問題。嘘をつくことはいけないことか?
いや嘘をつくのは大体はいけないことだろ。
【いや嘘もつけないつまらない人間にはなりたくねぇよ】
「」
心斗は枯れ草の上に座り、両目を長い金色の髪で隠した女性と対峙していた
女性は腕を組み、静かに頭を抱えている
心斗はそれを居心地が悪そうに見ていた
そしてこの状態が何分か続いたとき、女性が沈黙を破った
「えー、あー、…それではあなたは2人の友人と山に行き」
「親友だ」
心斗は即座に女性の言葉を訂正させる
「…親友2人と山に行き、そこで見るからに怪しい洞窟を発見してその中に入って、5分もしないうちに突如足元に開いた穴に落ちてしまい次に眼を開けたらここに寝かされていた・・・ということですか?」
女性は話しを切るほどの事かと眉をひそめたがそれを指摘するのも面倒と訂正して話しを続けた
心斗はこの女性に押し倒された後、自分に抵抗する意思はないことを伝え今迄のいきさつを説明していた
また、説明をしている途中自分が落ちたという事も思いだした
あんな洞窟の中で落とし穴に落ちるなんてな…
心斗はあの奇妙な浮遊感もついでに思い出して身震いした
「簡潔に言えばそうなるな。ここでお前に聞きたいんだが、俺は一体何を言っているんだろうな?」
「私に聞かれても困りますよ…。でも、本当に人間なんですよねぇ…。おっかしいなぁ…。どうしようかなぁ…」
上から下までジロジロと値踏みするかのように心斗を見ながら言う
「だからよぉ。魔物ってのはお前の妄想か自分設定かなんかなんだろ? いい加減この部屋から出してくれよ。なんか湿気臭いんだよこの部屋」
こちとらもう家に帰って不貞寝したいんだよ
そう思いながら心斗は立ち上がろうとする
「駄目ですよ! ここは私たち魔物の拠点なんですよ! そこにいきなり敵の人間であるあなたが現れたらどうなると思ってるんですか!」
女性は声を押し殺しながらも必死に言いながら心斗を座り直させる
「まず初めに、俺は死ぬだろうな」
「正解!! …じゃなくてぇ! 良いんですかそれで!!」
「いや駄目だろ」
「『いや駄目だろ』じゃないですよ!! 分かってるならなんで出て行こうとしてるんですか!?」
「いや、お前の話しスッゲー嘘臭いんだよ。朝の占いの方がまだ信じられるわ」
確か最後に見た星座占いで俺の順位は12位だったな
「魔物が親切に匿っているのに何なんですかその態度は!!」
俺が今態度が悪いのは占いを思い出したからなんだがな
俺の許可なしで勝手に俺の運勢を決めやがるとは、今考えても腹立つぜ
だが、確かにこいつの話しが本当ならばこいつは他人である、いや他人よりも面倒な敵である人間の俺の命を心配してくれるとんでもなくいい奴だな
『パチンッ』
そんな訳あるかよばぁぁぁか。
心斗は指を鳴らして暗く笑う。
「そこだ。お前の話しが本当だとしてもおかしいんだよ。『親切に匿っている』、これがお前に何のメリットがあるんだ?」
心斗は声の調子を相手にはっきり聞こえるように変え、喋り方も威圧的なものに変える
「めりっと?」
女性は言葉の意味が分からないのか首をかしげる
「要するにお前にとっての得だ。お前は何とかここに俺を閉じ込めようとしている。それは何でだ?」
「それはさっきから説明してるじゃないですか!! あなたが死んじゃうから」
「だから、お前に何の得があんだって」
「いやだからあなたが死」
「わかったわかった。言い方を変えよう。俺が死ぬことでお前にどんな損が生まれるんだ?」
少しの挙動すらも見逃さないよう、心斗は女の全体を見ながら言う
「…そんなのは別に良いじゃないですか」
女性は少しきまずそうに言う
「おかしいんだわお前の話。俺は『人間』。お前の言うようなら俺はお前、『魔物』の敵だ。その『人間』がいま自分達の大切な拠点にいる。普通は直ぐに手足を封じるなりして無力化するもんだろ?」
「えぇ…まぁ…」
