第41話 リアルがこんななのに物語で楽しそうに集まっているのを書いていると、何となくキャラに負けた気分がするご時世
「ただいまー」
ギルドからネウレアの家に帰ってきた。
「今日も疲れたなぁ!」
パリスはまだ元気そうだな。
ブライバスはリビングの荷物を持つ。
「ネウレア、荷物を仮で置かせてもらったけど、どこに置けば良い?」
「邪魔にならない所に置いといて」
「う、うむ」
ネウレアは適当にあしらい、奥に行く。
魔族が苦手なのだろうか?
「エリトリナ、ちょっと遅くなったがご飯を作るか」
「そうだね。パリスはミカミやブライバスとなんとなく遊んでて」
「何となく遊んでてって……」
エリトリナは台所に行ってしまった。
というか、俺がブライバスと同等なのかよ。
「ねぁミカミ、邪魔にならない所って……」
ブライバスは荷物持ってウジウジしている。
まぁ、家主に冷たくされたからな。
「あ、とりあえず暖炉の隣なら大丈夫だと思う」
「わかった、ありがとね」
ブライバスが荷物を置いて、倒れ込むようにソファーに座る。
なかなか波乱だったようだ。
俺もソファに座って待っていると、エリトリナが晩御飯を盛り付けながら呼び掛けた。
「夕飯、できたよー」
◇
飯を食べて、寝る準備。
なのだが……
「ネウレアの部屋に、4人も入らない」
そう、ネウレアの寝ている部屋が狭く、布団は足りるが、スペースが足らないのだ。
またもや寝る場所の問題。
俺はとりあえず部屋に行くか。
すっかり慣れた、螺旋階段を上がって部屋に入る。
そして、灯りを点ける。
ベッドに座ると、ちょうど目の前にあった本棚に目がいった。
一つ一つ手に取ると、いろいろなジャンルの本があり、統一感は無い。
前にこの部屋の持ち主だった人は、何でも読む人だったのだろう。
そういえば、ネウレアの家族については聞いたことが無かったな。
どうせなら今度、聞いてみるか。
◇
「よし、そっちお願い」
「オッケー、これで……っと!」
次の日、朝から昨日できなかった分早く作業を始めていたところ、予定よりも早くギルドが復旧できた。
「予定より早く終わりましたね。さぁ、明日から受付は再開します、私の給料のために働くのですよ」
相変わらずの受付嬢だが、それでも再開を聞いた冒険者達は嬉しそうだ。
「終わったなぁ。パリス、エリトリナ帰るか」
「そうだな、今日は早く晩飯が食えそうだ」
パラパラと散っていく冒険者の中に紛れ、談笑しながら今日も帰っていると、偶然にもベルを見かけた。
「お、ベル。最近どうだ?」
「なんだ、ミカミ達か。いやぁ、ボチボチだ。魔族追い返した直後は忙しかったんだけど、今日1日は仕事が無くてねぇ」
暇だったため、なんとなく散歩をしていたそう。
「そうか、ギルドがそもそも壊れてたからな」
「あぁー、再開明日らしいもんなぁ。ピーサのヤツ、さっさとギルド始めてくれねぇと、儲けが無くなっちまうよ」
おそらくは、戦争が終わった直後は修理が殺到したが、ギルドが機能していないので、それからはに客足が途絶えたのだろう。
つまり、トントンくらいということだろう。
「そうだ、ミカミ達はネウレアの家に泊まっているんだよな」
「そうだけど」
「特別報酬きたら、ウチ来いよ。ちょうどさっき良い素材届いたんだ。ミカミの粗末なそれも強化できるぞ」
今、自分の商品を粗末と言ったぞ。
ネウレアの包丁といい、職人的にはそれ良いのか?
まぁ、確かに高くは無かったからなぁ。
売る時は自画自賛して勧めてきたけど。
考え込んでいると、特別報酬という言葉にエリトリナが反応する。
「特別報酬ねぇ。私、どうせなら観光行きたいなぁ」
「エリトリナ、観光と言ってもどこへ行きたいのだ?遠すぎたら、金がもたない気がするのだが……」
「うぅん、それは後々考えるとして。たまには羽伸ばしたいじゃん。ねぇブライバス!」
「わ、私?確かに観光行きたいけど、私どっちかというと今回は敵だったから、報酬は無いはずなんだけど……」
悩むブライバス。
侵略者側だったから金なんてもらえるはず無いからなぁ。
まだ依頼こなしてないので、俺達はまだ無報酬だった。
それに、なんとなくブライバスは金を持っているようにも見えない。
そういえば、ブライバスはアイスの代金払ったっけ?
……俺、知らね。
「うんうん、ネウレアちゃんはたぶん賛成してくれるから……どうでも良いけど、ミカミさんはどう思う?」
どうでも良いとか言われた。
「別に俺はどっちでも良いけど」
「じゃあ決まり! 早速プラン立てないとね!」
ルンルン気分になったエリトリナは、ネウレアの家まで全速力で走り帰って行った。
「大変だね。エリトリナ帰ったし、じゃあ私もこれで」
「おう、すまない」
ベルも手を振りながら、鍛冶屋の方へ帰って行った。
「さて、私達も帰るか。ネウレアも待ってるし」
次回もよろしく!




