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第30話 合鍵は大切に

「……まさかミカミに拘束されるとはね」


 ネウレアを探そうとしたアメスを勝手に拝借していた手錠で椅子に繋ぎ止める。


「安心しろ。合鍵は持っている」


「手錠の合鍵ってパワーワードだね。そういえば、ボクも防衛戦に参加した方が良いかな? 説明は一緒に聞いていたし」


 アメスを参加させるのか。

 確かにコイツはヤンデレに刺されるのを好むという破格の狂人。(人ではないが)

 だが、見る限りはそれなりに強力な魔法を使えるようだ。

 即ち、俺よりも戦力になる。


 謎の敗北感があるが、戦えるのならまぁ来てもらっても良いかな。


「まぁ来たいなら来ても良いけど、援護できない。勝手にやってくれ」


「どうも。それじゃあボクはこれで……手錠外してくれない?」


 帰ろうとしたのかそれともネウレアを探そうとしたのかはわからないが、アメスが自分に付けられた手錠をこちらに見せつける。


 外せってか?


「お前、ネウレアだったら喜んでいたろ?」


「ヤンデレに付けられたら万々歳だよ! でも男に付けられるとか……もしかしてミカミってそんな性癖があるのかなぁ?」


 アメスがニヤァ。

 お前、さっきの格好いい顔はどうした。

 ここまで来ると顔面崩壊だぞ。


「はいはい、家から出たら外してやるから。椅子ごと玄関な」


 ◇


 椅子付きアメスを玄関の外で放置した次の日の朝。

 俺が起きた頃には、パリスがアメスに気付き手錠を外して追い払ったようだ。


「おはよう。ミカミ、朝ごはん置いてあるから」


「あぁ、ありがとう。……お前ら俺が起きるまで待ってくれないんだな」


 コーヒーをすすりながら、この世界の新聞を読む。


 予想通り、俺達の街のことが載っていた。

 今日魔族が襲来することや、それに対して都から兵士を派遣するのが難しいこと。


 また、編集者による見解なども掲載されている。

 新聞の役割自体は日本とあまり変わらないようだ。


 俺を呼ぶ声が聞こえたので新聞を畳むと、机の反対側にいるネウレアと目が合う。


「ミカミ、はい」


 ネウレアは俺に膨らんだ袋状の物を渡してきた。


「これ、御守りだから。みんなにも渡してある」


 それだけ言って、いつもの様にスタスタと歩き去って行った。

 ネウレアの御守りか。

 別の意味でご利益がありそうだが、ありがたく受けとっ……


「あ、ミカミさん。ネウレアちゃんからもらったんだね。……中身は見ないほうが良いよ、そもそも罰当りだし」


 気遣いはありがたいが、言うのが遅い。

 御守りから髪の毛がはみ出ているんですけど。

 おまもりというかおまもりというか……


「食べたか。ギルドではもう既に魔族対策の会議が始まっている頃だ。荷物持って行くぞ」


 ◇


 太陽が地平線へと沈み、空が暗くなり始めている。


 昨日同様、街の入り口付近に重装備の前衛が前方へ、そして彼らの数十メートルほど後ろで杖を構えている魔法使いなどといった、町中の冒険者がこれから襲来する魔族を待ち構える。

 木々一つ無い草原には風が吹き、彼らの髪やローブを揺らすのであった。


 俺の隣にパリスがいて、後ろにはアメスとエリトリナ。

 ブライバスが女性だったのもあり、魔族が男ばかりだとは限らない。

 更に向こうの目標がネウレアであるため、ネウレアは無理を言って避難させた。


「ミカミ」


 パリスは予兆なく、俺を呼ぶ。


「なんだ? 準備はできているし、ネウレアは避難させたぞ」


「いや、何も無い」


 気になるわ。何も無いなら呼ぶなよ。

 しかし、内容を問いただす暇もない。


「来たぞぉ!」


 街の正面から飛来する四つの黒い影。

 それと草原を土煙を上げて走り込むたくさんの牙の長いイノシシのような動物と、馬に乗った骨の騎士。


 そして、彼らは冒険者と向かい合う。

 一つの影がこちらに近付き、地に降りたった後、一礼する。

 顔を上げた魔族はブライバスだった。


「やぁ人間の皆様ごきげんよう。君たちが言うに、私たちは魔族というものだ」


 そして、部下がブライバスに鎌を手渡す。

 ブライバスは、それを天高く上げ声を高らかに


「人間よ、昨日は部下が道に迷って申し訳無かった。それと、歩かせてたのが不満とか言っていたから、ここの近くに来てからは部下に空を飛ばせた。これをお詫びとさせて頂こう!」


 そういうの言わなくて良いからよ。


「昨日、私と会った者よ。いろいろなことを詫びるが、今日は互いに敵同士。何かあっても悪く思うな」


 ブライバスが合図をすると、骨の騎手が法螺貝のようなものを吹き、開戦を示した。

次回もよろしく!


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