「なのになんでお前はそれをしないんだ?」
「…いやまぁ…そのですね…」
女性は顔をそむける
「説明が難しいみたいだな。そりゃそうだ、説明する事柄がまずお前の妄想、言ってしまえば【嘘】なんだからなぁ。その場で嘘をつくのは簡単だが、すぐにその【嘘】にあった設定や事実を固めないと【嘘】は綺麗に積み重ねられないものなんだ」
「だから【嘘】じゃないんですよ!」
「そうか。じゃぁ何故俺を今すぐ殺さない?」
「そ、それは…」
女性は心斗の挑発に声を荒げるがまたすぐに黙って顔をまたそむけてしまう
心斗はそれを確認し座る態勢を変え、地面に敷かれている枯れ草の一部を掌で握る
女性は顔をそむけているのでその一連の動きに気づかない
「…まぁでも分かったよ、とりあえず状況が分かるまではお前の言う通り静かにしてるさ」
心斗は優しげに雰囲気でそう言う
「そ、そうですよ! とりあえずでもいいので人間であるあなたはここに隠れていれば」
「嘘だけどなぁ!」
心斗は顔をそむけていた女性が欲しているであろう言葉を投げかけた
そうして女性が分かってくれたのかと顔をそむけるのをやめこちらを向くタイミングをはかり、全く警戒してない顔めがけ枯れ草を投げた
「!?」
女性は慌てて顔に投げられた枯れ草を手で防御する
「はいドォォォォォォン!!」
それを見越していたのか心斗は座っている女性を強く押し転がす
自身の手で枯れ草を防ぐため顔を覆っていて目の前が見えない状態の女性は心斗の非力な力でも簡単に転がされてしまう
「あばよとっつぁぁん!!」
心斗はそのすきに部屋から走り出る
「あ、出て行ったらだめですって!!」
女性の制止を無視して部屋の外に出る
心斗はとりあえずでたらめに走り、途中からは歩いて足音を消す
「…ふぅ。あの女はついてきてないみたいだな。にしても思ったより入り組んでそうな所だなここ」
心斗は壁に背中を預け呼吸を整えながらあたりを見回す
部屋の外に出てみたら細く長い廊下が左右に伸びていた
明りは部屋と同じく蝋燭が岩の壁についてるだけだった
まるであの洞窟のようだな。あそこには蝋燭は無かったが…
…窓とかないんだな
これじゃ空気や湿気がこもったりして気持ち悪いだろうに
にしてもこの廊下広いな。広いだけじゃなく天井も高い。一体なんでだ?
いや、今はこんなこと考えるよりもまず出口だな
とりあえず適当に歩けばどこかしらにはつくだろう
…そう言えば風夢と紅美もここにいるのだろうか?
いるなら早めに合流しないといけないな
俺が謎の落とし穴に落ちる瞬間、あいつらも変なことに巻き込まれていたし…
別にあの2人のことだから無事ではあるんだろうが合流するに越したことは無い
心斗はそう考え歩き始めようとした
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛?」
その瞬間、すぐ近くから声がした
「なんだ? いやに野太いこ・・・え・・・が・・・?」
「おめ゛ー、みねーがおだな? みだどごろこれどいっだ特徴もね゛ーしよぉ・・・」
そこには人がいた
人と言えば人だが、それは巨人だった
身長は心斗の2倍くらいで、来ている者は原始人が来ていそうな獣の毛皮
手には棍棒。そして顔には大きな口と、じろりと俺を不審に見る1つしかない目
そんな奴が、すぐ後ろにいた
「ぴゃぁぁぁぁっぁあああああああああ!!!!!!!!!!」
心斗は自分の声なのかと疑問に持つくらい高い女のような悲鳴を上げた
「う゛おぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!?」
そして巨人も心斗の急な悲鳴にに驚き叫ぶ
「化け物ぉぉぉおおおおおおお!!!」
心斗は全力でわき目もふらず全力で走り出す
いやぁもうなんなんあの人!? 何食ったらあぁなんの!? 主食がプロテインかなんかなの!?
