表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
51/58

不思議の辺獄のベリアル

「ステータスオープン」


 ベリアルが呟くと視界の中に四角いウインドウが開いた。


「やだ、私のレベル低すぎ」


 レベルの文字の横には『10』と表示されている。


「他のステはFばっかりだ」


 レベルの下には体、力、速、魔、運という項目が並んでいる。

 運を除いた四つの項目の横には「F」が記されていた。


 Lv:10

 体:F

 力:F

 速:F

 魔:F

 運:A


 ベリアルは口に手を当てて落胆した。


「運だけAランク……。まだ、続きがあるな」


 そう認識すると、窓の中の表記が変わった。


「うお、これは」


 視界を埋め尽くす文字と数字に圧倒された。


「視力、聴力、体重……」


 馴染み深い項目もあれば、見たこともないアルファベットの羅列もある。

 数値が黄色になっている項目も幾つかあった。


「うわ、私の尿酸値高すぎ」


 ベリアルは口に手を当てて驚いている。

 そして、窓の右下に表示されている「2/29」という数字に気付いて眉をひそめた。


「健康診断より詳しいじゃん」


 食事を摂る度に、


『ベリアルは尿酸値が上がった』


 そんな通知がされるのではないかと、一抹の不安を感じつつ、ベリアルはページを送った。


「なんか特別なスキルは付与されてないのかな?」


 最終ページにスキルと書かれた項目を見つけた。


 スキル:なし


「チートスキルなしかよ……ケチ」


 悪態をついて窓を閉じた。


「さてと、ここはどこなんだろう」


 空がある。

 青い空。

 さっきまで薄暗く湿った部屋にいたはずなのに。

 爽やかな風がベリアルを撫でた。

 金色の髪が美しく流れる。


「銀髪じゃなかったっけ?」


 ベリアルは両腕を広げる。

 バラバラに切断されたはずなのに、今は体がある。

 体形からして思春期の有機生命体のようだった。

 白いワンピースから、腕が二本。足も二本生えている。

 ベリアルは指で顔を弄った。


「目は二つあるな。鼻と口、耳は二つ」


 それから、胸と股間に手を伸ばす。


「女か。私は誰なんだ?」


 周囲を見渡したけれど、顔を映すようなものは何もない。

 そして、奇妙なことに気がついた。


「影がない」


 空を見上げる。

 白い雲が浮かんでいた。


「太陽は三つある」


 キョロキョロとあたりを見渡す。


「おかしくはないか……あれ?」


 ベリアルは混乱した。


「いや太陽は一つだろ。なんで今、三つあってもおかしくないと思ったんだ?」


 腕組みして深く思索を巡らせる。


「これは異世界転生?」


 地下室にいて、小さな人形が四人を襲ったことは覚えている。

 先ほどから辺りを観察しているのだけれど、あるのはどこまでも続く草原ばかりで、誰もいない。


「マモルやアンナもこっちに来ているのかな?」


 あれこれ考えるのだが、いかんせん情報がない。

 散々考えて、そのうちに眠くなってきた。


 ピコン。


 という耳慣れない音がして、ベリアルは顔を上げた。

 視界の中に、封筒のアイコンが浮かんでいた。


「オープン」


 と口に出すと、短いメッセージが表示された。


『女神の庭で待つ。アンナ』


「庭ってどこだよ!」


 と思わず突っ込んだベリアルだったが、視界の右上に【アンナに会え】という文字が出現したことに気がついた。

 そして、足元には影の代わりに大きな矢印。


「この先にあるってことか」


 ベリアルは一歩を踏み出そうとした。

 しかし、足が動かない。


「え、え? どうなってんの?」


 前に行きたい気持ちはある。

 しかし、体が思うように動かない。

 混乱するベリアルの視界に新しい文字列が表示された。


 W:右手

 A:左手

 S;左足

 D:右足


「げ、まさか」


 ベリアルは試しに『W』と念じてみた。


「右手が動く」


 次に『S』

 今度は左足が前に。


「うわっと」


 念じすぎて左足が前に行き過ぎた。

 ベリアルは妙な格好のまま地面に倒れ込む。


「クソゲーだ!」


 その場でジタバタと回転しながら、ベリアルは叫んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