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【連載中】MOBILE FORMULA 2135 -スターライガ∞ 逆襲のライラック-  作者: 天狼星リスモ(StarRaiga)
【Chapter 3-3】Blow Your Gale

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186/200

【183】修正

 事件はデブリーフィングの時に起きた。


作戦中の行動を巡る激しい議論がヒートアップした末、痺れを切らしたセシルがアニエスに鉄拳制裁を見舞ってしまったのだ。


「セシルッ! やめろッ!」

「落ち着け! 気持ちは分かるが……それはダメだ」


流石にマズいと感じたリリスが後ろから握り拳を押さえ、正面に出たフェルナンドは両肩を掴みながら強い口調で制止する。


「おい……大丈夫か?」


異様な雰囲気の中、アヤネルは顔面に右ストレートを食らい尻餅を付いたアニエスに右手を差し伸べる。


その手を握り返して立ち上がったアニエスは殴られた際に口内を切ったのか、左の口角から血が垂れていた。


「パワハラだと言いたければ訴えろ。お前にはそれをする権利がある」


握り拳を下ろしたセシルは本気で殴った行為は問題だと自覚しており、この"修正"をパワーハラスメントとして上申されても仕方が無いと考えていた。


「……だがな、お前が行動を改めなければここにいる誰かが死ぬことになる」


セシルの最終警告にアニエスは視線を合わせず通り過ぎると、ブリーフィングルームのドアを開けてそのまま退室してしまう。


「アニエス! 何処に行くんだ!?」

「放って置け! あれもいい歳をした大人だろう」


ドアが閉まり切る前にケーンは大声で呼び止めるが、その必要は無いとセシルが遮る。


「子どもじゃない奴は席に戻れ。デブリーフィングはまだ終わっていない」


結局セシルは平静を装いながらデブリーフィングを再開したものの、彼女も含めて誰一人として集中できている者はいなかった。



 当然ながらデブリーフィング時の出来事は瞬く間に短距離戦術打撃群全体に知れ渡り、翌日の母艦アドミラル・エイトケンはその話題で持ち切りとなっていた。


「セシル・アリアンロッド上級大佐。昨日の出来事についてはカリーヌ少将から聞いています」


誰が呼び始めたか"セシルパンチ事件"の内部調査のためにブリーフィングルームが取調室となり、公平な立場の第三者としてシギノ副長がセシルへの聞き取りに当たっていた。


「部下に対して"不適切な指導"を行ったという報告が寄せられています。これは事実ですね?」

「はい、事実であります」


状況が状況なので珍しく敬語を使うシギノの"罪状読み上げ"に対し、同じく丁寧な言葉遣いでその内容を認めるセシル。


「戦闘中にフォルジュ中尉と揉めていたという証言は通信記録で確認されたが、手を上げたのはマズいかもしれませんな」

「ああ……部下を殴ったことは流石に正当化できないな」


そこそこ厚い調査報告書を片手にいつもの口調に戻ったシギノに同意するようにセシルは首を横に振る。


「略式の軍法会議による処分が妥当でしょう――本来ならばね」


シギノにはセシルに下される処分の決定権は無いが、少なくとも短距離戦術打撃群の高級将校立ち合いによる軍法会議は避けられないだろうという個人的見解を示す。


もっとも、戦時中且つセシルは替えが利かない人材であるため、長期離脱を余儀無くされる厳罰は免れる可能性も否定できない。


複数名に対し謹慎処分が下されたヴァイル・リッター大尉の一件も裁定を決める上で参考にされるだろう。


「大佐、我々とは別にフォルジュ中尉に聞き取り調査を行ったカリーヌ少将からの報告書がある」


そこそこ厚い調査報告書は一旦テーブルの上に置いておき、代わりに別の報告書を取り出すシギノ。


「重要な部分だけ読み上げてくれ。どうせ見せてくれないのだろう?」

「フォルジュ中尉は作戦中の自身の行動に非があったことを認めて、上申は行わなかったそうだ」


自分に文書を直接読む権利が無いことを知っているセシルに促され、シギノはおそらく最も重要だと思われる部分を簡潔に伝えるのであった。



《最終報告》

セシル・アリアンロッド上級大佐による一連の行為は、指揮官として不適切であったと結論付ける。


それに至った要因としてアニエス・フォルジュ中尉の言動に問題があったことも事実だが、暴力を伴う制裁を正当化する根拠にはなり得ない。


被害者のフォルジュ中尉が上申を取り下げたこと、アリアンロッド上級大佐の所属部隊が作戦行動中であることなどを考慮し、処分については執行猶予や一定の情状酌量じょうじょうしゃくりょうが認められるべきである。


以上の点を総括し、セシル・アリアンロッド上級大佐に対し"30日間の減給処分"及び"戦時体制解除後の奉仕活動への参加"を命じる。

【Tips】

セシルの給料は"公務員基本給+国防軍手当+専門職種手当+階級手当+危険手当"がベースとなる。

減給処分の対象となるのは公務員基本給の部分である。

各項目の見直しやボーナス支給により金額は上下するが、いずれにせよ彼女はオリエント国防空軍のMFドライバーでは最も高給取りとされている。

なお、オリエント連邦は世界で最も給与水準が高い国として知られている。


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