「あ゛!!? おめ、どこさ行くだ!!? ちょど待でや!!」
巨人は心斗が逃げ出すや否やドンドンと重い足音をたてながら追いかけてくる
「いやぁぁぁぁあ追いかけて来たぁぁああ!? 何で!!? 俺のファンか何かなんですか!?」
「おめ゛ーが逃げっからだべよ!」
「答えになってねーよぉ! ヤダー怖いよー助けて風夢ぇぇぇええ!!」
心斗は親友の名前を叫びながら半泣きで走る
まてまておちつけ落ち着くんだ俺様は逃げ足は速い!
さっきも妄想女から逃げ切ったばかりじゃぁないか!
幸いあっちは遅い、これならギリ逃げれる!!
「あっ」
…運悪くコケなければの話しだがな
「あぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃ?!!」
俺は石か何かにつまづき奇声を上げながら転がる
あと、受け身を取ろうとしたが失敗したためまた顔をしたたかに打った
多分今度こそ鼻血を出したと思いますね
「はぁ、はぁ、おい。はぁ、だいじょ、はぁ、かぁ? はぁ、はぁ、はぁ、ふー…」
「うわ気持ち悪いから息を荒げながらこっちによるな! 恐ろしいわ!!」
「そりゃ全力で走ったがら息くらい切れるべ」
そう言いながら転んでいる心斗に巨人が手を伸ばす
「ふぉぉおおおおおおお!!」
心斗は後ろに転がりその手から逃げる
「…おめ゛ー、いったい何がしだいんだ?」
「お前から離れたいんだよ言わせんな恥ずかしい」
「お、おめーなぁ…」
巨人は1つしかない目を細めながらそういって転げまわる心斗にまた一歩近づく
そして屈んで俺の事をじろじろと見て首をかしげた
「怖い怖い怖い怖い怖い」
めちゃくちゃ見てる。どうしたこっちゃっていうくらい俺を見ている
なんなの? 俺これから食べられたりすんのか?
殺されんの?
嫌だ嫌だ死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!!
「う゛ー…。おめ゛ー、ほんとに何の特徴もねーな? もしかして・・・人間か?」
「あぁん!? なんだとお前ふざけてんのか!!」
心斗はキレ気味で巨人の言葉を間髪いれずに否定した
「!?」
巨人はいきなり怒りだした心斗に面を食らう
このクソがぁ!! ここまできたら腹くくってやるよぉ!!
俺はいまからこいつに【嘘】をつく!!
「おま、とりあえ離れろや! 暑苦しいんだよ!!」
とりあえずこの状態をたてなおすべく叫ぶ
巨人は「わ、わり゛ー」と謝りながら心斗から離れた
そして心斗は勢いよく立ち上がった
そのさい表情は怒ってるものに変え、2つある眼で巨人の1つ目を睨む
「ったく! 【・・・・で、なんで俺様が『人間なんか』に見えるんだ!?】」
俺は声を荒げ、頭をフル回転させる
あぁえぇっと確か『人間は魔物の敵』だったはずだよな? ならまずは魔物目線に、人間から魔物の立場に立たなければ!!
もしも人間だとばれたら何されるかわからん!
