第三十三審 神社参りの巻
3ヶ月も何をしていたのか、これがわからない(責任放棄)
目的地、つまり守矢神社は妖怪の山のそれも奥深くに立っていた。こんなところで参拝客も来るかどうかも怪しいレベルだ。博麗のほうもへき地だが、負けず劣らずの安い土地だろう。
「さて、やっとこさ着いたがどうするよ?博麗の巫女さんよ」
「当然話をつけるわ。相手が拒否するならこっちも武力を使う」
霊夢はきっぱりと言い放ち鳥居をくぐっていった。魔理沙と会釈してから自分も境内へ踏みこんだ。神社の基本的なつくりは変わらないものだ。外の世界の神社も、当然博麗神社もだ。祀っている神様によっての多少の差異があるというらしいが、一般人の自分にとっては見当もつかない。
「気を付けろ霊夢。今、誰かはわからないが社の中、障子の裏にいるぜ。間違いなくオレらがやってきたことをすでに知られている」
「教える手間が省けたわ。行くわよ」
「待てよ霊夢。今、この魔理沙がいい作戦を思いついたぜ」
「はー...一応聞いてあげるわよ...何?」
「茨戸も耳貸せ...まず...」
・
・
・
・
・
「...ほんとにやんのかよー。オレなら絶対に騙されないぜ...。こんな子供だまし...」
「いいからやれ!最悪時間稼ぎになるんだから」
「やってあげて茨戸。言い出したら聞かないんだから」
お前は保護者かとツッコむ気もそがれる。挙句、映姫様の写真を出され、お願いが半ば脅迫じみたものとなった。当然断ることもできず、いやいややることになった。
「よーし!このまま中に踏み込むのは危険だし、裏から回るぞー!(魔理沙め...いつか覚えとけよ...)」
「そうねー。もし誰かいたら私らが不利だものねー(あー今になって恥ずかしくなってきたわ...)」
「よっしゃ!じゃあ裏口に向かうぜ!(完璧だぜ!この作戦は!)」
つまり作戦というのは、この障子の裏にいる誰かを裏へどかそうというものだ。セリフを言い終わってすぐ社の階段横に身を隠した。
「どう...?動いた?」
「...そう簡単に動くわけが...ない...こともないみたいだぜ...。移動が速い...走ってるらしいな。どうやらお相手さん、ド天然のようだぜ...。かわいそうに」
「ほら~大成功だったろ!?ん~?どうだ少しは尊敬したか!?」
喜んでいいものか。いやこれでいいことにしよう。
「鍵もかけずに行ったようだ。本当に天然ちゃんかもしれんな」
「本当に戦う気があるのかしら?ミスが素人レベルね」
「とりあえず注意しながら見て回るか。私と霊夢は右に行くから、茨戸は逆な」
適当に相づちをうちながら部屋を一つ一つ確認して回る。人の気配は感じられないが見られている気がビンビンと感じられる。
「ここで終わりか...。後は裏口だが...行きたくない...。せめてカッコよく出ていくか」
何匹かネズミを生み出し、窓から外に逃がした。裏口の戸まで回り込ませ、戸に向かって石を投げてもらう。戸が鳴ったら誰か来たかなと思う。それが人ってものだ。
「...?変だな。今鳴った気がしたんだけど...ん~?警戒のしすぎかな?」
「警戒のしすぎ...ねえ...。そりゃあご苦労なことだな...」
「うわあああ!!お前は神社にいた男!いつの間に中に入った!?」
本当のことを言うと、この娘が傷つきそうだから少し捏造しようと思う。緑の髪の娘には優しくしてあげたくなるのだ。それに、始めて見たときも思ったが若い割になかなかの戦闘力だ。まだ若いがあの死神に匹敵するほどになれるかもしれない。
「ついさっきだよ。君がさっき扉を開けてくれたからな。ところで...君...1人かい?情報だと神様がいると聞いていたが...」
「目的はなんだ?私達の計画の阻止か?」
「質問を返してくれよ...。まあそう慌てるんじゃない。別にオレはケンカを売るために来たんじゃないぜ。(あと2人がどう思ってるかわからんが。)ちょっとここがどういうところなのか調べたいんだ。君はどこから来たんだ?」
年の割に(オレより歳は上だろうが)何かの決意をした目に見える。雁来に始めて会ったときのような感覚だ。やはりこの娘普通の巫女じゃないな。
「教える必要は無いです!早く出ていきなさい!さもないと...」
「意外と強情だな。まあ、答えても答えなくても少し大人しくしててもらうんだがな」
さっきのネズミを木に生み変えた。天井まで成長し床にも亀裂が入る。
「きゃぁあ!何?木?どこからこれが!?」
