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第九話 引継ぎ書

そろそろ登場人物の名前を考えないと…。


金たらいを落とす、お約束をしてやったが、”瞬間処理”と言うのをデータシートに追加してあったので、問題は無い。

”瞬間処理”は、保存データを複製、紙出力、還元を一括で行い、任意時間で破棄できるようにしたものだ。

”瞬間処理”には、いくつかバリエーションを作ってある。状況に応じて使い分けが必要だから。

あ、”破棄”だが、俺が特殊能力を使った”結果”を消すものだ。

今回は、金たらいが降ってきて頭に落ちた事実が残り、アホは痛みを感じてるが、落ちてきた金たらいは消えて無くなっている。

派手に落ちたから、アホの頭にたんこぶ出来てるな。漫画みたいなやつ。

…あ、萎んだ。ナニコレ、切り餅焼いた時みたい。膨らんだと思ったら、萎む感じだ。

魔法で治したのか?情報が無いから、良く分からん。魔法陣のデーターシートの情報や白髪頭の説明は、魔法の概要だったからな。屑王を父上と呼んでいたから、王子だろう。治療用の魔道具とかを持っている可能性もある。魔法の薬とかな。まあ、どうでもいいや。

しかし、地球とかなり違うな。こんな環境に適応するのは、どう考えても危険だぞ!


紙 「おい!屑王。こいつは何だ?お前を父上とか抜かしたが…。白髪頭、ここの連中に説明したんじゃねーのかよ?俺のことを賊とか言いやがったが、賊は、てめーらだよなぁ?人攫いの屑ども。」


白髪頭 「勇者殿、申し訳ありません。兵士たちに指示は出していたのですが、その御方は…。」


白髪頭が困惑した表情で、アホを見ている。


屑王 「勇者殿、申し訳ない。貴殿に無礼を働いたのは、我が愚息だ。人質で他国にいたのだが、我の病と魔族対応で戻ってきたのだ。」


紙 「あっそ。だが、そこのアホのおかげで、お前らが卑怯者の屑なのもハッキリした。俺は、丸腰で話していただけだぜ。それをいきなり賊呼ばわりされ、無礼者扱い。しかも殺そうとした。これでも、頼み事するのかよ?聞くわけねーだろ。まあいい。屑女!このアホを殺せ。こいつの剣を使ってな。それと、お前らが何と呼ぼうと勝手だが、俺は勇者じゃない。人攫いにあった被害者だ。」


屑女は、拒否しようとしているんだろう。ゆっくりと泣きながら、アホに近づいていく。

隷属状態だから従うしかないが、こういった感情は現れるのか。魔道具の従順機能も絶対と言うわけでは無さそうだな。

データシートによれば、メソポ王国の王族は、魔法適性が高く、魔力も多い。それに、魔法攻撃などの耐性も高いので、魔道具の力に、ある程度抵抗できるのかもしれない。

俺以外の召喚勇者は武器を持っていたのと、この世界の者より能力が高いから、隷属の魔道具も効果が無かったのかもな。この辺の情報は無いから、推測だが。


女 「勇者様、お待ちください!兄上は、勇者召喚が行われたことを知らなかったのです。お許しください!!」


紙 「馬鹿言うな。問答無用で、俺を殺そうとしたんだ。返り討ちにあうのも覚悟の上だろう?許す理由が無い。屑女!さっさと殺れ!」


そう命令すると、屑女はアホの剣を抜き、上段に構えた。

命令に抵抗しているんだろう。ブルブルしているが、当たれば切れなくても骨折するだろう。

別に一撃で死ななくても良いしね。

屑女に殺させるのは、罪の重さを認識させる為だ。無責任な奴は、基本的に自分勝手だからな。

責任を取らせるべき時は、逡巡してはいけない。


屑女が覚悟を決めたのか、泣きながら剣を振り下ろした。

その瞬間に、それは突然現れた。


? 『こ・・・。』


靄のような何かが現れた瞬間、屑女が振り下ろした剣は粉々になったが、こういった状況も想定していたので、自動で紙変換、データ保存、格納の”瞬間処理”が発動し、データ化した。

何か言おうとしていたようだが、特撮や漫画じゃあるまいし、相手に合わせて待つようなことはしないよ。馬鹿らしい。


紙 「何か出たなあ。剣が粉々になったが、お前ら何かやったか?答えろ!」


データシート改変で隷属したが、俺に対して服従と攻撃禁止だけだからな。俺以外への干渉は可能だ。魔法がある世界だ、俺の分からんようなことが出来そうだし。

時間を稼いで、お面にデータを確認して貰おう。


紙 『お面よ。今保存したデータを最優先でチェックしてくれ。屑どもより問題がありそうだ。』


お面 『わかりやした。』


お面がチェックするまで、時間稼ぎだ。


紙 「白服ども、お前ら何かやったか?てめーらは、俺に反抗したもんなぁ。ここに来た、理由も聞かずによぉ~。怪しいなぁ。答えろ!」


白服Aは、気絶している。白髪頭は、思い切り殴ったが、急所を狙わなかったようだ。まあ、殺せと命令していないからな。やはり、飛び跳ねたのも魔法の受け身か何かだろう。

さて、なんて答えるかな?


