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勇者かと思ったか?残念!魔王ちゃんでしたー!


パタン…ドアが閉まりヨハンが去ってしまった。


「は、はは…私は、本当に…馬鹿だな、馬鹿だ…」


唾を飲み込む、塩辛い、どうしてだろうなぁ、欲しいと思ったものを自分から捨てるなんて、あのまま悲劇のヒロインを演じてれば、ヨハンの友達の振りをしていれば、少なくとも見捨てられることなんてなかったのになぁ。


誰かの温かみが欲しいと思うのは何年振りだろう、妹の優しい心が辛かった、悔しかった、ただひたすら耐えてきたのだ、だが自己満足に過ぎなかった、前の私は他人を偏見で見るし馬鹿にもするただの自己中の馬鹿でしかなかった。


だからこの生では他人の為になることをしようと思ったがそれも無理だった、腐った性根はどこまで行っても腐った性根でしかない。

まがい物の私では自己陶酔と言う形でしか自分を嘆けないカスっぷりに腹が立つというより虚しくなってきた。


「何に悲しめばいいのかもよく分かんなくなってきちゃったよ」


腹を渦巻くものが何かわからない、何もわからない故に何もできない。


「あははは、馬鹿だなぁやっぱり」


頭がボーっとする、何も考えたくない。


「ああ、力が欲しい」


何気なくつぶやいた一言、その一言は誰に届くこともなく消えてゆくかと思った。


「じゃあ僕と契約しようよイリス・イスフィリア、君の望む力を上げるよ」


懐かしい声がする、昔死んでいなくなってしまった馬鹿の声だ、ああ、懐かしい、そうだなあいつが俺に力をくれるというのなら―――


「力が、欲しい」


「承諾したよ、じゃあ行こうか」


どこへ?問う間もなく抱きかかえられる、ああ、どうせ夢だ都合のいい妄想だ、きっと彼は魔王でもないし俺の友人でもないうえに存在してないんだ。


薄れゆく意識の中誰かが叫んでいるのが聞こえたがこの暖かい何かにもう少し埋もれたくてそのまま寝てしまった。


ああ、こんなところで寝たらまた誰かに馬鹿にされてしまうな。














「ここ…どこ?」


目が覚めたら辺りは真っ暗でした、しかし体が触れている感覚からいうとベットのようですな。


「明かり…」


一回寝てすっきりしたからか頭が軽い、やっぱり重苦しいのはダメだな、酒も駄目だ、もうやめよう。


あー恥ずかしい、昨夜の私はどうにかしていたのだ、ヨハンにあったら謝ろう。


と言うより暗いな…


「はい明かり」


部屋が明るくなり目の前に端正な顔の人間が現れた、こんな人従者にいたかな、そもそも私に構う人間などこの城にいたかどうか…。


「いやー魔王と契約なんてしてもらえるかわからなかったけどやってみるもんだね?」


「あ、ありがと…え?」


なんですと?


「初めまして?魔王でーす」


「なんですと?」


また面倒くさいことになった…。


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