「いや、初めて見る顔だがら…それに『特徴』もないしよ…」
魔物は俺とは逆に声が小さくなっていく
「『初めて見る顔』だぁ? お前さぁ、【俺らの拠点】にいる奴ら全員の顔知ってんのかよ?」
ここは『魔物の拠点』。この事実をを利用しない手はない
「いや…んなごだぁねぇけんどもよぉ…。 おで達のように大きな体を持つ種族の奴らならなんとなくおぼえではいるが、おめみたいに体の小さい種族はさすがに覚えてはいられねぇ…。…大体、姿を変える特徴があるやがらもいるがら顔を覚えるなんで無理な話しだべ」
いたずらが見つかった小さな子供がいい訳を言うように巨人は小さく呟く
「【じゃぁなんで一番に『人間』が出てくんだよ! 他の種族とかは考えなかったのかよ!! おぉん!?】」
対する俺は下から巨人の顔を見上げながらも睨みつけながら威嚇する
「いや、それも考えだんだけどな? さすがに特徴がなさすぎだべ?」
…なんかさっきから特徴特徴うるさいな? 『特徴』って何だ?
「『特徴』だぁ? お前の言う特徴ってどういう意味だよ言ってみろ!」
「あ゛あ゛?」
巨人が難しい顔をした
やばい怒ったかな!? やはり『よくわかんねぇけど怒ってる人』作戦は駄目だったか!?
『怒ってる人』なら多少むちゃくちゃ言ってもごまかせると思ったが早計だったのか!?
俺はいつでも土下座が出来るよう静かに構える
「…意味がぁ? …そうだなぁ。『特徴』とはだとえばなぁ。まずおでらみたいに身体が大ぎい『ギガース族』。曲がった角を持つ『魔族』とが、特殊な目をもつ『アイズ族』どが、とりあえずみだだけでそいつがどんな種族の魔物か分かるのが『特徴』がなぁ…? 因みにおでみたいな『混合種』もたまにいるっでごどはしっどるよな?」
だが巨人は怒ることはせず律儀に説明を始めた
…なるほど。『特徴』ってのはそのまま身体に何かしらのものや一目でどんな『魔物』の種族かわかるものの事なのか
…もちろん、人間である俺に特徴ない
全くない。人より若干不幸って事くらいしか俺に特長は無い
そう言えばお前見てるとやる気とか力無くなるわぁとか言われたりする今はそんなのどうでもいい!
「…じゃぁ俺に特徴がないのは当たり前だな。【だって俺の特徴は『特徴がないこと』なんだもんな!!】」
「そ、そうなんだか!?」
俺の【嘘】に巨人は面白いくらいに驚く
多分こいつバカだ
バカは好きだ
「【あぁ、因みに俺の種族は極端に少ないから今ここには俺と同じ種族の奴は多分いないと思うぞ! だからお前が知らないのも無理ないな!】」
種族ってたぶん同じ特徴をもった奴らの集まりの事だろう
・・・・・あってるよな? あってますよね? あっていてくださいお願い致します
「そ、そうだったのか・・・」
よっしゃ!
どうやらあってたらしい。まぁ俺にはあっているという確信があったから別に嬉しくないがな?
