表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

成人を祝う日

俺、リットはこの辺境の村で育った。


今日は俺の16歳の誕生日であり村では成人を祝う日だ。


そんな日の昼頃、俺は日課の鍛錬を家の庭でしていた。


「九千九百八十九、九千九百九十、九千九百九十一」


「ねぇリット」


「何してるの?」


「もうみんな始めちゃったわよ」


「ごめんミーナ」


「もうすぐ終わるから」


この覇気のない女はミーナ。


幼い頃から友達で幼馴染というやつだ。


昔はまな板で俺よりも身長は低かったのに今ではまな板じゃなくなったし診療は俺よりも高くなった。


「九千九百九十八、九千九百九十九、一万」


「はぁはぁはぁ」


「よくやるわねリット」


「七歳ぐらいの時に急に体を鍛え始めてさ」


「私だったら十回でもやったらもう辛くて諦めるわ」


「十回は少ないだろ」


「ふぅ〜」


「もう十分休んだしそれじゃあ行くか」


「ええ」


「そういえばお前今日は珍しいな」


「いつもだったら俺が寝ているお前を起こして連れて行くのに」


「お母さんに起こされて連れて行かされた」


「着いてみればリットがいなくて自分だけ好きなことしてるのずるいって思ったから迎えにきた」


「何だよそれ」


リットはミーナが迎えに来た理由を聞いて笑った。


広場に着くとミーナと歳の近そうな男女がお酒などを飲んだり普段よりも豪華な食事を食べて騒いでいた。


「コラ!」


広場に着くといきなり大きな声で発して女性がこちらに向かって来た。


「ミーナ!どこ行ってたの!!」


「村長の話が終わっちゃったじゃない!!」


「リットを連れてきたの」


「え?」


女性が辺りを見渡すと女性はハッとした表情をした後、話しかけてきた。


「ごめんなさいリット」


「急にミーナが居なくなってミーナを見つけたら頭に血が昇って見えてなかったの」


「大丈夫ですおばさん」


この女性はミーナの母親、小さな時からとてもお世話になっている人だ。


「まあリットを迎えに行ってたのわいいわ」


「でも次からは私に言ってから行動しなさい」


「嫌よ」


「今日で私はちゃんとした成人女性」


「つまり!」


「自分の思い通り行動するのだ!」


ゴツっとミーナの頭をミーナの母親は殴った。


「一緒に行動している人がいる時にその場を離れるときはその人に要件を言うのは成人女性でも当たり前のことよ」


ミーナは頭を抱えてしゃがみ込むと「ごめんなさい」と言った。


しかしミーナの説教はそれからしばらく続いた。


「ふぅ〜」


「まあ今日は成人を祝う日だしこれぐらいでやめといてあげるわ」


「じゃあ私はそこでお父さんと楽しんでるから二人とも楽しみなさい」


「は〜い」


「は〜い」


「よし!飲むぞ〜!!!」


リットはそういうとものすごい速さで広場の中心へと向かった。


「村長!!!」


「お?」


「リットじゃないか、どうかしたか?」


「ふ……」


「何を言ってるんだい?村長」


「ここに俺がきた理由なんて一つしかないだろ」


村長は不思議そうな表情をして「何じゃ?」っと言った。


「そりゃ〜」


「俺、成人したんだから酒、くれよ」


「お、お〜」


「そうだったの〜」


「見た目が変わらないから忘れとったわ」


「お主ももう十六か……」


村長は「そうかそうか」と言いながら木のコップを手に取り樽についた蛇口を捻って木のコップに酒を注ぎリットに渡した。


人生初の酒。


ゴクっとリットは喉を鳴らし木のコップに口を近づけた。


しかしあともう少しでコップが口に付くという所で木のコップは取り上げられてしまった。


「ダメよ飲んじゃ」


リットの隣にはミーナが先程までリットが持っていたコップを持って立っていた。


「いきなりなんだミーナ!」


「前々から私、言ってたわよね」


「リットが変わらない限り私が絶対お酒は飲ませないって」


「お前、まさかあれ本気だったのか?」


「うん」


「確かに俺が酒飲みてぇとか行ったりするとは木のない声で私が飲ませないって言ってたけど本当にマジで本気だったのか!?」


「うん」


「でも成人になったんだしさ」


「ダメ」


「このお酒はリットの代わりかな私が飲む」


「そ、そんなのねぇよ」


「た、頼む!!」


「一口、一口だけ」


「ダメです」


「ほらテーブルに行ってご飯食べましょ」


リットはミーナに手を引かれ空いているテーブルまでいくとテーブルに置いてあった料理をの入った木の皿をミーナは取りリットに渡した。


皿の中には先日、猟師のガタン爺さんが仕留めてきたボアボアの肉が少しの塩が掛けられて焼かれたものと、この村で育てたナサゴ芋を蒸して潰して塩をかけたものが入っていた。


