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センスの塊
カーン。カーン。
空しい音が鳴り響いている。
今の私の心にぴったりの音だ。
ここにもない。ここでもない。
どこまで掘ったら見つかるんだ!
他の連中はとっくに自分の欲しいセンスの塊を掘り出している。
画家のセンス、音楽家のセンス、料理人のセンス。
あぁ、実に素晴らしいセンスだ。
だけど私が欲しいのはそんなセンスの塊じゃない。
私が欲しいセンス。
それは──あぁ、くそ、またこれか!小説家のセンス!
これで何個目だと思ってる!?
これじゃないんだよ!
センスの塊は大雑把な枠組みもあれば、とがったセンスの塊もある。
私が欲しいのはそれなんだ。
小説家のセンスの塊も近いが、私はもっと尖ったセンスが欲しいんだ。
あぁ、いつになったら見つかるんだろうか。
400文字以内の超絶面白いショートショートを一回で書き上げられるセンスの塊。
いつか見つかる日を夢見て、私は今日も掘り続ける。




