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生きてる限り手を止めるな
「ぁぁあぁああああああ!!」
がむしゃらに腕を振るう。ぐしゃり、肉を潰す感触。ばきゃり、骨を折る感触。べちゃり、撥ねた血が頬を濡らす。関係ない、腕を振るう。咆哮にも似た声が自然と口から出る。
「お”……ギ……もウ”やべ……」
倒れ伏した男の口からか細い懇願が耳に入る。降参とは言ってないし、まだ死んでもいない。足は潰れ、腕はひしゃげ、やぶけた胴からは内臓も見える。関係ない、腕を振るう。振るう。振るう。今はただ何も考えず、元の世界に帰るためなら何でもすると誓ったその言葉通りに。
「あ”……ぁ…………」
涙を流していた目がぐるりと上を向き、光が消える。ぐちゃぐちゃの肉塊になった物が死んだのだと理解し、腕を止める。
「……勝者、ノゾムゥゥゥ!! ひ弱な外見から想像もできない残虐プレェェェイ!! いったい誰がこのランクの試合でここまでのものが観られると予想できたかぁぁぁ!!」
騒々しい司会と耳が破けるかと思えるほどの歓声。熱くなる体とぐちゃぐちゃになった思考。血の、いや死の臭いが充満するリングの中で、僕はどうしてこんなことになったのかを思い出していた。