「オレの名は茨戸秀、能力は今見たみたいに生命を生み出す程度の能力。その能力で今お前を天井に貼り付けた。いつでも君を殺すことはできるが...個人的に君はかわいいと思ったんで少し猶予を与えたんだ。ほらリンゴでも食べなよ」
「花が咲いてもう実になった...」
「さてと、改めて君の自己紹介でもしてもらいたいな。うつ伏せになってるところ悪いが...。オレも自己紹介したんだぜ?君もそれぐらいはしてくれていいんじゃないのか?」
「こんな木の一本や二本!私が...くっ...折れないと...でも...思ったっ...かっ...」
見たところ枝を切って逃げようと奮闘しているようだが、力が足りないらしい。
「辛そうだが、大丈夫かい?手伝おうか。いや、助けはしないよ。応援するだけ」
一心不乱に力を込め、聞こうともしない。拷問にかけるようなことはあまり感じが良くないのだが。
落ち着くまで床にでも座っていようと思ったその時、ドゴォと凄まじい木の打ち付けられる音が響いた。内臓がシェイクされるような、血管が吹き出すような圧力だった。
「なんだなんだ!?ヘイ、ガール!お前の仕業か?...白目向くっつーことはそうではないってことか...」
他の誰かということは、椛ちゃんの言った「神」とやらの可能性は高い。だとすればあの2人が危ない。それじゃなくても家の中であんな音を出す奴が真人間なはずはない。
「霊夢、魔理沙!どこにいる!?無事か?」
「茨戸ォーッ!!!戸を開けろ!!外に出る!」
遠くで叫ぶ声が聞こえた。動きながら叫んでいるようだが。
「魔理沙!何なんださっきの音は!」
「後にしろ!手出すから掴め!」
ほうきで突っ込んできた魔理沙はそう叫んだ。目的を理解しすぐに手を伸ばしたが、あと少しで届かなかった。
「くっ...」
「茨戸ッ!!そうだ...許せ茨戸!」
つま先で胸に蹴りを入れられ、吹き飛んだ空中で首襟を捕まれた。
「グエッう...マリサテメェ...!」
「悪い...少しは加減したほうなんだぜ...」
外の空気を感じる間もなく地面に不時着した。大事な制服に穴が開いちまったぜ。制服ってどう直せばいいんだ。
「まだ首が変な感じだぜ...」
「それはもう謝っただろ?それよりも霊夢の傷を早く治すんだ」
「霊夢...?そういえばどこだ?」
「ああ、ほうきに乗せてきた。突然攻撃されたんだ。直撃は避けられたようだが、意識は失ってる」
大怪我ではないが木片が体に何本か突き刺さっている。治せる怪我でよかったが、もしこの女が死ねばこの世界はどうなるのか。興味もあり、恐ろしくもある。
「お前...攻撃されたって言ってたが...出たらしいな」
「私を追って出てくるはずだ。顔が見えた瞬間ぶっぱなしてやるぜ!」
すでに八卦炉を構えている魔理沙はいつにも増して男っぽく見えた。
「当然オレもそのつもりだ。霊夢が起きるまでは凌いでみせる」
スペカを内ポケットから取り出し身構える。いつも以上に生命探知を過敏に反応させ、未知の敵に備える。
「さっき会った女が1人...。別行動で早苗を捕らえていた男が1人...。もう1人は...意識なし...」
言いながら現れたのは紫をした髪をもつ女だった。
「あいつだっ!茨戸早く撃て!撃つんだ!」
「新スペカ!異議『ラスト・オブジェクション』!」
「恋符『マスタースパーク』!!」
「......なかなか鋭い攻撃だったじゃないか。やはり、こちらの人間は身の丈に合わない能力を持つ...」
敵はもう屋根の上に移動している。オレら2人が叩き込むより早く移れるスピード、それほどのスピードがあれば、たかが人間の命2つ、すぐにつみとれそうなものだが。
ポケットのナイフを取り出しそっと鳥に生まれかえした。こいつをこっそり飛ばして後ろから体当たりで突き刺せばこの場は一時的におさまる。だがそれはしない。女に刃を突き刺すことは自分のルールに反する。どんな形であれ体に傷をつけるのは紛れもない悪だからだ。
「魔理沙、お前は下がれ。いつでもマスタースパークが撃てるように待っているんだ。霊夢もついでに頼む」
「お前何する気だ?」
「アイツをおびき出す。側まで来たら全力で撃て。あの神様に対抗できそうなのはお前しかいないんだ。任せたぞ」
「何言ってんだ!あいては神だぞ!叶う道理はない、霊夢もこんな状態だ。一旦逃げて相手の出方を見ようぜ、な?」
「例えこのまま逃げてもいずれ追いつかれる。今3時前ってくらいか。季節は秋、もう日も長くない。時間をかければかけるほどこっちが不利になるぜ。霊夢飛び起こすくらいの勢いでいくぞ!」
「やむをえないか…。お前こそしくじるなよ!」
時間取れたので、次は早くあげます(バカの一つ覚え)