白服B 「私は何もしておりません。勇者様と知らず、無礼な発言を致しました。お許しください。」


土下座で震えながら、白服Bが答えた。

謝っても許さねーよ。


白服C 「わ、私も何もしておりません。本当です!信じてください。」


やはり土下座で答える。

気にしていなかったが、土下座するのは、歴代の召喚勇者が教えたのかな?どうでもいいけど。


紙 「屑の仲間だからなぁ~、信用できんな。まあいい。次に怪しいのは、屑王か。答えろ!」


屑王 「我は何もしておらん。会話は何とか可能だが、それ以外できる状態では無い。愚息が行おうとした行為は、許されないものだ。断罪されても仕方がない。我は、処刑するのを止めなかったであろう?」


まあな。俺にどう償うか、答えに窮していただけだろうがな。


紙 「ふ~ん。後は、女!てめーか?おい!ひっくり返った状態で、バタバタすんな!埃がたつ。質問に答えろ!」


女 「このような状態で、何ができるのです?私がしたのは、勇者様に兄上を許して欲しいと願っただけです。」


紙 「本当か~?俺にとって、ここは異世界だからな。俺に隠している変なことがあるんじゃねーのか?まあいい。次は白髪頭、答えろ!」


白髪頭 「私は、何もしておりません。」


紙 「じゃあ誰だよ?あの靄みてーなものを出したのは。白髪頭と一緒に地下に来た金髪!お前か?」


金髪 「私は何もしていません。勇者殿。」


紙 「全員で嘘ついてるんじゃねーのか?屑女!正直に答えろ!」


屑女 「私ではありません。命令以外は行動できません。靄の正体も不明です。」


紙 「全員とぼけてんのか?ああ、忘れてた。おい!アホ。お前何かしたか?」


アホ 「くっ、王子たる私がこのような。…しかし、貴殿は召喚勇者だったのか?賊などと言って、すまなかった。許してくれ。今は、緊急事態だ。私の処分は待って欲しい!お願いだ!魔族対応が終われば、この命、喜んで貴殿に差し出そう。頼む!」


命乞いするのかよ?厚かましいな。しかも質問に答えねーし。

召喚勇者だと分かって謝罪しているが、他国で人質だった影響あるのか?下等な異世界人とか言わないし。状況判断で謝罪してるのかもな。問答無用で、人を殺そうとする屑だし。


紙 『お面よ。データは、確認できたか?』


お面 『旦那。引継ぎ書を作成するのが良いと思いやす。』


紙 『あの靄の正体は?』


お面 『魔法陣のデータシートにあった”在るモノ”そのものでやす。』


紙 『何だと!”クリミナル”って奴か?』


お面 『そうでやす。特殊なエネルギー体で、自我を持ってやす。自我以外の力や存在を引き継がないとデータ化していても逃げやす。この世界での自由度は、旦那より大きいでやす。今は旦那の力で、何とか抑えてやすが、地球への影響を無くすには、旦那が引き継がないと不味いでやす。』


紙 『そうなのか?しかし、力なんかを引き継いで、俺は日本に帰れるのか?』


お面 『データシートの情報だと問題ありやせん。既に旦那の力は、”クリミナル”よりずっと大きいでやす。問題なのは、この世界での自由度の大きさですぜ。』


どうやら、俺は既に人外のようだな。嬉しくねぇ。

俺TUEEEEで無双とか要らないんだよ。俺は、小市民が良いんだよ。

平穏を返せよ!


…お面が嘘をついているとは思えないから、仕方が無いので引継ぎ書を作ることにした。

引継ぎ書は、保存したデータから必要な力なんかを俺に移すものだ。移す対象は、任意設定可能だ。


紙 『お面よ。引継ぐのは、自我以外全部か?』


お面 『そうでやす。”在るモノ”ってのは、エネルギー体の存在でやすからね。』


仕方がない、引継ぐか。引継ぎ書を作成し、表紙に手を置いて”自我以外全引継ぎ”と考えることで、”クリミナル”の存在を引き継いだ。

確認は、日本でやろう。

こっちの世界対応は後回しだ。懸案の存在を引き継いだから、仕方がない。物事には優先度ってのがある。


紙 『お面よ、引継ぎは終わった。内容の確認は、日本でやる。』


お面 『その方が良いでやす。旦那のおかげで、地球に影響無くなりやしたから。』


紙 『そうなのか?引き継いだ以外の要因は?』


お面 『データシートの情報だと無いでやす。』


紙 『分かった。詳細は、日本で確認だ。』


お面 『了解しやした。』


屑どもの対応は、後回しだ。日本に帰るとしよう。


紙 「はあ。全員知らぬ存ぜぬかよ。まあいい。お前らは、後で処分するから。俺は、一度自分の世界に帰る。残念だったな?俺は、他の召喚勇者と違って戻れるんだよ。断罪してやるから、首洗って待っとけ。」


そう言って、次元転移門で日本に戻った。(次元転移門は、俺以外通れない安心設定だ。)

戻れると言った時の屑どもの顔は、恐怖に怯えていたぞ。まあ、そりゃそうだろう。異世界を行き来できるんだ。仲間を連れて、屑どもの世界を蹂躙も出来るわけだからな。俺が心配したのと逆の立場になる。

静かに暮らすのが目的だから、そんなことはしないけど。地球の連中に、特殊能力がバレたりしたら、大問題になるのは明らかだ。研究材料などにされるのは御免だ!


…ふむ、日本の自宅にいるが、特に問題はなさそうだな。具合も悪くないし、見た目も人間のままだ。肌が青とか緑とか変色もしていないし、特撮物の怪人みたいにもなっていないから大丈夫そうだ。髪型が漫画にある特殊な形状にもなっていないから、ひと安心だ。アフロとか弁髪とかになったら大事だし。

しかし、人外になったか…。人間を辞めたつもりは無かったんだがなぁ。変な仮面とか被ってないしさ。

改造手術も受けてないし。

目立たないように気を付けないといかんな。

まいったね。



展開も考えないといけません。

どうしよう。


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