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(2)

「はい、信号についてはわかったかな? じゃあ次は、大事なお約束を教えるね。おうちの人に聞いたこともあるかな? 外を歩くときは、爪や外殻を……」

「空を飛ぶときのお約束、わかるかなー?」


 ヒューム、飛行不能種、飛行可能種などに分かれて、職員たちがそれぞれこどもたちに指導している。一年生のこどもたちは、ちょっと落ち着きはないが、概ね素直でちゃんと話を聞いている。


「よし! では高高度を飛ぶときの注意を教えるぞ!」


 高高度飛行可能種のこどもたちも、そわそわぱたぱたと羽ばたきながらも、コルジの説明をちゃんと聞いてくれている。


「まず嘴や爪が鋭い……うむ、強くて尖ってる場合は、周りのひとにぶつからないように気を付けるんだ。カバーを付けると相手も自分も安心だぞ! そういえばかわいいのやかっこいいのがいっぱい売ってたな。俺も爪とか嘴があったら、ああいうの付けたかった!」

「ぼく、持ってるよー! ほら!」

「おお! かっこいいな! 竜種のひとみたいだ!」

「わたしもー!」

「おお! お花かわいいな!」


 ちょっと脱線もするが、コルジはお仕事はしっかりできるのだ。ちゃんと指導を続ける。


「それと、とても大事なことがある。高いところを飛べないおともだちを、無理に高いところに連れて行っちゃだめだぞ。頭が痛くなったり気持ちが悪くなったり、もっとひどいことになったりしちゃうんだ」


 サンリを問答無用無対策で上空に連れて行った経験者は語るのである。反省している。


「どうしてー?」

「うむ、うんと高いところを飛べるひととそうじゃないひとは、体のつくりが違うんだ。例えば、みんなは水の中で何時間も過ごせないだろう? でも魚人のみんなは過ごせる。もし彼らに無理に海の底に連れていかれたら、みんなは大変なことになるだろう?」

「……息ができない!」

「うむ。そんなふうに、ひとや種族によってできることとできないことがある。ここにいるみんなはうんと高いところでも平気だが、他のおともだちはそうじゃないから、危ないんだ。……ちなみに、竜種のひとのなかには、海の底に安全に連れて行ってくれるひともいる。俺は連れて行ってもらった!」

「いいなー!」


 こどもたちに対して、えっへん、と胸を張るコルジである。海の底の風景や、連れて行ってくれたミズバショウのことなどに話が脱線していったのは御愛嬌だ。

 ちなみに、高高度においてお祈りでどうこうするのはエンジェリアにしか無理だと先にサコンたちに言われていたので、こどもたちには言わないのである。えらい。

 

 そのころ、サンリは飛行不能種の獣人・蟲人のこどもたちを相手に、交通ルールを教えていた。アンジュちゃんもやってきておともだちと真面目に聞いている。サンリの教え方は若干無愛想だが、初めて指導員をしているにもかかわらず、なんだか手慣れている。横断歩道の練習で、焦って転びそうなこどもの手を繋いであげる姿も自然だ。普段コルジに色々説明したり手を引いてやっているのが活かされている。指摘したら嫌な顔をしそうだが。


 ミヨシは経験者のサコンの隣で、熱心に指導の仕方を見て学んで……いるようで、実際は「兄ちゃんかっけぇ!」という心の声が表情で駄々洩れになっている。憧れの近所のかっこいいお兄さんがちゃんと公安職員をしている姿はやっぱりかっこいいのだ。


「……と、いうことで。お兄さんにお手本を見せてもらおうね! ……ミヨシ?」

「はっ!? は、はーい! お兄さんがやってみるから、みんな見ててねー!」


 急に話を振られて現実に戻る。仕事中だ。公安一年生もぎこちなくがんばるのだ。


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