遭難12日目〜
「おはよ〜」
「おはようございます」
暗くなったら寝て、明るくなったら起きるという健康的?な生活をしている二人は日の出とともに活動を開始する。
「早速昨日仕掛けた罠を調べにいこう」
「そうですね。たくさん取れているといいのですが・・・」
「昨日はうまくいきすぎたからあまり期待しないでいこうか」
そうして罠を調べ終えた二人は計5匹の魚を手に入れることができた。
「こんなにうまくいくことなんてあるんだねえほんとに」
「この島は魚がたくさんいるのかもしれないですね」
「だとしたら有難いことだねえ。今日は貝や野草もとって魚は2匹ほど干物にしてみようか」
「この間の貝の干物もうまく行ったようですし魚でもできそうですね」
「干物にする作業はミーアさんに任せてもいいかな?俺は拠点の床を木にしてみようと思うんだ」
「はい。干物は任せてください。確かに床が土のままだと衛生面が良くないかもしれませんね」
「もうこの生活も結構経ったから地面で寝ることに抵抗はなくなってきたんだけどねえ。生活の質を上げるためにはそういうところを改善していかないとね」
「干物の作業はすぐ終わると思いますのでそれが終わったら私もお手伝いします。気を使えば木を加工するのも楽だと思いますし」
二人は魚の他に貝や野草を集め終えて各々の作業を開始する。
床は地面にそのまま設置するのではなく少し浮かせることで床下空間を作り虫などが拠点に入りにくいような構造にすることにした。
さらに拠点内でで焚き火ができるように一部あえて床を作らない場所も設ける。
拠点の構成に悩んだトーマは思い切って現在ある拠点を拡張してしまうことにした。
今まで使っていた部分は床を設けて小上がりのようにし、拡張する部分は焚き火を行う空間やさらには竈門を作ったりして調理や作業スペースにしたい。
「これは1日じゃできないなあ。竈門なんかも作ってみたいから粘土が欲しいね」
「沢の近くに粘土が剥き出しになったような場所がありませんでしたか?」
「本当?それならそこの土を使ってみようか。竈門ができたら土器なんかも作ってみたいなあ。魚や野草を煮たりして食べることができるようになるし」
「いいですね。一気に家っぽくなる気がします!」
「今日は拡張する部分と床の木材集めをしようか。材料がある程度集まった段階で床を作って、床ができたらその後拡張する部分の建築をしよう」
「わかりました。では早速森で良さそうな木やツルを探しましょう」
それからというものせっせと拠点の増築作業を行い全部が完了するまで7日程かかってしまった。
材料集めに1日、床を作るのに1日、増築部分を建築するのに1日、竈門の作成に4日といった具合だ。竈門の作成に時間がかかっているのは粘土を乾燥させる時間が必要だったからだ。
もちろんこの作業中は二人ともできるだけ気を扱うように心がけた。その結果ミーアはともかくトーマもそれなりに気を扱うことができるようになったのは嬉しい副産物だった。
「できたー!」
「できましたねー!」
二人は出来上がった拠点を眺めて達成感からバンザイをして喜び合った。
床は大きめの石を基礎にしてその上に木を組んでツルで固定して作成した。
増築部分は今までの拠点と同じ三角屋根形だと竈門からの火で火事になってしまうことが危惧されたため普通の小屋のような形にして天井を少し高くした。
竈門に関しては良くわからなかったので二通り作ってみることにした。
片方は粘土に水を混ぜながら練り上げ、ドーム型に成形してから3日ほど乾燥させて最後は薪で一気に焼き上げたもの。
もう片方は石を積み上げて粘土で隙間を埋めてこれまた薪で焼き上げたものだ。
結果的にはどちらも成功したが石を使った竈門の方が作るのが楽だったし見た目的にも頑丈そうだ。
粘土のみで作った方は熱がこもりやすそうなので何に使うかわからないが高温調理などに向いていそうだ。
さらに竈門を乾燥させている間にあらゆる土器の制作を試みた。鍋にコップに皿、ものを保管できるような小さめの入れ物等を各種数セットだ。コップや皿は木でも作れるため需要はそこまで無かったが作っているうちに楽しくなってしまいついつい勢いで作ってしまった。これから完成した竈門で土器を焼いていく予定だ。
「いやぁ、一気に生活感が増した感じがするよねえ」
「そうですねえ。鍋がうまく作れたら早く料理がしたいです!かなりレパートリーが増えると思います!」
「ただ焼いたものを食べるだけじゃなくなるのは本当に嬉しいなあ」
「最初はすごく美味しく感じていたのですが流石に同じものばかり食べていると飽きが来てしまいますよね」
「ということで早速土器を焼いていってみよう!」
結果的に土器は乾燥時にひび割れてしまったものや焼きの時に割れてしまったものなど半分ほどがボツになってしまったが、もう半分は想像以上にしっかりしたものが出来上がった。うまくいった土器は叩くと粘土とは思えないような高い音が鳴る。
鍋が出来上がったその日の夕飯は早速魚介類と野草を煮詰めたスープのようなものを作ってみた。
これまた粘土で作った皿に取り分け、木で作ったスプーンで食べる。
「うまいっ!魚介類をふんだんに入れているからか出汁が出てるね!」
「美味しいです!野草も入れているから風味もあっていいですね!」
「あぁ〜疲れた体に染み渡るねえ・・・」
「はい。暖かいのでなんだか安心します」
こうして無人島に漂着した二人はさらに人間的な生活を手にすることに成功した。




