの言葉を遮る。
「ガキがどうしたってんだ」
灼熱を瞳に宿した男が叫ぶ。
「ガキがどうした!?子供!子供ってなぁ!!テメェ!少しは俺のことも考えろよ!!」
「何が不満だ?ツェン=フォーカス」
その返事にツェンから怒号が飛ぶ。
「ふざけんな!!!」
激昂しガラスを突き破ろうとした男にクィンが青い眼を光らせる。
「衝撃を与えるな。それも爆破のスイッチになっている」
「このままボタンを押させろ」
動くことのない青く光る瞳を見つめてツェンが嘆願する。
「だったら今すぐ約束を果たせ」
屹立する青眼の男は何も言葉を返さない。
苦し気に呼吸をしている金髪の少年を抱く少女の姿が視界の端に映る。
沈黙を続ける二人に栗色の髪の少女が声を上げた。
「ツェン、私達は貴方が誰を選んでも恨まない。でも、もう決断して。アイツが出ていってから756秒経ってる」
目隠しをされたままのシルファが、口から血をこぼしているエルを抱きしめて言葉を続ける。
「迷ってたら皆死んじゃう!!」
「クソが・・・」
そう毒づいたと思った瞬間、ツェンが彼女の前で解錠ボタンを押していた。
「クソが!クソが!!クソッタレがぁ!!!!!」
叫んだ男が子供たちを担ぎ上げる。
「ツェン!!」
走り去る背中にバーズの声が響く。
「叶えたければ俺を望め!俺を願え!!求めろ!!俺を!!!」
「誰が望むか!バカヤロウ!!!」
ナカユビを突き立て出口へ姿を消した黒いスーツの男を確認すると、黒混じりの青い髪をした人間が独り想う。
「選ぶさ、お前は。そっちを」




