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エピローグ
旅をする、少女と少年がいた。
空を舞う小鳥のように自由な彼らは、遠く離れた地の唄を人々に聴かせ、歩き続ける。街角で、村の広場で、そして大きなサーカスで。美しい旋律を奏で、多くの人々の心を動かし、やがて太陽の昇る方角へ去っていく。言葉は、誰も見たことのないお伽噺を綴り、彼らの煌めく記憶を語り、遠い地の人々の暮らしを届け、響いていく。
時に涙を誘い、心に訴えかけ、最後には、聞き入る誰しもが幸福に微笑む唄は、今日も空高く舞い上がる。
二人の物語はやがて多くの人々に語り継がれ、唄になり、海を越えた遠い遠い地の果てまで、響いていった。ナツとシノの物語は、永遠を生きながら、命を輝かせる。人々の美しい思い出となる二人は、寄り添い、手をつないで、生きていく。美しい命の物語を、二人は紡いでいく。