リットはそれを口にしながらとあることを考えていた。


俺も今日で晴れて大人になった。


俺には家族が居ない。


俺は五、六歳の時に街の近くの森の中で一人で眠っていたそうだ。


そんな俺を見つけてくれたガタン爺さんと共に漁師をしていた男が拾い十歳まで育ててくれた。


でもその男は狩の途中で不意を突かれて狩ろうとした魔物に殺されてしまった。


男が殺され元々独り身だった男の家は俺の家になり今まで色んな人に助けられながら生きてきた。


俺の記憶はこの村のものしかない。


だからと言ってそのことに特に悲しみは覚えなかった。


俺を育ててくれた男、いやゾーズが死んだ時はものすごく悲しかったけどな。


色んなことがあったけど常に俺にはとても悩める重大な問題があった。


それは俺がミーナを好きなことだ。


初めてミーナに会った時にいわゆる一目惚れというものを俺はしてしまったんだ。


ミーナを知って行けば行くほどどんどん好きになっていってそれは今でも続いている。


でもきっと俺がミーナに告白しても断られるだろう。


誰かにこの話をすれば「なぜ?」と疑問には決して思わないだろう。


だってこんな子供の姿の男に告白されても冗談で承諾する人は居たとしても本気で承諾してくれる人は居ないだろう。


改めて考えてもやっぱりこのままじゃダメだな。


試しに提案してみるか。


「なぁミーナ」


「何?」


「俺さ今日で成人したじゃん?」


「ここに居るみんなそうでしょ?」


「まあそうなんだけどさ」


「俺って見た目が全然変わらないじゃん」


「うん」


「俺さ思うんだけど」


「何を?」


「この体、本当に全く何も変わらないから多分成長期が来てないっていうのじゃなくてもっと別に原因があると思うんだ」


「だから……」


「だから俺、体を年相応にできる方法がないかを探しに少しの間旅に出ようと思うんだ」


ミーナの表情は全く変わらなかった。


だがリットにはミーナが驚いているように見えた。


「ダメよ」


「え?」


「ダメ」


「何でだ!」


「もう成人したんだしさ」


「リットみたいに子供の見た目をした人が村を出てやっていけるとは思わない」


「そんな……」


「でも俺は鍛えてきた」


「そうね、でも戦ったことはないじゃない」


「もし、旅の途中で盗賊に襲われたりしたらその体で屈強な男性達に勝てると思う?」


「そんなことやってみないと……」


「勝てないわよ」


「たとえ何も起こらずにどこかの都市につけてもその見た目でやっていけるとは思えない」


リットはミーナに何も言い返せなかった。


リットは俯いた。


確かにミーナの言う通りだ。


俺は確かに体を鍛えてきた。


でもそれだけだ。


戦闘の訓練なんてしたこともなければ本気の殺し合いをしたことなんてもちろんない。


もし、俺が旅に出てどこかの都市についたとしてもそこから俺の見た目でやっていけるかそう問われると正直自信はない。


でも…。


俺は……。


諦められなさそうなリットを見てミーナはリットに問いかけた。


「何でそんなに年相応の体になりたいの?」


「え…それは」


ミーナに釣り合う男になりたいなんて言えないし。


リットは少しの間考えた。


「伴侶が…」


「え?」


「伴侶が欲しいからだ」


「は?」


「そんなことでリスクの高い旅に出ようとしているの?」


「そうだ!!」


「何が悪い!」


「この体じゃ伴侶になってくれる人なんて出てこないだろ!!」


「そうかな、リットならそのままでも伴侶はできると思うけど」


「そんなことあるわけないだろ」


リットは自分で言っていてどんどん気分を落としていた。


「リット、とにかくそれが理由なら旅に出なくていいわ」


「でも!」


「だって、リットは私の旦那になるんだから」


「へ?」


リットは全く予想をしていなかった言葉に驚きフリーズした。


「な、何でそんな話に」


「リット覚えないの?」


「え?」


私たちが出会って一年ぐらい経った頃。


一緒におままごとをするための小道具をリットが作ってくれていた時。


「ねぇ〜リット」


「何?」


「私ね〜リットのこと大好き」


リットは小道具を作る手を止めずに「えへへ」っと照れ「僕も大好きだよ」っと返した。


「ふ〜ん」


「じゃあつまり私達、相思相愛ってことね」


「まあ、そうだね」


