第12話 「ノア再び」
眠れぬ?夜を怯えて過ごし頭を抱えて一歩も動けなかった
殺されるのに逃げなかったの?
逃げた所でこの姿では発見され次第殺されるに決まってる
ノアは俺に対する警戒を緩めてくれたが他はそんなに甘くないだろう
ただ怯えるだけでは発狂しかねなかったので無駄な事とは思いつつも身支度を整えた
汚れた衣服を洗い体を清める
どうせ殺されるのなら最後位は身綺麗にしておきたかった
衣服を乾かしている間、手持ちぶさたになり死の恐怖が再び襲ってきたので
仕方なく部屋の掃除に時間を費やす事にした
幸いこの廃屋は住人が夜逃げしたかの如く生活用品が揃っていた
隈無く物色すると掃除道具とバケツ…というより桶を見つけたので
家具や天張りの埃を払い床を水洗いした
それでも時間を持て余したので庭?の草むしりと食器等を洗うなどして時間を潰した
気付けばもう朝日が昇り始めていた
(あぁ…短かったけど俺の転生人生?も今日で終わりだな…今度転生出来るとしたらチート満載の美男子主人公でお願いします)
と、誰に対してお願いしてるのかも分からない様な現実逃避をしていた
「…さぁ~ん、カズヤさぁ~ん!」
呼ばれた気がしてふと声の主を探すと昨日のノアが手を振りながら近づいてきている
(そうか…もう終わりか…)
死を前に覚悟を決め…られずにフラフラと廃屋に戻る
いくらゾンビでも殺されるのが確定で心穏やかにとはいかない
本当の?ゾンビなら考える事もないだろうからいっそ楽に死ねたのにな…
ともうどうでも言い事を思いつつソファーに腰掛けた
「カズヤさんっ‼もう‼呼んだのに返事もしてくれないんだからっ‼」
直した玄関のドアを勢い良く開け放って俺の死神、ノアは明るく微笑んだ
 




