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乂阿戦記1 第ニ章- 青のHERO狗鬼漢児と戦神ベルト アーレスタロス-1 悪の秘密結社ドアダ

世界は、再び狂い始める──


第二章は「青の変身ヒーロー」狗鬼漢児の物語が本格始動!

父との邂逅、妹の魔法少女覚醒、そして地球を襲う邪神ドアダの陰謀……。


“熱血”と“闇”が交錯する、青き勇者の物語をお楽しみください。


(^^) ブックマークをお願いいたします!

読みやすくなりますよ❤︎



第ニ章- 青のHERO狗鬼漢児と戦神ベルト アーレスタロス


空間が悲鳴を上げた。理が逆巻き、重力が裂ける。

深淵から這い戻る黒き影――邪神ナイアルラトホテップ。

その神格の帰還は、基地中に“沈黙”という名の恐怖をもたらした。



《ドアダ》。

それは、地球から遥か彼方、異星の荒廃した一角に築かれた、恐怖と陰謀の牙城。

怪人を造る。人を改造し、魂を蝕み、世界を捻じ曲げる。

そのすべてはただ一つ、「世界征服」という目的のために。


「ナイア様、お帰りなさいマセ──」

出迎えたのは、戦闘アンドロイド《イブ》。一見無機質な美貌に人間らしさの欠片が垣間見える、精緻な造形美の機械の乙女。


「ああ、ご苦労。……神羅を頼む」

ナイアは腕に抱えた少女を見下ろし、面倒げに命じる。


「了解、運びマス」

無機質な声と共に、イブは神羅を静かに抱き取り、奥の医療区画へと歩み去る。


「さて……問題は、羅漢か」


ナイアの視線が、床に投げ出された男の血塗れの身体を見下ろす。

一命は取り留めている。だが、魔法抵抗の高い羅漢には洗脳魔法が効かない。

ならば──答えは一つ。


「怪人にしてやる。改造手術だ」

「「「イーッ!」」」

黒衣の戦闘員たちが素早く動き、羅漢を担ぎ上げ、禍々しい機械音の響く地下手術室へと運んでいく。


闇の底で、微かな意識が泡のように浮かび上がる。

「……ん」

羅漢は呻いた。痛む頭。体のあらゆる部位が軋み、熱を帯びている。


「ここは……?」

疲弊した瞳が周囲を彷徨う。しかし視界は、暗闇に封じられていた。

何かが頭部に覆いかぶさり、目を隠している。


「誰だ! ここはどこだ!?」

声を上げた瞬間、違和感に気づく。

その声は、自分のものではなかった。

音の高さも、響きも、何かが違う──


「……まさか」

寒気が走る。己の身体が、他人のものであるかのような異物感。

肉体の掌握感が失われている。動かぬ四肢。金属がぶつかる音だけが虚しく響く。


ガチャガチャガチャ。

拘束具。拘束具だ。手足は冷たい枷に縛られている。

「……くっ、この状況は……まずい……!」

羅漢は叫んだ。だが、誰も答えない。


……その時。

声が響いた。空気ではない。脳髄の奥、思考の泉に注ぎ込まれるような音。


『目覚めたようだな』


「貴様……誰だ!」


『おまえを──怪人にする。抵抗しなければ、命だけは助けてやろう』


「ふざけるなッ! 丁重に断らせていただく!」


その瞬間、電撃のような激痛が全身を駆け巡った。


「ぐあああああああッ!!」


皮膚が焼ける。筋肉が裂ける。骨が歪む。

痛み。熱。圧迫。息ができない。

絶叫の中、羅漢は、己の中から何かが剥がれていく感覚に囚われた。


それは──魂そのものだった。人間であるという証。呼びかけに応じてきた“名前”の核。


自分が“羅漢”という名前だった記憶すら、悲鳴を上げて逃げていく。


