57.無意味
「さっきから随分飛んでるケどよ、何処まで行クんだ?」
黙って操縦席に着座している銀色のロボットにツェンが問いかける。
「聞こえてねェのか?」
腰を上げた赤眼の男がその頭を掌で掴む。
「飛行に私の燃料を使っております。答えるためのエネルギーが足りません」
「喋ッてンだろうガ!!」
飛行がスムーズになったツェンの顔が渋る。
「お前の燃料って何だ?」
「答えられません」
その答えに赤眼の男が手を放して再度問いかける。
「さっきから随分飛んでるけどよ、何処まで行くんだ?」
機械は何も答えない。
「お前の燃料って何だ?」
黙ったままのロボットの頭に手を乗せてツェンが告げる。
「さっきから随分飛んでるけどよ、何処まで行くんだ?」
「答えられません」
その返事に輸送機の壁を吹き飛ばしたツェンが言う。
「いつ着く!!答えられねぇってンならテメェごと落とす!」
「もう着くよ」
スピーカーから男の音声が流れる。
何処かで聞いたその声を赤眼の男は思い出した。
「テメェの声を聞くと、どうでもいい気分になってくる」
「止めるといい。バーズが死ぬ」
「どうでもいい」
レーベルクの音声に赤眼の男が拳を振るう。
「今は止めろ」
一瞬流れた青眼の男の声を聞き、ツェンが言葉を弾き出す。
「いるのか!一緒にいるんだな!!?」
「話はそこまでだ」
呪われたかのような漆黒の声がスピーカーから響く。
「お前が来なければ何も始まらない」
「誰だテメェ?」
赤眼の男のその言葉に返事はなかった。




