00並びにプロローグ:はじめのいっぽ
踏み入れる。
暗転。
もしくは隣にいる。
「そういうものなのですよ」
なるほど、そういうものと言われたらそうなのだろう。そう答えるのが精一杯だった。
信じられるわけもない。信じたくもない。
それでも信じる他無かった。
「ですから、我らが、解決の標となっているのです」
一口食べたプリンは固い。じゃり、と音がして思わず顔を顰める。カラメル部分が砂のようだった。だった、ではないかもしれない。本当に砂かも。
「あ。今日ははずれ……いや失礼、失敗のようですね」
日替わりのデザートらしいそれは、当たりもあれば外れもあるとは聞いていたが。
「さっさと食べ終えて、行きましょう」
彼女はもうラテを飲み終えたらしい。こんな状況で食欲があるかと聞かれては無かった。あるわけがない。こんなの。
「お会計を」
薄緑色の髪がゆれる。ぱっつりと平行に切られた長髪。
「ありがとう、チップです。十分ですか?」
俺は顔を上げられなかった。
もう、散々だった。
「そうですか。では、着いてきてください」
ぐいと腕を引かれるままに立ち上がる。プリンはまだ三口しか食べられていなかった。
「次行く場所は、無人で安全ですよ」
そこできちんとお話しましょう。そう続けられた。
赤い目が髪の狭間から見える。
扉を開けば、また、落ちる。




