第40話 ビフォーアフターみたいなことを小説でしてみたい俺がいる
ブライバスは泣きそうだ。
ただでさえ悲しいはずなのに、追い討ちするなよ。
いたたまれなくなったのか、パリスがこう切り出す。
「えっと、とりあえず詳しい話は私達が聞こう。街で最初に会ったのは私達だからな」
「えー冒険者の皆様、ブライバスさんの寝床が決まったので、それでは本日の作業の方をさっさとお願いします!」
「待て!まだ決まったわけでは……ブライバス、そんな目で見ないでくれ」
ブライバスの下宿、決定。
てか、居候が既に3人もいるのだ、もはや一人増えたところで問題は無いだろう。
「パリス、ブライバスの案内しといてくれ。荷物置かせたら、一緒にギルドに来て作業だからな」
「ミカミ、まさか私に丸投げするのか?」
「お前はしたじゃん」
「…………」
論破完了。
パリスはブライバスを家まで連れて行った。
俺達は昼を目前とし、ようやく作業に移る。
半壊していたので、まだ建て直しまでは時間がかかりそうだ。
ギルドは元々、レンガの様な物を組んでできていた。
おそらく、ゴーレムに蹴られたのだろう。
ギルドは西側を中心に被害を受けており、昨日はそこの崩れたレンガの撤去と、ギルド内の被害を受けた机や椅子などの修復がメインだった。
で、今日はそれの続きをする予定だったのだ。
黙々と作業をしていると、パリスとブライバスが戻りってきて、すぐに作業を手伝う。
それから一時間もしない内に昼休憩になった。
現場にはネウレアが、サンドイッチのようなものを作って持ってきてくれて、それをみんなで頂く。
「瓦礫の山がスッキリしてきたな。午後は組み直す作業に入れそうだ」
「早く直さないと、依頼が受けられないからね。……ミカミとパリス、それでこの魔族は何でいるの?」
ネウレアは、肩身が狭そうなブライバスを指す。
「ネウレア、昨日ぶり。実は……その、村を追い出されちゃってさぁ」
「そうなの。それは大変だね」
あれ? ネウレアの言い方が冷たい。
ブライバスは頭を掻きながら、
「戦いの責任取れってジジババに言われてさぁ。私もまさか追放とは思わなくて……」
それで、とりあえずここに来たということか。
いきなり追放とは、無慈悲すぎないか?
そんなことを話していると、受付が昼休憩終了を呼び掛ける。
「ほらほら昼は終わりです、働いてください! 働くだけなら、アリでさえできるのですよ!」
嫌味だなぁ。
そんなこんなで、瓦礫の運搬をしていき、レンガが片付いた。
ギルドのレンガを組み直す作業を入り、一階をほぼ完全に復元できた頃、作業が終わった。
「これは、明後日には再開できそうだね」
夕日に染まる街で、ギルドを眺めながら、ネウレアが呟く。
「そうだな。再開したらジャンジャンこなすぞ、ここ数日は収入がほとんど無いからな」
「ミカミはいつになったら、独り暮らしできるのだろうな」
別に憧れてはいないが……
「パリス、いっそこのままでも良いんじゃない? みんなでワイワイしていた方が楽しいって言ってたじゃん」
「いや、それエリトリナが昨日言ってたことなのでは?」
「パリスは素直じゃないなぁ」
「ツンデレみたいに言うな!」
どんなに暗く長い夜も、いつかは明るい朝が来る。
浜に打ち付ける波も、やがては引くのだ。
人々は長い歴史の中で、命を紡ぎ、繰り返してきた。
彼らもまた、その一員である。
三上達の冒険は――これからだ!
「っておい! 打ち切りになったマンガの最終回みたいなモノローグ出てるぞ!」
「えぇ、まだ40話なのに!? 聞いてないよ~!」
「ねぇミカミ! 私、さっきの最後の一言的なとこに居なかったんだけど! もしかして、私ここでも追放されてる!?」
「終わる終わる詐欺が、もはや限界に近いようだな……」
いや、してない。一回も終わるとか言ってない。
「もしかしたら、限界が来ちゃったのかもね。書いてるのだいたい深夜だし」
「メタ発言やめろ! 執筆深夜勢なのは本人のせいだ!」
夕日が落ちて夜になった。
ギルドの前で仁王立ちさせられた挙げ句、夜まで放置という展開である。
「あぁもう、付き合ってられない。帰るぞ!」
工具入りのバッグを背負う。
そして、パリスやエリトリナが足早に去る中、なぜかネウレアは一人、ギルド前に残っている。
そして、思い付いたようにネウレアは口を開いた。
「続くんだね」
続くのだよ。
次回もよろしく!