――名前を、忘れたくない。

俺は、羅漢だ。父母に名付けられた、大切な、俺の……名前だ。


それは、自我が溶け、肉体が他者になる感覚――。恐怖の名前を、まだ彼は知らなかった。


「ま……ず……い……!」


断末魔のような悲鳴を最後に、意識は再び奈落へ沈み──


……そして、時は過ぎた。


金属の寝台に横たわる一人の男が、瞼を開いた。

機械音。消毒液の匂い。無機質な天井。


ゆっくりと体を起こす。

指が、腕が、動く。しかし……どこか違う。


「……私は、一体……」


思い出せない。

名前も、年齢も、生きてきた記憶も──

誰かに呼ばれていた“あの名”すら、今や霧の彼方にあった。


「く……思い出せない……!」


拳が壁を殴る。痛みが走る。

包帯の巻かれた腕が、それだけは「生きている」と告げていた。



「首領閣下、7将軍ナイアただいま帰参いたしました。」

豪華な椅子に腰掛ける首領にナイアは深々とお辞儀する。

挿絵(By みてみん)

首領の側には他の7将軍達も参席していた。

盲目の剣闘王スパルタクス、

狂乱道化ヨクラートル、

戦闘アンドロイド-イブ・バーストエラー、

蛇王ナイトホテップ、

サイボーグレスラー-キャプテン・ダイナマイトボマー。

後一人の七将軍は自分が封印されている間死んだらしく空席だ。

「帰還ご苦労ナイア。よくぞ戻った。早速で悪いがお前が連れてきたユキルの生まれ代わりだという娘の事が聞きたい」

黒紫の衣装を着たドアダ首領が椅子から立ち上がりナイアに近づいていく。

「お前の事だ。あの娘をここに連れてきた後、ドアダに忠誠を誓うよう絶対服従魔法契約書を書かせたのだろう?」

「はい。確かにユキルの生まれ変わりだと確信しておりましたので、私の下僕として働かせるべく連れて来ました。今はまだ心労で寝込んでますが明日からでもドアダの下僕として洗脳すべく教育プランを練ってるところでございます。」

ナイアの言葉にドアダ首領は満足そうに頷く。

「勤勉だな。それよりあの娘が女神ユキルの生まれ変わりだというのは絶対に間違いが無いのだな?」

「ええ、あの因縁深い女神の事を私が見間違えるわけがありませんわ。あの顔といい立ち居振る舞いといい、全てが転生前の彼女そのもの。DNAの鑑定結果も同一人物と判定がでてます。間違いなく女神ユキルそのものでしたわ。もし彼女が本物なら私以上の天才魔女ですわよ?」

(それになんといっても私の嗜虐心をそそるまなざしと綺麗なモノを信じているいい子ちゃんな性格♡ ああ、早くあの子を忠実な奴隷に調教してあげたい!)

――壊して、穢して、歪ませて、完全な“支配”に至らせる。

それが彼女にとっての愛であり、信仰であった。

(下級戦闘員達のオモチャにしてしまおうかしら?それとも魔物の苗床?家畜として飼うのもいいわねぇ、ああ、明日からが楽しみだわあ!)

うっとりと頬を染めながら妄想に浸るナイアを見て、他の将軍達は皆一様に呆れた表情を見せる。

「わかった、もう下がってよいぞナイア」

首領は穏やかな表情で笑顔を浮かべナイアを労う

「はい、では失礼いたしますわ♪」

スキップしながら退室していくナイアを尻目にドアダ首領は再び椅子に座ると目を閉じた。

「みな下がれ」

他の将軍達も下がらせ彼は一人部屋に残りじっと目を閉じた。

(やはりあの娘は女神ユキルの生まれ変わりだったか)

目を閉じていてもわかるほどの圧倒的な魔力量、そして転生前と一寸たがわぬ顔立ち間違いなくユキルだ。

(皮肉なものだ。まさかこんな形で失ったあの娘が私の元に帰ってくるなんて)