「じゃあさリット、大人になったら私達夫婦になろうよ私の旦那さんがリットでリットの奥さんが私〜」


「どう?」


「そうだね、そうしよう」


「って話をしたでしょ?」


「うん」


「確かにした」


「確かにしたけどさ」


あんな子供の時の話を本気だと思わないじゃん。


それもあんな、なんかゆるい感じじゃさ。


でもずっと同じ姿だったのに心変わりしないでずっと好きでいてくれたのか。


もう…どんだけだよ!!!!


めっちゃ好きだ!!!!!!!


「ほ、本当に俺でいいのか?」


「一生この姿かもしれないんだぞ」


「うん」


「リットがいいの」


「そ、そうか」


「じゃあこれで旅に出る理由は無くなったわよね?」


「ああそうだな」


「ちょっとトイレ行ってくるからこれテーブルに乗っけといてくれ」


「わかった」


リットは皿をミーナに渡すと急ぎ足で広場を離れた。


リットが急ぎ足で歩いている所に一人の男が近づいて来た。


「おいリット、お前もトイレか?」


そう言ってきた男はリットの友人の一人であるハットンだった。


「ああそうだよ」


「じゃあ俺もトイレ、行くし同じ所でしようぜ」


「え〜〜ヤダよ」


「まあまあ、そんなこと言うなよ」


結局リットは途中で会ったハットンに押し切られ一緒に用を足しに行った。


「此処でいいだろう」


「わざわざ公衆トイレに行くのめんどくさいからな」


二人は一番近くの茂みに着くとズボンを脱ぎ用を足しに行った。


「いや〜それにしても成人になった実感わかねぇな」


「それもそうだろうよ」


「成人になったからって案外出来ることなんてほんの少しだ

昔ミーナの親父さんがそう言ってたからきっとそうなんだろ」


「それにそんなこと言ったら俺なんてそのほんの少しのことすらミーナに止められるからな」


「そりゃ全然実感わかねぇわな」


「ふ〜〜」


二人は同じような声を出すとズボンを挙げ広場に戻ろうとした。


しかしズボンを上げる時、リットは見てしまったのだ。


何処かで聞いたことがある。


ある村で幼い頃から仲の良い男女がいた。


二人は成人になりお互いに愛し合っていたこともあり結婚した。


しかし一年後、女は男の前から姿を消したという。


男は急に居なくなったことを疑問に思ったそうだ。


だって二人は此処まで仲睦まじく暮らしていたのだから。


男は妻が何かの事件に巻き込まれたのではないかと妻を探したそうだ。


男が様々な手段を使って妻を探し二年後、男は妻を見つけた。


しかし妻はすでに別の男とともに子を成していた。


男は妻が一人の所を狙い妻に詰め寄り理由を聞いた。


妻が話した話は複雑なことなどではなかった。


妻は旦那との夜の営みに不満を持っていたらしい。


旦那のアソコが小さかったから。


そんな不満を抱いていたものの男のことは愛していたらしい。


しかしある時、村の近くに出た魔物を討伐するために来た冒険者と知り合い一回だけと言う冒険者の言葉を了承してしまい行為に至ってしまったらしい。


冒険者との行為は旦那の行為とは比べ物にはならなかった。 


冒険者の討伐は少し時間が掛かるもので一度だけという約束は容易く破られたという。


冒険者の討伐が終わり、もはや男の妻はその冒険者なしでは居られなくなっており冒険者の提案に乗り村を出たという。


男はその話を聞いて怒り狂い妻を殺し、妻を奪った冒険者も類をついて殺し最後には男は自殺したらしい。


つまりリットが見てしまったのはハットンのアソコであり、なぜリットがこんな話を思い出したかというとリットは重大な事実を思い出したのだ。


自身の体は五、六歳で止まっている。


それはもちろん男のアソコも。


不味い、不味い、不味い!


もし、もし、俺がミーレと結婚出来たとしてだ。


夜の営みを満足に出来るとは思えない。


結婚半年で 破局。


不味〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!


友人は驚きの表情を浮かべながら「どうした」っとリットに問いかけた。


「ごめん!!!」


「俺、ちょっとミーレの所に行くわ」


「え?」


「いきなりどうした?」


リットは友人の問いかけを返さないまま「ありがとう!!お前のおかげで気づけた」っと言ってその場から離れていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