表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/10

1,あるあるの始まり方



___かの神が“彼“を選んだのは本当に『偶然』のことだった。


 そうして縁とは繋がるものだ。その偶然で物語というものは始まるのである。



  ◇◇◇



「ここ、どこだ?」


 目が覚めたら見知らぬ場所だった。


 何かの出来事だとか事件だとかが始まるには使い古されたレベルであるあるの文言だ、と我ながら思う。


「体バッキバキ……」


 とりあえず、その辺の床に転がされていたので、そろりと体を起こす。不幸中の幸いと言うべきか体に拘束はない。


 埃や砂まみれと言うほどは汚れてはいないが、一般的な屋外のコンクリっぽい床なので普通に汚い。そのため、すぐにでも汚れを払いたかったが、立ち上がるために足に力を込めた瞬間ふらりとめまいがしたため座り込んでしまう。


 この様子だとしばらくの間意識を失っていたのかもしれない。悲しいかな、低血圧に貧血気味のダブルコンボな都会の学生は軟弱なのである。

 少しの間目を瞑ってめまいをやり過ごしてから、再びゆっくりと立ち上がる。今度こそめまいに邪魔されずに立つことができた。




 さて、と。

 ここはどこなのだろうか。


 生憎ながらこのような廃墟に来るような用事はないはずだ。


 そもそも俺こと結城春人は、東京の大学に通う一般的な学生だ。

 生まれこそ東京ではないが、地元ではヤンキーの仲間に入らずそこそこに勉強し、何となく大学進学を視野に入れ、学力的にも就職的にも良さそうな東京の大学に進学を決め、都会に出て一人暮らしをしている。ごくありふれたルートを辿った人間だと言えよう。


 大学進学を機にはっちゃけてサークルを掛け持ちしたり、友達と一緒に馬鹿騒ぎしたり、彼女を作って恋愛に注力したり、とふらふらと遊ぶばかりの人もいるという。世間の大学生のイメージはどちらかと言えばそれだろう。だって夏休みとかめっちゃ長いもん。


 だが、と俺は言いたい。

 これでも親に学費を出してもらっている身であるので、学業優先が第一だし、遊び惚ける前にその資金を稼ぐのに割と手一杯である、と!

 確かに学内でそこそこ話したりつるんだりする友達はいる方だと思う。でもそれで学業を疎かにするつもりはないし、羽目を外しすぎるようなこともしていない。ましてや、このような(推定)心霊スポットなどに行ってそこを荒らすみたいな行為もしてない。


 そもそも週明けの講義とバイトがやばい。これ帰れなかったらどうするんだ。


 つまり何が言いたいかと言えば、この場所に対して全く心当たりがないため、自分からここに来たという線はない、ということである。


 ふむ、と手を顎に添えて考え込む。


 それでは誘拐だろうか?


 自分で思い当たる節がないならばその線が強いのだろうが、俺を誘拐するメリットが思いつかない。大した資産も持っていなければ、顔も頭も平凡の域を出ないので。言ってて悲しくなってくるけど、世の中目立ちすぎも良くないと気持ちを切り替える。



 ここに連れてこられる前について記憶を掘り起こそうとしても、やはり心当たりはない。

 金曜なのを良いことに夜ちょっと遅めまでバイトを入れ、眠い頭を起こしながら週明け締切の課題を何とか終わらせて寝たところで記憶は終わっている。


 そういえばと思い出して、服装や持ち物を確認した。


 今着ているのは、俺が普段講義やバイトに来て行っているシャツやジャケット、外向けのズボンのままだった。


 そして、上着の胸ポケットにボールペンとシャーペンが一本ずつ、右ポケットには手のひらサイズのメモ帳と飴二つと絆創膏数枚、左ポケットにはハンカチのみ。

 残念ながらスマホはない。あったところで圏外な気もするが。

 そして、今は必要ないが、財布も鍵もなかった。


 微妙なところだが、いざとなったらペンのどっちかを突き刺すくらいはできるか?

 正直持ち物としてはかなり心許ないが、何も無いよりマシである。



 記憶の通りの時系列ならば、寝巻き代わりのスウェットを着て寝たはずなのだが、その割には現在着ているのは平日に学校やバイトに行く際の服装なのが不思議なところだ。スマホこそないものの、ある程度の持ち物もあるわけで。


 不幸中の幸いその二として記憶の途切れ目は金曜日なため、ワンチャン週明けの講義には間に合うという希望がある。土日は休みたいのでバイトも入れてないし。



 ちなみに。落ち着いて分析しているように見えるだろうか、ぶっちゃけガクブル状態である。思考を積み重ねて恐怖を緩和している状態なだけだ。

 それに、今が明るい時間帯なのも味方している。これが真っ暗だったらもっとギャンギャン騒いでいた。というかこれ夜になるとやばいんじゃないか?嫌なことに思い至ってしまった。


 推定誘拐者さんもこの場にはいないため、何も話が進まない。


 ハァ、と一つため息を吐き、ただ考えているだけでは何も始まらないため部屋を見渡した。



初投稿です!オリジナル小説に手を出してしまいました。

とりあえずストックが切れるまでは隔日で定期的な投稿をする予定です。

n番煎じのよくある話かもしれませんが、お付き合いいただけると幸いです。そして評価や感想を頂けると飛び跳ねて喜びます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