思わず思い出し泣きしそうになるのを必死に堪え、再び目を開けたときにはすでに先ほどの穏やかな笑みとは打って変わって、鬼のような怒りの形相を浮かべていた。

「ナイアめ! 何が7将軍だ! 邪神ごときが! ワシの孫にナニする気だった!?」

どうやら首領は本当はナイアのことが嫌いらしい。

「……それにしても頭の痛い敵を作ってしまったものだな」

そう言って彼は手元にあった水晶玉に手をかざすとそこに阿烈の姿が映し出される。

水晶に映った阿烈の姿は川辺で上半身裸で鍛え抜かれた筋肉を見せつけるようなポーズをとっている。

どうやら武術の型稽古を行ってるようだ。

その姿はまさに威風堂々たる武人と呼ぶにふさわしいものであった。

水晶に映る阿烈の姿を見ながらドアのダ首領はつぶやくように話し始める。

「阿烈よ、お前はいずれ私の手で必ず倒される運命なのだ。私は決して敵対するものを許しはしない。この水晶球は私の魂の欠片を核にして作った特別製だ。この水晶を通してお前が見ている光景を私も見ることが出来るのだ。せいぜい今は楽しんでおくがいいさ」

そう話す彼の顔はまるで邪悪な悪魔のようだった。

ところが水晶に写った阿烈が首領の方を見てニヤッと嗤った。

ギョッとするガープに向け水晶の中に写る阿烈が拳を振るう。

ガープは素早く防御の型を取り顔面を守った。

一体いかなる原理か?

防御したガープの後ろの壁が物凄い衝撃を受けたかのように凹み崩壊する。

「不敬者め!!」

ガープが水晶の中の映像の阿烈に向け手刀を放つ。

もちろん手刀は水晶玉にはぶつけない。

だが水晶玉に写る異世界スラルの川辺の水が真っ二つに分かれる。

ありえないはずなのだがドアダ基地内から放ったガープの手刀の攻撃波が水晶を介し阿烈に直接迫ったのだ。

次元越しのガープの手刀を阿烈はスウェーで躱していた。

反撃とばかり次なる拳激を虚空に放つ。

次元越しの拳激をガープが纏手功でいなしカウンターの突きを放つ。

さらにそのカウンターの突きを阿烈が同じく纏手功でいなし突きを放つ。

惑星間の次元を超え神の域に達した武仙二人が激しく組み手を交わした。


拳が水晶を叩くたび、次元の壁が軋む。

阿烈とガープ――二柱の“武仙”が、言葉を交わすことなく、神域での手合わせを続けていた。


そして、惑星間を超えた二柱の武仙、その激突に次元すら耐えきれず――水晶玉は粉砕された。


「クカカカカ、いかんいかん、ついつまみ喰いしちまったぜぇ」

阿烈は愉快そうに笑うと脱いだ服に袖を通し今日の修業を切り上げた。

「思わぬ稽古相手に遊んでもらったわ、やはり散打は向き合う相手がいないとなぁ、あのじじいまだまだ現役じゃねぇか」

阿烈は次元を超え戦った相手がだれか気づいてるようだ。

一方ガープは割れた水晶を見て呆然としていた。

「あああああ!? ワシの水晶がああああ! これ作るのにほんのちょっぴりだけどワシの魂のかけらまで使ったのにいいいいいいい! ワシの部屋がめちゃくちゃあ!? うわぁあ!? お気に入りの首領スーツが……ッ!」

拳の優劣はさておき、失ったものはガープの方が多いようだ。

「あんのクソガキャ~! なんちゅう危ない奴じゃ!…にしてもナイアの奴あの化け物相手にケンカを売ってよく生きて帰れたな。まぁ流石ドアダ七将軍が一人といったところか…」

「しゅ、首領閣下! いったい何ごとでございますかぁ?」

黒スーツの戦闘員が爆音に気づき慌てて集まってきた。


「ん? ……ゴキブリじゃ。そう、異次元級のゴキブリがなッ!!」


「へ?」

説明が面倒くさいのでいい加減な嘘をつき瓦礫の上に腰かけボロボロになった服を脱ぐ。

「それよりナイアが連れてきたあの神羅という娘はまだ目覚めんのか?」

着替える首領のもとに新たな報告が入った。

「首領閣下、例の娘が目を覚ましましてございます!」

部下の報告を聞き、首領はすぐに立ち上がった。

そして足早に彼女の部屋に向かうのだった。



https://www.facebook.com/reel/520492517433750/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0


↑イメージリール動画

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