「それにしてもお前バカだな。【ここは魔物の拠点だぜ? 敵である人間がいる訳ないだろ?】」
ここでとどめに『真実』を使って【虚実】を語る
「まぁそりゃそうだな。まさか人間がこんな所まで侵入してるわげねぇよな! わりぃ、おらが間違ってただ!」
「まったくだ」
ここで『怒ってる人』を演じるのをやめ、声を優しくし、態度を崩す
「そういえば、なんでおめはおらを見たら叫び声上げてにげだんだ?」
俺の雰囲気の変化で自分が許されたのだと巨人は判断し、自分から話題を逸らす
よしよし。ここまでは俺の筋書き通りだな
せっかく落ち着いた人にまた怒らせたものと同じ話題を振る奴はいないからな
「それはお前の顔が怖かったからだ。もっと笑顔を勉強しろ」
これは本当だ。すごく怖かった
特に1つ目なんか見ているだけで漏らしそうになるほど怖い
「あ゛あ゛ぁ…。おらの顔、そんなにこわかっただか?」
「あぁ怖い。とてつもなく怖い。臆病な奴だったらひとめ見ただけで逃げ出すな」
「そ、そうがぁ…」
「ま、笑顔を絶やさなければいいだろう。じゃ、【俺はやることあるからそろそろ行くぞ】」
俺はなるべく急いでるような口調で言う
「あっ、そうなんだが? なんがぁ悪がっだな」
「なぁに。間違いは誰にでもあるさ。【またあったら仲良くしような!】」
「お゛う! まだな!!」
俺と巨人は互いに手を振りながら別の方向へ歩き出す
「・・・・・・さぁて」
それから5分くらい早歩きをし周りにあの巨人や他に似たような生物がいない事を確認する
…よし。だれもいないな
では、
「あぁぁぁぁぁっぁぁぁあ怖かったよぉぉぉぉおおおなにあの巨人!! 腕が俺の胴体位あんじゃねぇか!! しかも片手で俺を持ち上げるって何だよ化け物が!! ションベンちびるかと思ったぞバカ野郎ぉぉぉぉぉおおおおい!!」
心斗は地面に手をつきながら言う
若干泣いている
「もうやだぁ怖かったぁ! なんなんだよあのガチムチはぁああ!! 意味分からん! お兄ちゃんはもういみわからんぞぉぉぉぉおぉお!!」
「大丈夫ですか?」
そんな心斗に誰かが後ろから声をかけて来た
「うぉぉぉぉおお!?」
俺は飛び上がり足を滑らせ転ぶ
背中を強く打ってしまったがそんなのお構いなしに心斗は声の主を確認する
そこには先ほど別れた金髪で目を隠した女性が心配そうにこちらを見ていた
「何だお前か! 急に声掛けるな死ぬぞ! 俺が!!」
「なんですかその言い草は!? こっちはギガース族に追いかけられていったのを見て心配したんですよ!? でも、なんとかまいたみたいですね。まぁあの種族は足が遅いから何とかなったんですね」
どうやら俺を見かけてここに来たみたいだな
「おう。お前に俺様の華麗な逃げを見せてやりたかったぜ」
心斗は途中でこけて追いつかれた事実を隠し得意げに語る
「っじゃなくてだ!! おま、魔物いんじゃねぇか!!」
心斗はさっきのような演技の怒りではなく実際にブチギレて女性に怒鳴る
「だから言ったじゃないですか!! 信じて下さいよねもう!!」
「おめーの説明があやふやだったんだよ!! もっと的確に説明してくださいお願いしますよぉ!!」
「たとえ的確に説明しても信じなかったでしょあなたわ!!」
「もちろん!!」
「殴りますよ!?」
「痛いのはいやだやめろ!! …あっ。そう言えばお前も魔物なんだよな?」
「あたりまえですよ」
女性は何言ってんだこいつはみたいな顔をする
なんだこいつムカツクなぁ…
「でも、特徴ないじゃん」
俺はさっき知った単語を当たり前のように使う
「え? 特徴? そんなの私の額に・・・あぁ。前髪で隠れてるんでしたね。 ほら」
女性はそう言いながら前髪を手でかき上げる
初めて見せる女性の2つの目は、どこか疲れているように感じさせた
だが、心斗はその初めて見る目ではなくさらに上、額を見て声を失った
そこには、ありえないくらい目つきの悪い第3の目があった
「…?? …ぴゃぁぁぁぁぁぁあああ!?」
心斗は一瞬理解できなくて、理解したとたん驚きでさっきと同じ悲鳴をあげる
「うるさいです!!」
そしたら頬を殴られた
「痛い! 割と痛い!!」
「とりあえずここにいたらまた他の魔物に出くわしてしまいますからあの部屋に戻りますよ!!」
女はまた前髪で3つの目を隠し、心斗の手を強引に引きながら歩き出す
「・・・・・・・もうやだ何なんだよいったいよぉ」
嘘ってつきすぎると自分の首を絞めるんだよ?
【嘘ってのは自分を守るために使うもんなんだぜ?】
「」